寓居人の独言

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思い出話 羽木原順子(仮名)さんのこと(20130717)

2013年07月17日 16時52分38秒 | 日記・エッセイ・コラム

  大学2年生の夏休みも終わりに近い9月中頃のことであった。他学部の同期生の友人が3泊4日で浅間山登山をし、その後ワンダーフォーゲルの1年上の先輩のおじさんが軽井沢の照月湖の畔に別荘を持っており、そこに2泊して鬼押し出し白糸の滝など浅間山周辺をワンダーするが行かないかと誘ってくれた。出発当日、通常の装備を持って上野駅の集合場所に行った。そこには女性4人と男性3人がまっていた。男性は同部の同期生、女性2人は1期上同部員、他の女性2人は1期下の一般学生と言うことであった。
 上野駅から夜行列車に乗り翌早朝小諸駅に着いた。そこで朝食を作って(自炊)たべ、開園した懐古園を少時見学した。小諸は国民学校3年生の7月末日に学童疎開に行くときと10月末の帰りの時に通過した駅で懐かしく思い出された。あのときいただいたお芋と炒り豆が美味しかったのを思いだした。その後、バスで浅間館まで行きそこから火山館を過ぎて浅間山山頂へ上った。天気はよく山頂の火口の底がはっきり見えた。薄い火山ガスが出ており鼻を刺激した。下りは東側の道を下って火山観測所へ降りることにした。途中直径1メートルほど草の生えていないところがあった。そこは狸地獄と言われているという話であった。ある冬の日、狸がそこで死んでいたのだそうで俗にそう呼ばれるようになったということであった。周辺は深く雪が積もりその場所だけが雪がなかったので狸がそこで身体を温めようとした。その草のないところは臭気のない火山ガス(CO2あるいは窒素ガス?)が大量に出ていたので狸は窒息したらしい。私たちは匂いをかいだが硫黄を含むガスの臭気は感じなかった。紙に火を付けてそこへかざすと高さが下がるとシュッと火が消えた。周りの空気を送って同じ事をやったが同じ結果になった。
 火山観測所の前の道路を左に折れて約2時間ほど歩くと照月湖へついた。そこまで歩きながらいろんな組み合わせでさまざまな話をして歩いたので8人はすっかりうち解けてしまった。
 羽木原順子さんは文系の実験をする学科と言うことだった。読んだ本の話に花が咲いた。私とすっかり意気投合したように私は感じた。その山行は私のよい想い出になった。
 東京へ戻ってしばらくすると、順子さんから映画にいきたのだが一緒に行ってくれないかと誘われ同行する約束をした。映画の題名は忘れてしまったが、私の好みの映画ではなかったと思う。映画館はすごく混んでいて後ろの方で立ち見になってしまった。しばらくすると私の手に何か熱いものがしばしば触れることに気がついた。横を見ると順子さんがすました顔で映画を見ていた。私は驚いて腕組みをしてしまった。もしかしたらそのために映画のことを覚えていないのかも知れない。映画館を出て東急会館の裏手のレストランでダックウッドサンドというのを食べた。これがとっても美味かったのもその日のいい想い出になった。
 その後数回順子さんと会ってお茶を飲みながら話をしたが、それ以上には進まなかった。当時の私は授業が面白くて女性に余り関心が無かったのであった。


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