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「地方の医療現場で戸惑う方言、津軽弁などデータベース化へ」(3月8日、産経新聞)
地方の医療現場では今、標準語を話す若い医師や看護師が増え、方言を使う高齢者が、身体の痛みや心の悩みを伝え難くなっているという問題を抱えている。こうした中、医療や看護の場面で多く使われる方言をデータベース化し、世代間や地域間の“言葉の壁”を取り払い、御年寄りが住み易い地域作りを進めようというユニークな取り組みが行われている。
医療現場での方言を調べているのは、富山商船高専と青森・弘前学院大、県立広島大、大分大の共同研究グループ。昨年度から青森、富山、広島、大分の4県で高齢者や医師、看護師等から、方言を巡る意思疎通のトラブルや症状の説明に関する言葉を集め、大分を除く3県でそれぞれ約500語のデータベースを試作した。
例えば、津軽弁(青森)で発熱前の背中がゾクゾクする感じは「うじゃめぐ」、「ぐじゃめぐ」。御腹の鈍痛は「腹にやにやする」、「腹にきにきする」。広島弁で肘を机の角にぶつけて、痺れた時の感覚を「はしる」等といった方言を纏めた。
青森県の津軽地方を担当した弘前学院大の今村かほる准教授(方言学)は「津軽は今でも方言が主流だが、核家族化や昭和30年頃迄学校教育で行われた方言や訛りの矯正で、若者の言葉は標準語に近くなった。」という。この為、津軽に移った人が言葉の違いに戸惑う「地域差」と、高齢者の言葉が判らない「世代差」の2つの問題が生じた-と指摘する。
調査では、「方言が通じそうな年配の看護師に話し掛ける。」と答える高齢者も居り、悩みが伝わるか不安を抱いている事が判った。又、県外出身の医師が覚え立ての津軽弁で「診察台の上に、さ、のだばりへ(足を投げ出して座って下さい)。」と言うつもりが、「診察台の上に、さ、くたばりへ(死んで下さい)。」と間違え、患者を怒らせたエピソードも在ったという。
今村准教授は「データベース化によって方言が通じ合い、暮らし易い地域社会に出来れば良い。」と話している。
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「足を投げ出して座って下さい。」と言おうと思ったのが、誤って「死んで下さい。」と言ってしまい、患者を怒らせてしまったというのは、当事者に全く悪意が無いだけに気の毒さを感じてしまう。言った当人も、最初は何故相手が怒っているのか理解出来なかったのではなかろうか?
もうかなり昔の話になるが、海外出張した際に同行した人物が急病になった。夜中にホテルの部屋で寝ていた所、その人から電話が掛かって来て「夜分申し訳無いです。2時間位前から急に下腹部が痛くなり、ずっと我慢していたものの耐えられなくなって来て。フロントで薬を貰いたいのだけれど、通訳して貰えませんか?」と。早速、彼を伴ってフロントに向かったのだが、そもそも自分は英語が下手糞な上に、医学用語の語彙力に乏しく、それも症状から考えられる病名が「風邪」や「胃痛」といった良く使われる類いの物では無かった為に、辞書を引き引き四苦八苦し乍ら意思疎通を図った。
結局、その後で病院に向かったのだが、此処でも意思疎通は大変だった。特に厄介だったのが症状の説明。痛み一つとっても「引き攣る様に痛い。」とか「ジクジク痛い。」、「差し込む様に痛い。」等々、日本語での表現は様々。それを正確に伝え様と思えば思う程、英語での表現に苦慮。それこそボディー・ランゲージを交え乍ら、何とかかんとか伝える事が出来た。
他国語では無いものの、標準語と比べると他国語の様にも聞こえてしまう方言も在る。昔書いた記事「けったましーん」でも触れたが如く、その地域独特の言い回しも。意思疎通が上手く出来なかったが故に、無用なトラブルを生じさせてしまったとしたら、これは医師&患者双方にとって不幸な出来事だ。方言のデータベース化というのは決して派手な作業では無いが、重要な意味合いを有していると思う。
「地方の医療現場で戸惑う方言、津軽弁などデータベース化へ」(3月8日、産経新聞)
地方の医療現場では今、標準語を話す若い医師や看護師が増え、方言を使う高齢者が、身体の痛みや心の悩みを伝え難くなっているという問題を抱えている。こうした中、医療や看護の場面で多く使われる方言をデータベース化し、世代間や地域間の“言葉の壁”を取り払い、御年寄りが住み易い地域作りを進めようというユニークな取り組みが行われている。
