あまり語ることのなかった１両

　丁度10年前は､｢キンタ｣EH500増備の度に次々とナナゴが第一線を離れていく状況で､｢原色ナナゴ｣しか撮れないなんてことはかなり難しくなっていた｡
　そんな03年11月27日､東北線・狩場沢｡
　原色庇付で唯一残っていた98が常磐線からの3093ﾚを牽いて下る､という報せを聞いて早めに八戸､青森に下った｡同じくナナゴ牽引だった4055ﾚや3095ﾚが白(車体更新機)先頭でも後悔しない､そのつもりだった｡
　一発目の4055ﾚは141(原)＋114(白)牽引｡次の3095ﾚはこの１時間あまり後｡次はたぶん"白"が牽引でくるだろうと待ち構える｡
　1230時過ぎ､坂の向こうにゆら～っと赤いのがヘッドライトを輝かせてやってくるのが見える｡フロントガラスから下は赤一色､｢原色｣のようだ｡焦らずじっくりと待ち構え､引き付けてシャッターを切る･･･144か！

　この年の初夏ぐらいまでは東北線の色んな貨物列車で見ることが出来たカマ｡そのせいか､ありふれすぎて語ることもなかった｡後になって”落ちた”と知った時はまだもっと撮れると思っていただけに､とても残念でならなかった｡