思いつきで入ってみた『館』は、あまりお客さまもおらず、静かだった。
この時期(数十年前)、占いの館が大ブームで、あちこちに出来ていた頃があったので、とりあえず、オフィスを借りての『とりあえず館』的な『館』も多かったように思う。
おそらく、平日だからなのだろう…、静かだ…。
「………でしょ。」
「……なのよ。」
店内は、音楽も流れていなくて、奥から話し声も聞こえるが、おそらくスタッフ同士の会話だろう…。お客さまとの会話でも無さそうだ…。
商売っけの無い雰囲気だ。それとも、オープンしたてなのかな?
…それより、霊感の占い師がいなさそうだ…。
「いらっしゃいませ」
「あの…占いを。」
「はい、こちらへ」
え?先生を選べない感じのお店なの?
まぁ、普段の私は、そればそれで、構わないんだけど、今は霊感占いをして貰うように社長命令が出ている。
「え?あの…、霊感占いの先生はいらっしゃいますか?」
「はい。」
おぉ!たまたまいたのかな?ラッキー!