黛玉は即座に立ち上がる。すると、贾母は笑いながら黛玉に話した。「彼女は、有名な凤辣子で、贾琏,2番目に生まれた兄(贾赦)の義理の姉妹の奥さん、あなたの伯母(贾敏)の姪、義理の姉妹あるいは、凤姐とよばれます。」
この王熙凤が黛玉の手を引いて、くまなく目で見てから推し量り、笑って言った。「この世にこれほどかわいらしい人がいるなんて、今日認めたわ。本当に美しい。この体全体が醸し出す特有の気風は、祖先の娘の孫娘というよりは、息子の孫娘のようです。
彼女に言い終わると、黛玉の手を取って、尋ねた。
「娘さん、お年はおいくつ?習いに出かけて行っているの?ここに住んでいればホームシックとは無縁で、何を食べたいとか、どうして遊ぶとか、とにかく私が対応します。また下女たちが気に入らないなら、私にお話しなさいね。」
下女たちの方に体を向けて言った。「できるだけ早く部屋を掃除して、下女たちを手配しなさい。」
話しているうちに、下女が茶菓を持ってきた。王熙凤が、自ら黛玉に茶を持ち、茶菓を手渡した。お茶を飲み終わった後、叔父の母にあたる邢夫人は、黛玉が叔父の贾赦に拝謁するよう促した。
その後、黛玉は二番目の叔父である贾政のもとへも行った。
贾政の妻王夫人は黛玉に言う。「あなたの三人のお姉さんたちは、皆優秀です。これからあなたたちは一緒に本を読み、字を学び、お裁縫を覚え、一緒に笑って遊びなさい。でも、とりわけ気をつけなければならないのがひとりいて、面倒をかけるいたずらっ子で、家の皆があの子のことを「混世魔王」とよんでいるわ。あなたを含めた姉妹たち皆が敢えてあの子を怒らせようとはしないわ。 あの子にあまり構わないでね、張り合ったりしないでね。」
黛玉もかつて母親から聞いたことがある。二番目の伯父さんの家にはいとこがいて、玉を持って生まれ、その所以で宝玉と名付けられ、特に腕白で読書はいやがり、一番楽しいのが女の子と一緒に遊ぶことだそうだ。祖母が大変可愛がり、そんな経緯で誰も構わなくなった。
黛玉はこうした状況を知っていたので、叔母の話にすぐに同意した。
ちょうどその時、一人の下女が伝言を渡し、「おば様が夕食だと言っております。」と放った。