さて、どうやって道を間違えたのか。冷静になって思い出してみます。
(今、まさにNHKで低山での遭難について放送してます。そうなんです)
行きの道でカモシカと遭遇した直後、一か所だけ分岐した箇所がありました。それは、右に行くとまだ雪渓が残っていて、しかも斜度がきつく、そのままではとても歩ける様子がないのです。その左のルートは稜線沿いなのですが、これも急峻な絶壁に近い登りで、いたるところに補助ロープがあります。その稜線沿いルートを選択し、登っていきますが、さっきまでとは様子が違いやぶに近い感じです。つまりどういうことかと言うと、まだシーズンが早く本来のルートは雪渓が残っているため、その回避ルートととして、臨時的な「やぶ」の多いルートを通ったわけです。この記憶が、あとでとんでもない事を引き起こすことになるのです。
さて、帰り道では、その逆コースは、分岐個所が全くわかりません。そのまま明らかな登山道をまっすぐ進んだのですが、途中で急に右に下りはじめ、こんな所あったかなあ?と思いながら下がると、急斜面の雪渓に遮られ進めなくなります。後で考えると、ここが登りの時の「右コース」だったのです。つまり、稜線沿いの「やぶ」ルートを見失ったのです。そこで一旦登り返し、稜線沿いを進むことにします。踏み跡があるため、最初は自分の来た時の足跡だと思ったのですが、そこはカモシカの踏み跡のけもの道だったのです。進めば進むほどやぶが深くなり、どうもおかしいと思い、周りの状況が見渡せるところまで進みます。すると何という事か、目指していた方向とは90度違う方向に「白抜山」の電波反射板がかなり低い下の方に光っているではありませんか。そこまで既に1時間ほどやぶを進んでいます。
ここで一旦冷静に考えます。山で道に迷った場合、決して谷に下ってはいけない。めんどうで体力もきついが登り返すのが一番安全。
私は、今来たやぶルートを正規登山道が確認できる場所まで戻ったのです。合計で2時間近くやぶを歩きまして。そうやって元の場所まで戻り、注意深く探すと、正規稜線ルートを示す赤いテープを発見。これでようやく今日中に駐車場まで戻れると思うのでありました。(終了)