漫画家のみうらじゅん氏は週刊ポスト誌上に「死に方上手」なるコラムを連載しているのだが、8月10日号の「火葬料金の全国格差④」という記事を今回取り上げてみる。
火葬が済んだ際、故人の骨を骨壷に収める儀式を「骨上げ」と呼ぶが、関東暮らしが長い自分の場合、「骨上げ=全ての遺骨を骨壺に収める。」というのが“常識”と思っていた。しか此の「全収骨」、東日本では一般的も、西日本の人達からすると意外な事なのだとか。「骨壺に収められなかった分は共同墓地等に合葬したり、火葬場を運営する自治体が、専門業者に委託して埋葬する。」というのが、西日本では一般的と言う。
では「何故、こういった違いが在るのか?」という疑問が湧く。実は「骨壺の一般的なサイズが、東日本と西日本では異なる。」というのが原因の様だ。西日本の4寸から5寸(約12~15cm)に対し、東日本では6寸から7寸(約18~21cm)というのが一般的な骨壺サイズという事で、一回りも二回りも東日本は大きく、だからこそ東日本では「全収骨」が“物理的に”可能なのだ。「へー。」と、驚いてしまう話だった。
骨壺に入り切らなかった遺骨は「残骨灰」と呼ぶそうだが、福岡市では2008年から、此の残骨灰に含まれた有価金属を売却し、市の財源に組み込む制度を導入。残った遺骨の中の歯、指輪、人工の骨や関節には、金、銀、パラジウムといった金属が含まれている事が在り、其れを取り出して売却、市の財源とする訳だ。
大学の授業でも習ったが、残骨灰の所有権に関しては「収骨前は遺族の所有、収骨の後は市町村の所有。」という大審院の判決が1939年に下されており、福岡市の遣り方は違法で無い。「委託の処理業者が、独自に有価金属を売却していた。(そういう話は昔から良く見聞するが、人が好んでしようとはしないで在ろう仕事をされているのだから、「看過して良い。」と自分は考えている。)」事を知った福岡市が、「最後迄責任を持つ事で、火葬業務の透明化を図るという名目で、此の制度を導入したとか。
今では多くの自治体が同様の制度を導入しており、例えば名古屋市では此の収益が、2007年度は1,019万円。多いのか少ないのかは個人の判断で異なるだろうけれど、「意外と少ないなあ。」と自分は感じた。
興味深いのは、全収骨の筈の東京都でも、業者が金属を纏めて都に収めているという点。全収骨でも“取り零し”が在るという事なのだろうが、2007年度には320万円の収益が在ったそうだ。
みうらじゅん氏は京都出身という事で、「何であんな小さい骨壺に、全収骨なんか出来るんだろう?」という疑問がずっと在った様です。逆に関東暮らしが長い自分なんぞは、「何で全収骨しないんだろう?」という疑問が、今回の記事を読み始めた時点では在った。何方も、「自身の常識が、必ずしも何処でも常識には非ず。」という観点が無かったとも言えますね。
「2つの骨壺を持って行く地域が在る。」というのは、初めて知りました。理由を読ませて貰って「成る程。」と思いましたが、名古屋もそうなんですね。名古屋には住んでいましたが、何しろ幼い頃でしたので、火葬場に参列するという機会も在りませんでした。
福岡の話し凄いですね。どう捉えるかは人それぞれですが、火葬ってやるほう(職員の人ね)は大変だと思うから、それで少しは何かの足しになるというか、役立てればよいですね。