この夏にテレビ放映された「戦争特集」がずっと気になっていました。番組としてどう評価したら良いのかと考え込んでしまったからです。
33年の小学校教師の体験の中では平和教育と称して、社会科などで戦争の歴史について教え、ほとんどの学校で平和集会を開いてきました。授業の中では加害の歴史もしっかり教えたつもりですが、平和集会などで取り上げたのは被害としての広島・長崎の原爆や東京大空襲のことでした。被害の歴史から戦争を考えることが圧倒的に多かったような気がします。
加害の歴史を振り返るのは正直しんどいことですが、戦争責任を考えるときには避けて通れないことです。
今年の夏のテレビ戦争特集を振り返ってみました。できる限り番組に目を通してきましたが、やはり加害の歴史を直視するようなものが少なかったと思います。戦後75年になりますが、再び戦争を引き起こさないために、懐かしさで戦争を語ることの危険性を肝に銘じたいと思います。
(以下の文章はそれぞれの放送局のHPからの引用です。)
■伊400 幻の巨大潜水艦●NHK本放送 8月 5日(水) 22:00~22:45
*エピソード1 海底に眠る巨大潜水艦
2014年10月、NHKはハワイ大学と共同で、ハワイ・オアフ島沖での潜水調査を実施しました。そして伊400の最も重要な部分ともいえる「格納筒」を発見。初めて撮影に成功しました。海底に眠る伊400の映像、そしてCGで幻の巨大潜水艦がよみがえります。
*エピソード2 日本海軍の極秘計画
アメリカ本土攻撃――連合艦隊司令長官・山本五十六のこの構想のもと、極秘裏に始まった「潜水空母」計画。伊400の建造は設計段階から困難を極めました。なかでも難題は「翼全長12mの航空機を直径およそ4mの格納筒に入れる」こと。いったいどのようにして解決したのでしょうか――?
*エピソード3 伊400と若き乗組員たち
終戦の前年に完成した伊400。乗組員たちの多くは10~20代の若者でした。その彼らに与えられた任務とはアメリカの大艦隊への「特攻」。死を覚悟して出撃した若者たちを、しかし思いもよらぬ事態が待ち受けていました。その時、全乗組員を率いる伊400艦長が下した決断は・・・・・・。
■ガダルカナル 大敗北の真相
●NHK本放送 8月12日(水) 22:00~22:45
*エピソード1 エリートたちの判断ミス
ガダルカナルの戦いは日本陸軍・一木支隊の戦闘から始まりました。916人の一木支隊が戦ったアメリカ軍部隊の兵力は10倍以上の1万あまり。ケタ違いの戦力差を前に一木支隊は全滅します。この無謀な作戦を立案したエリート参謀たちは、楽観的な見込みしかせず敵を正確に把握していなかったのです。
*エピソード2 最大のチャンス
第一陣の壊滅を受け、日本軍が急ぎ投入したのが陸軍・川口支隊でした。同隊は米軍の弱点・ムカデ高地を攻撃、作戦目的の達成にあと一歩のところまで迫ります。しかし、ここで日本陸海軍の連携がうまくいかず戦力が不足、攻撃は挫折しました。この時、日本軍にとって「最大のチャンス」が消え去ります。
*エピソード3 終わりなきサバイバル
川口支隊敗退後も日本軍の兵力は送られ続け、「ガ島」日本軍将兵の数は3万に達します。しかし、補給の失敗、特に食糧不足は絶望的で、兵士たちは言語に絶するサバイバルを強いられました。この時島にいた陸軍将校の日記や元米軍兵士の証言から、壮絶な飢餓の戦場の実際が浮き彫りに――。
■NHKスペシャル「沖縄 “出口なき”戦場~最後の1か月で何が~」
*番組内容:75年前の沖縄戦、日米の勝敗が事実上決したにも関わらず、その後、多くの命が犠牲になった。NHKは、アメリカ軍の膨大な新資料を発掘、苛烈な戦闘の全貌に迫る。
