㊸ アキレス腱つながった
こんばんはー!森進一でーす。
ご夫婦で現れたご両親。んじゃ、奥さんは、森昌子?
一目散に、処置室に駆け込んだ。・・・・。
出てきたご両親に、私は土下座せんばかりにお辞儀をして詫びた。本当にすみませんでした。心から詫びた。泣いてしまった。
職業柄、無意識に名刺を差し出して、名乗った。先方、旦那さんも名刺を出して「森進一と申します。」「・・・・・。?」京都大学文学部 助教授 森進一 。確かに、森進一さんだ。奥さんは普通の人だった。
「娘には、いつも横断歩道は走らない様言ってたのですけどね!」
「本当に馬鹿な娘ですみません。」
返す言葉がありません。
「横断歩道の上やから、悪いのは車や。」おばはん、また出てきた。「私が車に乗せてあげて連れてきました。」聞いてないのにでしゃばる。
おかしいと思いつつ。奥さん「・・・・。?」
「私は、目撃者です。」
だから犯罪者違うって!
女の子が出てきた。顔中を包帯に覆われて歩いて出てきた。顔をケガしていたのか。内臓破損ではなかった、良かった。しかし、女の子のことだ、傷が残るのか?いろいろな心配が出てくる。
「あんた、女の子の顔にあんなキズをさせて、えらい事や!」
死人に鞭打つとはここで使う言葉か。
ご両親は、娘さんを連れて、ひとまず自宅に帰るという事で、私は必ずお見舞いに行くことを言って見送った。
すぐに警官が、「現場検証に行きますのでついて来なさい。」いつの間にか犯罪者扱いだ。手錠こそ掛けられないが、うなだれた姿で着いていくと、ロビーに会社の先輩が立っている。
「警察から連絡があって身元引受に来るように言われた。」「・・・・・・・。」
私は、その先輩の前で、膝をついて、号泣した。声を上げて泣いた。
でも、振り返ると、おばはんが冷たい目で見つめている。これから私はどうなるの?
続く。