１年３ヶ月ぶりの死刑執行

「東京、大阪、広島の３拘置所で２５日午前、殺人罪等で死刑が確定していた４人に刑が執行された。」事が昨日明らかとなった。前法務大臣の杉浦正健氏が自らの思想＆信条から死刑執行命令書に署名を拒否し続けて来た為、２００５年９月に執行されて以来１年３ヶ月ぶりの死刑執行となる。最近の１０人の法務大臣で言えば、約３０ヶ月の在任期間中に５人分の署名をした森山眞弓元法務大臣は別にして、最多で３人しか署名していないそうで、一度に４人の死刑執行というのは９年ぶりという事も併せてかなり異例の事態とは言える。

この背景には、近年の厳罰化の傾向から死刑判決が下されるケースが増加しており（２００３年頃迄は毎年２～７人程度だった死刑確定者が、今年だけに限っても２０人を超えているとの事。）、実際に死刑が執行される人数を毎年大幅に上回り続けている事から、未執行者が２４日現在で９８人（２００３年迄は５０人前後で推移して来たとの事。）と年明けにも１００人の大台を超える勢いだった事が挙げられている。「年内の死刑執行数がゼロとなってしまうと、これは１９９２年以来１４年ぶりの事となり、それだけは避けたかった。何よりも死刑という制度が厳然と存在している以上、未執行囚が１００人を超えてしまっては制度そのものがおかしくなってしまう。」という法務省幹部の危機感を伴ったコメントも報じられていた。

「残酷な刑罰で在る死刑は許されない。」、「冤罪の可能性も在り得る以上、死刑は廃止す可き。」、「死刑制度の廃止（停止も含め。）は世界の潮流で在り、先進国に属する日本もそれに倣う可きだ。」等、死刑制度の廃止を叫ぶ声が在るのは理解しているが、過去に何度か記事にして来た様に個人的には死刑賛成派で在る。我が国に終身刑が存在しない以上死刑制度は維持される可きものと考えるし、それ以前に「復讐刑に過ぎない。」とか「単なる見せしめ。」と言われ様とも、愛する身内を理不尽且つ残酷な形で奪われた遺族の気持ちを思うと死刑は廃止す可きでは無いと考えている。又、「死刑は犯罪の抑制効果には為り得ない。」という意見も在るが、これにも正直疑問を感じている面も在る。

「何でもかんでも死刑に処せ！」とは思わないし、言うつもりも全く無いが、少なくとも多くの国民が「死刑に処するのが当然。」と考える死刑未執行囚に対しては、法務大臣が毅然と対応する事を望みたい。（こちらの情報によると、昨日現在の死刑確定囚の数は９４人という事で在る。）