医療現場での方言を調べているのは、富山商船高専と青森・弘前学院大、県立広島大、大分大の共同研究グループ。昨年度から青森、富山、広島、大分の4県で高齢者や医師、看護師等から、方言を巡る意思疎通のトラブルや症状の説明に関する言葉を集め、大分を除く3県でそれぞれ約500語のデータベースを試作した。
例えば、津軽弁(青森)で発熱前の背中がゾクゾクする感じは「うじゃめぐ」、「ぐじゃめぐ」。御腹の鈍痛は「腹にやにやする」、「腹にきにきする」。広島弁で肘を机の角にぶつけて、痺れた時の感覚を「はしる」等といった方言を纏めた。
青森県の津軽地方を担当した弘前学院大の今村かほる准教授(方言学)は「津軽は今でも方言が主流だが、核家族化や昭和30年頃迄学校教育で行われた方言や訛りの矯正で、若者の言葉は標準語に近くなった。」という。この為、津軽に移った人が言葉の違いに戸惑う「地域差」と、高齢者の言葉が判らない「世代差」の2つの問題が生じた-と指摘する。
調査では、「方言が通じそうな年配の看護師に話し掛ける。」と答える高齢者も居り、悩みが伝わるか不安を抱いている事が判った。又、県外出身の医師が覚え立ての津軽弁で「診察台の上に、さ、のだばりへ(足を投げ出して座って下さい)。」と言うつもりが、「診察台の上に、さ、くたばりへ(死んで下さい)。」と間違え、患者を怒らせたエピソードも在ったという。
今村准教授は「データベース化によって方言が通じ合い、暮らし易い地域社会に出来れば良い。」と話している。
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「足を投げ出して座って下さい。」と言おうと思ったのが、誤って「死んで下さい。」と言ってしまい、患者を怒らせてしまったというのは、当事者に全く悪意が無いだけに気の毒さを感じてしまう。言った当人も、最初は何故相手が怒っているのか理解出来なかったのではなかろうか?
もうかなり昔の話になるが、海外出張した際に同行した人物が急病になった。夜中にホテルの部屋で寝ていた所、その人から電話が掛かって来て「夜分申し訳無いです。2時間位前から急に下腹部が痛くなり、ずっと我慢していたものの耐えられなくなって来て。フロントで薬を貰いたいのだけれど、通訳して貰えませんか?」と。早速、彼を伴ってフロントに向かったのだが、そもそも自分は英語が下手糞な上に、医学用語の語彙力に乏しく、それも症状から考えられる病名が「風邪」や「胃痛」といった良く使われる類いの物では無かった為に、辞書を引き引き四苦八苦し乍ら意思疎通を図った。
結局、その後で病院に向かったのだが、此処でも意思疎通は大変だった。特に厄介だったのが症状の説明。痛み一つとっても「引き攣る様に痛い。」とか「ジクジク痛い。」、「差し込む様に痛い。」等々、日本語での表現は様々。それを正確に伝え様と思えば思う程、英語での表現に苦慮。それこそボディー・ランゲージを交え乍ら、何とかかんとか伝える事が出来た。
他国語では無いものの、標準語と比べると他国語の様にも聞こえてしまう方言も在る。昔書いた記事「けったましーん」でも触れたが如く、その地域独特の言い回しも。意思疎通が上手く出来なかったが故に、無用なトラブルを生じさせてしまったとしたら、これは医師&患者双方にとって不幸な出来事だ。方言のデータベース化というのは決して派手な作業では無いが、重要な意味合いを有していると思う。
ウエンツ瑛士君は、英語が殆どと言って良い程話せないそうです。でもあの風貌ですから外国人から普通に話し掛けられる事が結構在り、その度に“I can’t speak English.”とやって相手から不思議そうに見られると言っていました。
自分は方言が好きで、別段その地域に住んでいた訳でも無いのに、地域地域の方言を耳にするとホッとしたりします。最近はどこの地域でも標準語を話す子が増えていますが、文化としての方言が消えて行っているとしたら寂しいですね。
医療に関することは命に関わるから
方言にも理解が要りますね。
津軽弁の場合は県外の医者が頑張って
喋ったのが裏目に出ましたね。
しかし患者も「他所の人」と
理解してやる余裕が無いくらい
症状がキツかったのでしょうか?
怒るくらいだから
そこまででないような気が。
研修医制度崩壊のお陰で
地方の医者が減っているので
地域の医者を大事にしなくては?
青森に来てDIY関係の店の左官コーナーで販売研修したとき、来店したお客さんの言葉が『なかすな けろ(なかすな 下さい)』と聞こえたのです。セメントに混ぜる砂の一種かと思い、店長に訊ねると、「そんな物無い」。お客さんに『なかすな』を確かめると『ラッカーシンナー』だったのです。
海外の歯医者はすぐ抜きますよとは聞いていたが思ったより大胆。処置は間違ってなかったのでしょうが、痛い経験でした。