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クラスで飼っていた金魚殺しの濡れ衣から、壮絶な虐めの対象となった深作日都子(ふかさく ひとこ)。小5の其の日から、彼女は“皆”には属さない“ヒトリコ”として生きる決心をする。ヒトリコとして生きる彼女の心の支えは、ピアノと偏屈なピアノ教師の“キュー婆ちゃん”だけ。
時は経ち、高校に進学した彼女達の下に、虐めの原因となった金魚を置いて転校した海老澤冬希(えびさわ ふゆき)が戻って来る。癒える事の無い、深い深い心の傷を抱えて・・・。
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第16回(2015年度)小学館文庫小説賞を受賞した「ヒトリコ」。著者の額賀澪さんは此の作品で文壇デビューしたのだが、実は「ヒトリコ」が上梓された今年6月26日、「屋上のウインドノーツ」という作品も同時に上梓している。「屋上のウインドノーツ」は、第22回(2015年度)松本清張賞を受賞。詰まり、彼女はデビュー作が2つ在るだけでは無く、其の2つが共に文学賞を受賞している訳だ。
明るくて友達も少なく無かった1人の少女・深作日都子が、小学5年の時にクラスで飼っていた金魚が死んでしまった事で、クラス中から村八分にされる。担任の心無い言動に端を発し、親友と思っていたクラスメートの裏切りにより、彼女は「関わらなくて良い人とは、関わらない。」と心に決め、周りとは関わらずに“ヒトリコ”として生きて行く。
全体的に“暗さ”を感じる描写。精神的に不安定な年代を描いている事も影響しているのだろうけれど、自分にはぴんと来る物が無かった。
又、登場人物の名前が、「姓」だったり「名前」だったりとバラバラで、御負けに誰が話しているのか良く判らない箇所が幾つか在ったりと、読んでいて混乱する事が多々。
「周りから孤立しているという意味合いの綽名“ヒトリコ”が先ず在りきで、主人公の名前を“日都子”に設定した。」という著者のあざとさも感じてしまい、読んでいて鼻白んだりも。
ネット上では高い評価を得ている様だが、自分の総合評価は星2.5個。