ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「みんなの少年探偵団2」

2016年04月28日 | 書籍関連

少年探偵団シリーズ」を著し小説家江戸川乱歩氏が生まれたのは、1894年10月21日の事。一昨年の2014年は、彼が生誕して120年に当たり其れを記念してポプラ社から「みんなの少年探偵団」、「全員少年探偵団」、「少年探偵」、「恐怖の緑魔帝王」が刊行されて来た。

 

江戸川乱歩氏が「少年探偵団シリーズ」を著したのは、1936年から1962年に掛けて。「小高い丘に建つ怪しげな洋館」や「原っぱに設置されたサーカス小屋」等、終戦の傷跡が未だ残っている様な時代を背景にし、潜入任務を得意とする“ポケット小僧”」や「青銅の魔人宇宙怪人等に変装する怪人二十面相(四十面相)」等、奇異な設定が特徴。自分が子供だった頃、終戦の傷跡を感じられるのは、渋谷等で時折見掛ける傷痍軍人の姿位だったけれど、其れでも少年探偵団シリーズの世界に魅了されたもの。自分より後の世代にも少年探偵団シリーズは読み継がれているというのだから、凄い作品だと思う。

 

で、今回読了した「みんなの少年探偵団2」はシリーズの第5弾で在り、且つシリーズの締め括りでも在るのだとか。著者有栖川有栖氏、歌野晶午氏、大崎梢さん、坂木司氏、そして平山夢明氏と、実に豪華なラインナップ。「ミステリー界を牽引する彼等が、『少年探偵団シリーズ』を、どう現代に蘇らせるのか?」に興味津々

 

少年探偵団シリーズの魅力の1つで在る“不可思議且つおどろおどろしさ”が最も色濃く再現されていたのは、平山夢明氏の「溶解人間」。タイトルからも、其れは伝わって来るかと。又、全体的なイメージで言えば、江戸川氏の作風に近かったのは、大崎梢さんの「闇からの予告状だろう。

 

個人的に最も心に残ったのは、歌野晶午氏の「五十年後の物語」。中学校時代の同級生が61歳で亡くなり、其の告別式の後に集まった同級生達が亡き友を偲ぶ中で、50年前の意外な事実が明らかになるというストーリー。映画スタンド・バイ・ミー」のほろ苦くもジーンと来るテースト堪らなく好きな自分には、似たテーストを持つ此の作品が心に引っ掛かるのだろう。

 

総合評価は、星4つ


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