「私は、浜田くんとは、付き合っていません。私が本当に好きなのは…」
という莉沙の言葉を遮って、神田は、浜田とはこれから仕事を一緒にする…と告げた。
莉沙は、さすがに口ごもった。
しかし、莉沙は負けていない。
せっかくのいいチャンスだと思ったのか、会話を続けた。
「私、実は、もともと神田さんに関心があったんです。」
「……」
「仕事も出来るし、素敵です。だから…」
「ボクも、実は、山下さんに関心があったんだ。」
神田は、笑子の方に向き直った。
…え?!
時間が止まった。
「どういうこと…?」
止まった時間を動かしたのは、莉沙だった。
「どういうことですか?神田さん」
「だから、関心がある…という意味だよ」
「私の関心という意味は、好意がある…という意味で言ったんです。」
「ボクもそうだ」
「だけど、先輩には、彼がいます」
「知ってる。ただ、関心を抱くだけならいいだろう?」
「……」
「解りました。今日は、帰ります」
莉沙は、少し早足で、出ていった。