映画感想(ネタバレもあったり)

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映画『日日是好』 ものすごい監督の演出力! 

2020-12-29 | 映画感想
なかなか観たことのないテンポ感、空気感の映画でした。
素晴らしかったですよ。よくこのバランスが成立したなぁと感心します。

これをやろうとして失敗してる映画が多いんでしょうね。
成功してるのを初めて観たかもってなレベル。

監督の力かと。


茶道ってやったこともないし全然知らないんですが
たぶんこの映画の雰囲気のものなんでしょうね。


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鶴田真由のセリフがいい。

茶道を開いた千利休が生きていたのは戦国時代。
今日会った人とまた会えるかどうなんてわからない時代。
本当の意味での一期一会だったんでしょうね、
的なセリフ。



世界はコロナ禍の渦中ですし
毎年日本のどこかで大きな災害が起きていますし
一期一会という言葉が以前よりもヒリヒリしたものに感じます。


そんな渦中でも
意地でも着物着てお茶室で季節を感じながらお茶を飲むんだ!
という姿勢が
平和に対する希求のように感じました。

お茶室に集う着物姿の女性たちから、ほとんど怒りのような平和への祈りを感じました。


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あと、面白かったのは。
この映画は25年間を描いているのですが。


最終的に45歳になった黒木華が見た目は完全な(色気たっぷりの)お姉さまになっていましたけど、
内面には20歳の頃の黒木華が残っているんです。

僕も41歳ですけど、中身は20歳くらいからそんなに変わっていない。。
きっと多くの方が同じように思ってると思います。


でも、しっとりとした45歳の女性を見て「中身は20歳なんだろうな」とは思わないんだけど、
この映画だとあの45歳の黒木華の中身は20歳に見えました。


25年という時間は長くて恐ろしいものだけど
同時にあっという間で優しいものなのかもな、などと。


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2回観たんですけど、、
(『EVERY DAY』は4回観たし、、ヒマかっ!)
2回見ると先生役の樹木希林からもまた25年を感じることができました。

樹木希林はラストあたりで黒木華に
「あなたも教える立場になりなさい。教えることで教わるのです」的な事を言う。


25年前の樹木希林もまた
教えることで教わっている状態だったんですね。

だから
いかにも現代の若者って感じの黒木華と多部未華子を優しく包んでいた。

初めての茶道をキャッキャッと楽しんでる若者から、樹木希林も何かを学ぼうとしていたんですね。

この時の樹木希林(の役)はたぶん50歳前後かと。
その歳であっても、学び、吸収する。


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たまに茶道あるあるみたいなコントっぽいシーンも面白いですね。

あけましておめでとうございますゴニョゴニョゴニョゴニョとか
どうもどうもあらまぁあらまぁの応酬とか
大奥みたいな謎の儀式とか。


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ぜひ!


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