*詳細:住民12万人が命を落とした沖縄戦。1945年5月末、日本軍の総司令部があった首里が陥落、事実上の勝敗が決した後にも関わらず、戦闘は継続。少なくとも住民4万6千人が命を落とした。なぜ、これほど多くの住民が犠牲になったのか。今回NHKは、アメリカ軍の新資料を発掘、苛烈な攻撃に住民が巻き込まれていった詳細が浮かび上がってきた。終わることなく続いた戦場で何がおきていたのか。多くの命が失われた1か月に迫る。
■NHKスペシャル「証言と映像でつづる原爆投下・全記録」
*番組内容:今回私たちは、アメリカの原爆開発の現場責任者の手記や、当時の日本の指導者たちへのインタビューを入手。それにNHKのアーカイブスを加え、原爆投下の全体像に迫った。 *詳細:戦後75年にあたる今年、私たちは、アメリカの原爆の開発計画の現場責任者の手記を発見。さらに、原爆を投下した爆撃機のパイロットや、当時の日本の指導者へのインタビューも入手した。そこからはアメリカが自らの「正義」のために、投下を決定した過程や、日本が降伏を決断できないまま、あの日を迎えてしまった経緯が浮かび上がってきた。これらの資料に、NHKが取材した膨大なアーカイブスを加え原爆投下の全体像に迫った。
■にっぽん!歴史鑑定「太平洋戦争開戦!山本五十六の苦悩」
放送日:2020年8月10日 BS-TBS
太平洋戦争と山本五十六の関係に迫る。アメリカをはじめとする連合軍と日本が戦いを繰り広げた同戦争では、300万人もの人々が命を落とした。しかし、大日本帝国海軍・連合艦隊司令長官の山本は、日本の敗戦を予測していた。また、日本海軍史上最高の名提督と言われる山本は、日米開戦を回避しようと尽力もしていた。
ところで、お勧めのテレビ番組を紹介しておきます。BS,TBSの「関口宏のもう一度!近現代史」です。保阪正康氏をコメンテーターに迎えて明治から昭和の時代を振り返る数十回続く地味ではあるが貴重な番組です。日本人が知っておきたい歴史の事実に目が開かされます。
■「関口宏のもう一度!近現代史」〔番組HPより〕
12/12(土)は昭和7年後半を詳しく取り上げる。日本が満洲国を承認。そんな中、リットン調査団が報告書を公表。意外と日本に妥協的 ...〔略〕
33年の小学校教師の体験の中では平和教育と称して、社会科などで戦争の歴史について教え、ほとんどの学校で平和集会を開いてきました。授業の中では加害の歴史もしっかり教えたつもりですが、平和集会などで取り上げたのは被害としての広島・長崎の原爆や東京大空襲のことでした。被害の歴史から戦争を考えることが圧倒的に多かったような気がします。
加害の歴史を振り返るのは正直しんどいことですが、戦争責任を考えるときには避けて通れないことです。
今年の夏のテレビ戦争特集を振り返ってみました。できる限り番組に目を通してきましたが、やはり加害の歴史を直視するようなものが少なかったと思います。戦後75年になりますが、再び戦争を引き起こさないために、懐かしさで戦争を語ることの危険性を肝に銘じたいと思います。
(以下の文章はそれぞれの放送局のHPからの引用です。)
■伊400 幻の巨大潜水艦●NHK本放送 8月 5日(水) 22:00~22:45
*エピソード1 海底に眠る巨大潜水艦
2014年10月、NHKはハワイ大学と共同で、ハワイ・オアフ島沖での潜水調査を実施しました。そして伊400の最も重要な部分ともいえる「格納筒」を発見。初めて撮影に成功しました。海底に眠る伊400の映像、そしてCGで幻の巨大潜水艦がよみがえります。
*エピソード2 日本海軍の極秘計画
アメリカ本土攻撃――連合艦隊司令長官・山本五十六のこの構想のもと、極秘裏に始まった「潜水空母」計画。伊400の建造は設計段階から困難を極めました。なかでも難題は「翼全長12mの航空機を直径およそ4mの格納筒に入れる」こと。いったいどのようにして解決したのでしょうか――?
