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怒り(上) |
吉田 修一 | |
中央公論新社 |
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怒り(下) |
吉田 修一 | |
中央公論新社 |
吉田修一 著 : 怒り
を、読みました。
東京八王子の住宅街で起こった、凄惨な殺人事件。
この事件を軸に、房総半島、新宿、沖縄の離島に住む
人々とそこに現れた、素性のわからぬ男たちとの物語
徐々に、殺人事件の犯人を追いつめる
クライムサスペンスのスピード感と
市井の人々の心の葛藤が、見事なコントラストを描き出す。
この作品の後半の大きなテーマが、“信じる”だったと思います。
家族愛、幼い男女の愛、同性を愛する愛。
どうしようもなく愛しているのに、
どうしても相手を信じる事が出来ないと思ってしまう者。
それは、自分を信じていないからだと気づかされる者
信じた愛を貫こうとして、拒絶される者。
人と人とが、信じあえる。そんなシンプルな事が
人の幸福の大きなキーポイントになるのだろうと
教えてもらった、物語でした。