![]() |
溺レる 文藝春秋 このアイテムの詳細を見る |
天気 大雨はどうなったの?
川上弘美 著 : 溺レる
を、読みました。
川上弘美初読の一冊、ステキな濫読家のMOWさんが
酔っ払ってしまった、この本を私も読んでしみました。
なんと個性的な文章なのでしょう。
作家といえば皆個性的で
その極致の方が、受賞なさっているわけですけど
こういう個性は初めてで、しかしどこか懐かしい
全体的に、表現がとても古風なのです。
例えば・・・・。
結婚は『添う』、駆け落ちは『ミチユキ(道行)』
性欲は『アイヨク(愛欲)』で、SEXは『情交』
というように、昨今では人々が会話の中で使わない言葉達
さらに・・・・。
『メザキさん』『モウリさん』『ナカザワさん』に『ハシバさん』
男はほとんど苗字だけ、しかもカタカナで表記され
登場する女性ももちろんカタカナの名前だけ
そして男と女の会話は・・・・。
『歩きましょうか』『そうですね』
『泣いてるの』『別に』『泣くなよ』『泣くわよ』
掛け合いのようにリズムがいいのだけど
これまた一般の会話の中ではありえないような
セリフのような会話シーン。
登場するのは、一人の男と一人の女。
全てが恋愛のストーリーなのですが
こういう要素で、全てが成り立っているので
その異質的なものが、かえって性的なものを
際立たせるのか?
過激な性描写があるわけでもないのに
どこか官能的!はじめて出会うタイプの
恋愛短編集でした。