*エピソード3 伊400と若き乗組員たち
終戦の前年に完成した伊400。乗組員たちの多くは10~20代の若者でした。その彼らに与えられた任務とはアメリカの大艦隊への「特攻」。死を覚悟して出撃した若者たちを、しかし思いもよらぬ事態が待ち受けていました。その時、全乗組員を率いる伊400艦長が下した決断は・・・・・・。
■ガダルカナル 大敗北の真相
●NHK本放送 8月12日(水) 22:00~22:45
*エピソード1 エリートたちの判断ミス
ガダルカナルの戦いは日本陸軍・一木支隊の戦闘から始まりました。916人の一木支隊が戦ったアメリカ軍部隊の兵力は10倍以上の1万あまり。ケタ違いの戦力差を前に一木支隊は全滅します。この無謀な作戦を立案したエリート参謀たちは、楽観的な見込みしかせず敵を正確に把握していなかったのです。
*エピソード2 最大のチャンス
第一陣の壊滅を受け、日本軍が急ぎ投入したのが陸軍・川口支隊でした。同隊は米軍の弱点・ムカデ高地を攻撃、作戦目的の達成にあと一歩のところまで迫ります。しかし、ここで日本陸海軍の連携がうまくいかず戦力が不足、攻撃は挫折しました。この時、日本軍にとって「最大のチャンス」が消え去ります。
*エピソード3 終わりなきサバイバル
川口支隊敗退後も日本軍の兵力は送られ続け、「ガ島」日本軍将兵の数は3万に達します。しかし、補給の失敗、特に食糧不足は絶望的で、兵士たちは言語に絶するサバイバルを強いられました。この時島にいた陸軍将校の日記や元米軍兵士の証言から、壮絶な飢餓の戦場の実際が浮き彫りに――。
■NHKスペシャル「沖縄 “出口なき”戦場~最後の1か月で何が~」
*番組内容:75年前の沖縄戦、日米の勝敗が事実上決したにも関わらず、その後、多くの命が犠牲になった。NHKは、アメリカ軍の膨大な新資料を発掘、苛烈な戦闘の全貌に迫る。
*詳細:住民12万人が命を落とした沖縄戦。1945年5月末、日本軍の総司令部があった首里が陥落、事実上の勝敗が決した後にも関わらず、戦闘は継続。少なくとも住民4万6千人が命を落とした。なぜ、これほど多くの住民が犠牲になったのか。今回NHKは、アメリカ軍の新資料を発掘、苛烈な攻撃に住民が巻き込まれていった詳細が浮かび上がってきた。終わることなく続いた戦場で何がおきていたのか。多くの命が失われた1か月に迫る。
■NHKスペシャル「証言と映像でつづる原爆投下・全記録」
*番組内容:今回私たちは、アメリカの原爆開発の現場責任者の手記や、当時の日本の指導者たちへのインタビューを入手。それにNHKのアーカイブスを加え、原爆投下の全体像に迫った。 *詳細:戦後75年にあたる今年、私たちは、アメリカの原爆の開発計画の現場責任者の手記を発見。さらに、原爆を投下した爆撃機のパイロットや、当時の日本の指導者へのインタビューも入手した。そこからはアメリカが自らの「正義」のために、投下を決定した過程や、日本が降伏を決断できないまま、あの日を迎えてしまった経緯が浮かび上がってきた。これらの資料に、NHKが取材した膨大なアーカイブスを加え原爆投下の全体像に迫った。
■にっぽん!歴史鑑定「太平洋戦争開戦!山本五十六の苦悩」
放送日:2020年8月10日 BS-TBS
太平洋戦争と山本五十六の関係に迫る。アメリカをはじめとする連合軍と日本が戦いを繰り広げた同戦争では、300万人もの人々が命を落とした。しかし、大日本帝国海軍・連合艦隊司令長官の山本は、日本の敗戦を予測していた。また、日本海軍史上最高の名提督と言われる山本は、日米開戦を回避しようと尽力もしていた。
ところで、お勧めのテレビ番組を紹介しておきます。BS,TBSの「関口宏のもう一度!近現代史」です。保阪正康氏をコメンテーターに迎えて明治から昭和の時代を振り返る数十回続く地味ではあるが貴重な番組です。日本人が知っておきたい歴史の事実に目が開かされます。
■「関口宏のもう一度!近現代史」〔番組HPより〕
12/12(土)は昭和7年後半を詳しく取り上げる。日本が満洲国を承認。そんな中、リットン調査団が報告書を公表。意外と日本に妥協的 ...〔略〕