旅館38

2023-12-29 08:50:01 | 日記
「おじいちゃん…。ちょっと聞きたい事があるんだけど…」

夕方、新聞を見ている祖父に改めて話しかけた。

「どうした?」

「あの…『いさみや』の物置小屋にある箱の件だけど…」

祖父の表情が一瞬曇ったが見えた。

「おじいちゃんは、その箱の話しには、触れなくないかも知れないけど…。他に聞ける人がいなくて…。教えてほしいの。」

「どうした?」

いつになく神妙な顔つきの夕美に、覚悟を決めたかのように、祖父も座り直した。

そして、一連の出来事をすべて打ち明けた。

「…そうか…、そりゃいかんな…。たろう様の怒りだ」

「たろう様?」

「あの箱に入っているのは、たろう様だ。」