エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

蝉時雨

2016年08月26日 | ポエム
そろそろ、法師蝉が啼く。
田舎に行けば、おそらくカナカナが鳴いているだろう。

だがしかし、まだミンミン蝉の蝉時雨が喧しい。



二匹の蝉。
家の蝉は「ちっち蝉」かもしれない。
ちっち蝉は、夏の終わり頃姿を現す小さな蝉である。



前日までの曇天と打って変わって,昨日は暑いけれど涼やかな一日であった。
木陰を通り過ぎる風が爽やかであった、のだ。

まさしく「片陰」の一日でもあった。







「蝉時雨足下の穴の奥深く」







土に穿たれた穴。
その上には蟬の脱け殻。

蝉時雨の元である。



空蝉、源氏物語が脳裏に浮かんでくる。
美しい例え、である。



穴は、かなり大きい。
一度この穴を穿った蝉が、再び戻ってくる事は無い。

悲しい物語、である。



けれども、命の限りに謳歌せよ!
生きる、その事は素晴らしい。



     荒 野人