幼少時に見た「砂漠は生きている」に魅了されて以降、自然を題材にしたドキュメンタリー作品を好んで見る様になり、当ブログでも過去に「映像詩 里山」や「earth(アース)」、「北極のナヌー」等々のレヴューをアップして来た。今回は、先日見たドキュメンタリー作品「ライフ -いのちをつなぐ物語-」に付いて書く事にする。
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カメラは地球上の全大陸に足を踏み入れ、あらゆる技術を駆使して、多様な生き物達の生態を世界で初めて捉えた。天秤式のアームを使用してステディカムをオフロード車に取り付けたカメラ・システム“ヨギカム”を駆使して捉えたアフリカゾウの大群。肉眼では見えない細部の撮影を可能にしたハイビジョン・マクロ・カメラによるハエジゴクの捕食と受粉。ジャイロ式ステディカムによるグンカンドリ対アカハシネッタイチョウの空中戦やハンドウイルカの泥を利用した餌の捕獲。 超ハイ・スピード・カメラも、数々の生き物の珍しい生態を捉える。フサオマキザルの椰子の実割り、ハネジネズミのスピード移動、バシリスクの水面走行、トビウオの海上飛行。特製ボックスを使用したスーパー・ハイビジョン・カメラでバショウカジキの小魚の群れ追撃を撮影。彼等の行動は早過ぎて通常のカメラでは捉えられないので、此れ迄前例が無かったが、超ハイ・スピード撮影による80倍のスロー・モーション映像で、初めて其の生態を追う事が可能になった。 此の他にも、数多くの生き物達の姿がカメラに収められた。アイベックスに襲い掛かる狐。3匹のチーターが協力して行なうダチョウ狩り。コモドオオトカゲによる水牛への攻撃。ロライマ山に生息するオリオフリネラがタランチュラの攻撃を受けて岩場を転がり落ちて逃げる様子。木の枝の上で戦うチリクワガタ同士の愛の戦い。ザトウクジラの求愛コンテスト“ヒートラン”の完全撮影。 **************************************
兎に角、映像が素晴らしい!普通では見られない映像が、「此れでもか!」と言わん許りに登場する。捕食者から猛ダッシュで逃げるハネジネズミの映像なんぞは、F1レースを見ている様な迫力。
「へー。」と驚いてしまう事が多かったけれど、特に印象に残った事柄を幾つか下記してみる。
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・ カメレオンが餌を捕らえる際、押し出される舌のスピードは秒速15m。
・ 動物の死骸の腐肉の他、太い骨をも食するヒゲワシ。太い骨をも溶かしてしまう強力な胃液を作り出せるからこその事だが、骨を咥えて空中に舞い上がり、空高くから骨を落として割る技は見事。
・ ハエジゴクは、葉の内側に在る小さな毛(感覚毛)に昆虫等が20秒内に2度触れると、葉を素早く閉じて捕食する。
・ ヤドクアカガエルは、自らのオタマジャクシを1匹ずつ背中に乗せ、木を登って行く。葉の間等に僅かな水場を見付けると、其処にオタマジャクシを落とし、他にもオタマジャクシが居る場合は同じ事を繰り返す。そして各々の場所を記憶し、オタマジャクシが大人になる迄、(水場には餌となる物が無いので)餌として自らの卵を与えに続ける。
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弱肉強食の世界。「生きるというのは何なのか?」を考えさせられ、「自然界に在っては、人間も1つの生物に過ぎない。」という事を思い知らされる。
総合評価は星4つ。