フルート吹きのほっと一息

フルートのこと、音楽のこと、作曲家のこと。そして愛犬トム君との日々。
一緒に楽しんでくださると嬉しいです

小松昭五・昭和45年のフルートリサイタルから

2017年11月18日 | 小松先生と。

今月3日4日の小松先生の葬儀で

先生の演奏の録音を聴くことができました。

使われていた楽器はイギリス製ドゥーダルカルテという名器で

NHK札幌放送管弦楽団より貸与されていたそうです。

 

1969年42歳の時の札幌共済ホールでのリサイタルから

指揮者として活躍していたアンゲルブレック作曲のソナチネ。

生き生きとした素晴らしい演奏の録音で感激でした。

こんな素晴らしい演奏をされていた先生に

中学生の私は教わっていたのかと、愕然とする思いでもありました。

 

告別式では昭和36年33歳当時NHKラジオで放送されていた

「音楽のしおり」という全国放送の番組で3/26.6/24に放送された

プログラムから牧神の午後への前奏曲をピアノの伴奏での演奏でした。

 

葬儀での有志による演奏に私も加わっていましたが

先輩方が小松先生の演奏の録音が欲しいと口々に言われました。

 

葬儀から10日ほど過ぎて小松先生の奥様に

録音のコピーを頂けないでしょうかとお願いしたら

快諾してくださりましたので相談すべき方に相談して、

これからご希望される方々を募って形にしたいなと思っています。

 

 


嵯峨野の秋

2017年11月11日 | 動画のお部屋

 

岡坂慶紀 作曲「嵯峨野の秋」現代作品を先月末日に録音してみました。

 

 

楽譜を岡坂先生から頂いたのは2010年のこと。練習に取りかかるまでの時間もかかっていますが取りかかってからの時間も2年くらいかかっています。

 

 

西洋音楽では小節線や小節単位を読みながら演奏するのが常ですが,西洋音楽的拍子感を取り払って、抑揚感を指示通り正確にしかし情緒を持って演奏する『A』の部分。この現代曲の場合、音が生まれて消えて行くというのがスラーひとつで表されていて小節線を感じさせずに(合わせる目安の変拍子の小節線はある)演奏して行く。これが複雑なピアノのリズムを聞き取りながら迷わず複雑なリズムを表現するソルフェージュ力がぎりぎりで、ふっと目を光らせた瞬間に崩壊しそうになる。。

それから拍子らしき感覚は一応ある「B」の部分。フルートに絡んでくるピアノがリズムや対旋律や和声ではなく一本の糸にいろいろな材質の同色の糸を絡ませていて時々同色のラメが入っていたり糸と同じ色のいろいろの形のビーズが編み込まれている様ないろいろな素材で出来た一本の帯紐みたいなイメージというかDNAの螺旋模様を見ている様なというか。いや〜、こちらも演奏しながらピアノを聞き取るのが大変なんです。

そうだなぁ。私は何度か海外で演奏しているのですが,日本人である自分が西洋音楽を演奏していると時々違和感を感じていました。今年の7月に作曲された岡坂先生に「現代邦楽として捉えれば良いですか?」とお聞きしたら、「いえ、現代曲として」とのお話で、「日本人としてのアイデンティティを大切に意識して作曲しています」とのお話。岡坂先生はこの作品をとても緻密にかかれていたのでニュアンスの精密さがとても難しかったのですが、札幌の11月の桜の紅葉の下を歩きながら録音を聴いていると秋が深く心にしみる。自分の演奏なのに。こ難しそうに書かれていますが単純に聴いていると耳にも優しい良い曲です。

そうそう、亡き恩師☆増永先生が仰っていたのですが「まず作品があってそれを伝えるために記号を記しているんです。ですから楽譜に書けないことも沢山あります。紙の上にはこうしか書きようがなかったと考えられませんか?」というふうに言われたことをひしひしと思い出しました。岡坂先生の記譜はこの雰囲気を表すためにこう書かなければ演奏家に伝わらないということですね。細かく書いてくださってよかった。そんな感じで日本人としての誇りを持って演奏できる作品に出会えて幸せだな良かったなとフルートを手にして思う次第でございます。そして、とにもかくにも猛練習を積んだので、いつかどこかで披露出来れば良いかなと思います。

録音後にお聞きしたのですが,岡坂慶紀先生は今年10月4日に逝去されていました。心からご冥福をお祈りし素晴らしい出会いに御礼を申し上げます。

2017年7月 岡坂先生と私


仰げば尊し (追記あります)

2017年11月02日 | 小松先生と。

 

2017年11月1日のお昼頃

小松先生が九十歳で天寿を全うされました。

 

仰げば尊し わが師の恩
教の庭にも はや幾年
思えば いと疾し、この年月
今こそ 別れめ、いざさらば


2016/5/21の笑顔


札幌は今、穏やかな晴天で小松先生にぴったり。

今週末にお見舞いに伺う予定でした。

明るく楽しく素敵な素晴らしい方でした。

 

お通夜では感謝を込めて

フルートの合奏に加わってきます


通夜   11月3日18時

告別式  11月4日10時

会場   麻布斎場(北40西6)