今年もハチの巣ができていた。アシナガバチだ。庭には柚子の木や枇杷の木が、私が止めるのも聞かずに母が植えているので、アゲハ蝶の幼虫やアブラムシなど、ハチの餌になる昆虫などがたくさんいる。だから、害虫を食べてくれるアシナガハチは私は大歓迎だ。巣を触らなければ、ほとんど刺されることもない。それなのに、母はついにその巣を見つけてしまったのだ。そして、長い棒を持ってきて、ハチの巣を落としてしまった。ああ、これで枇杷の木のアブラムシや、柚子の木のアゲハ蝶の幼虫などは、また増えてしまう。アシナガバチの巣を落とすという発想は、小学生の度胸試しみたいなもので、本人は、これまでも何度かハチに刺されているのだ。全く小学生低学年レベルからほとんど進化していない87歳の母の頭脳なのだった。