「国民の為」という言葉を連呼するも、実際には「私利私欲の充足」しか頭に無い様な政治家が余りに多い。プロ野球選手の中にも「ファンの為」と口にし乍ら、「我が身の事許り」しか考えていない様な人物も居るけれど、球団と選手が対立した場合には、個人的に選手側に肩入れしてしまうケースが少なくない。
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「ポスティングはモ~止めろ!中島、青木が惨めな結末」(1月20日、zakzak)
ダルビッシュの破格契約成立*1に許り、目を奪われてはいられない。
今オフ、ポスティング・システム(入札制度)でメジャー移籍を目指した3人の内“成功”と言えるのは、突出した存在のダルビッシュだけ。他の2人は、前代未聞の酷い扱いを受けている。
西武・中島裕之内野手(29歳)を250万ドル(約1億9,250万円)で落札したヤンキースは「控え」扱い。しかも6年間も球団の保有権下に置くという“飼い殺し”の様な条件を提示して、破談に到った。
首位打者3度を誇るヤクルト・青木宣親外野手(30歳)は、中島と同じ250万ドルでブルワーズに落札され2年契約を結んだ。
だが其の実態は、日本に駐在スカウトを置かずに独占交渉権獲得後、米国に呼び付けて事実上の“入団テスト”を遣らせてから、漸く正式オファーを出すという異例の扱い。しかも、年俸は、米紙報道によると1年目100万ドル(7,700万円)、2年目125万ドル(9,600万円)に買い叩かれた。ヤクルト時代の年俸3億3,000万円と比較すると、1/3以下だ。
メッツの大慈彌功・極東担当スカウト(55歳)は「ポスティングという抜け道的な制度はもう止めた方が良い。日本の選手は潔く海外フリーエージェント(FA)権取得迄待つべきです。」と断言する。
日本は海外FA権取得迄最短9年。メジャー登録6年でFA権を取得出来る米国と比べて長い。「ポスティングを廃止するなら、FA権取得に必要な年数を短縮するべき。」との意見も在る。
しかし、大慈彌スカウトは「米国ではルーキー・リーグ、1A、2A、3Aをクリアしなければメジャー迄辿り着けない。取得の難しさは日本の9年と同等。『長過ぎる。』と言うなら、最初から米国へ行けば良い。高卒で6年、24歳で移籍する選手が現れたら日本球界の崩壊に繋がりますよ。」と警告する。
一方、本紙評論家、須藤豊氏(74歳)は「日本に於ける“メジャーバブル”は弾けた。今オフは、選手達にとって『夢と現実』の違いを勉強するのに良いチャンス。」と指摘する。
「中島、青木への評価は、日本プロ野球76年の歴史にとって余りに寂しい。実績在る選手が入札制度の下、此れ程舐められるのを見ていられない。」と怒りを露にする。
そして須藤氏は、今こそ日本プロ野球組織の加藤良三コミッショナー(70歳)に「ポスティングの撤廃若しくは凍結を通告して欲しい。」と訴える。ポスティングが、大きな曲がり角に差し掛かった事は間違い無い。
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「ドラフト制度の存在自体を否定はしないけれど、『憧れのチームにどうしても入りたい。」願う選手が居るのも理解出来るので、ドラフト制度が存在する以上は、プロ入り後に一定条件を満たした選手達に『移籍の権利』を与えるべき。」と考えている。だからFA制度自体にも反対では無い。現在、「国内移籍のFA権」及び「海外移籍のFA権」取得には其れ其れ、次の期間を要する事になっている。
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=FA権取得に要する期間=
【国内移籍のFA権】
① 2006年迄のドラフトで入団した全選手: 累計8年(通算1,160日)経過で取得。 ② 2007年以降のドラフトで入団した高校生選手: 累計8年経過で取得。
③ 2007年以降のドラフトで入団した大学生・社会人選手: 累計7年(通算1,015日)経過で取得。
【海外移籍のFA権】
全選手が累計9年(1,305日)経過で取得。
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国内移籍は累計で7~8年、海外移籍は累計9年でFA権が取得出来る訳だが、「取得迄の期間を、もっと短くしろ!」と要求する選手が結構居るのだとか。元々は「累計9~10年」だったのを、選手会の要求で現行期間迄短縮した歴史が在り、「もっと短くしろ!」というのは要求が過ぎるのではないか?
球団は、選手育成に莫大な資金を投じている。ドラフト制度によって獲得した選手ならば、契約金や年俸を含めると更に多額の投資だ。其れだけの投資をし、やっと使い物になったと思ったら、数年で移籍をされてしまうのでは、球団経営の根幹にも関わって来るだろう。球団サイドで言えば、現行期間が歩み寄れる最低ラインと思う。
又、ポスティング・システムに関しては、個人的に反対。飽く迄もFA制度が本筋で在り、ポスティング・システムは抜け道としか思えないので。
唯、制度として存在する以上は、其れを利用して移籍する選手が出て来るのは仕方無い。でも其の場合には、今回の中島選手や青木選手の様に足元を見た交渉がされたり、買い叩かれたりする可能性は充分覚悟すべきだろう。「夢」を追い駆ける以上、「リスク」が伴う事も考慮しなければいけないと思うから。
*1 メジャーへの移籍を決断した理由として、ダルビッシュ投手が「野球選手として相手を倒すのが仕事だが、最近は試合前から相手に『此のカードで投げないでくれ。』とか『絶対に打てないよ。』と言われる様になった。冗談と聞いていても、此れではフェアな挑戦が出来なくなる。」というのを挙げていたが、此の理由は凄く理解出来る。冗談にせよ「試合前から白旗を揚げている様な言動を相手からされてしまうと、闘争本能を維持するのが非常に難しくなる。」と思うので。
FAで選手に出られると1銭も球団には入ってこない。ポスティングだと大金がはいる。
これだと、日本の球団は、選手を養殖して大きくなると、アメリカの球団に売り飛ばす。これだけで商売になりそうです。
勝つことよりも、個人技に優れた選手の育成を第1にかんがえ、選手を売って利潤をあげる球団がでてきます。まるで牛を育てている酪農と同じです。
これじゃ日本のプロ野球は滅びます。
少子化で子どもは減り、運動能力、身体能力の優れた子どもは各競技団体とも奪い合いの様相を呈してくるでしょう。
ポスティングで「価格破壊」がはじまって、大人が右往左往するのをみて野球少年たちはどう思うかな?
「日本球界が、メジャーの草刈り場になる。」、仰る様に随分前から指摘されて来た事ですよね。「競技者として、更に上の世界で挑んでみたい。」、「プロとして、もっと自分を高く評価してくれる所に行きたい。」等々の気持ちは充分理解出来るものの、選手達の要望、特に近年の其れは一寸度を越している気がするんです。「目先の事」許りを追い求め、結果として「将来の自分達の首を絞める事」になるのではないかと。
週刊誌「AERA」では先達て、「少子化に伴伴う塾&予備校では優秀な生徒の激しい奪い合い。」に付いて触れられていました。スポーツの世界でも、同様の事が起きて来るでしょうね。