久しぶりに勇一に会った。
「ごめんね、いつも先延ばしばかりで…」
「忙しいんだし、仕方ないよ。」
「旅行の件は、必ず叶えるからね」
「無理しないで…」
「だって、君、行きたがっていたじゃない?」
…え?誰の話し?
そもそも旅行を言い出したのは勇一さんの方だ。
しかも以前から「忙しい…忙しい」と言っていたから、全く期待していなかった。
…なのに、行きたがっていた…とは…、誰のこと?
「旅行は、無理しないで、そんなに行きたいワケではないから」
「そんなぁ…拗ねないで…」
…拗ねる?
拗ねてなんかいない。
誰かと間違えているのか、もしくは、彼の頭の中の私は、拗ねて見せたりするかわいい女だと錯覚されているのか…。
それを否定したかっただけだ…。