
特定のチームのファンならば1人や2人は、「こいつは嫌い!」と思う野球人が居るもの。ジャイアンツ・ファンの自分にも、そういった人間は居る。「ジャイアンツの悪口を言ったから。」なんていうみみっちい理由からでは無く、どう考えても難癖を付けているとしか思えなかったり、不条理な言い草をする輩が対象なのだが、自分にとって嘗ての岡田彰布氏もそんな一人だった。「明らかに間違っている。」という内容では無かったけれど、「何でジャイアンツが、其処迄言われなきゃいけないのだ!」とカチンと来る言葉、ハッキリ言えば「余計な一言」を彼は口にする事が多かった。
しかし彼の言動を見聞し続ける内に、「この人は正直過ぎて、ついつい“本音”を口にしてしまうんだろうな。生き方の下手な人なのかも。」と、逆にシンパシーを感じる様に。昨年、タイガースがクライマックスシリーズでの敗退が決まった試合後、2ランを喫して敗戦投手になった藤川球児投手に対して「御前で打たれて良かったよ。なあ球児。御前で終われて良かったよ。」と涙乍らに話し掛けている岡田監督を目にした時は、「良い監督だなあ・・・。」とジャイアンツ・ファンの自分ですら涙ぐんでしまったし。
そんな一言居士で生き方の下手な岡田氏が、「そりゃそうよ。」で知られる普段の口調で記した本が「オリの中の虎 ~愛するタイガースへ最後に吼える~」で在る。このタイトルには、来季からオリックス・バファローズの監督として闘う彼が「オリに入る」、即ち「『オリ』ックスに行くけれど、心の中はずっと『虎』(タイガース)に在る。」という熱い思いが込められている様だ。
「御笑いタレント」と称する連中の中には、話術も糞も無い連中が少なくないけれど、そんな連中には「この本を読め!」と言いたい。兎に角、読んでいて笑いを禁じ得ない内容だから。ほんの一部を抜粋すると・・・。
*************************************
・ だからおれが監督辞めるということになって、あれは08年の10月、公式戦最後の試合やった。試合前、最後にグラウンドで会ったときに、落合さんはおれにこう言うた。「本当に辞めるのか・・・。そうか。でもどっちみち帰って来るんだろ。それまでおれは、待っているからな。」別れの言葉というより、おれがびっくりしたのは、ということは落合さん、おれが帰ってくるまで辞めずに、まだずっとやるってことかいな、ちゅうことやった。なんか、独特のというか、あの人は変な人や。
・ 最近は関西で放送する解説者が、結構思い切ったことをズバズバ言う。吉田義男さんとは朝日放送で、いっしょに解説することもあるんやけど、阪神-西武の交流戦でこんなことがあった。「これは絶対、次は変化球ですね。」放送で吉田さんが言い切った。ああ、思い切ったこと言うたなあ、と思うて見てたら、投手が次に投げたんはズバッと直球ですよ。あれっと思うて横目で見たら、今度は次の場面で吉田さんがまた言った。「次は絶対にストレートです。」投げたんは、見事なフォークボールよ。言うた吉田さんは、知らん顔や。次からは二度と断言せんようになったけど・・・。アナウンサーもなんかフォローしたれよな。本人もまわりも、全員知らん顔ちゅうのんも、ほんまっ。もうー。(中略)吉田さんなんかそれ以来、自分で言わんとおれに言わそうとする。並んで放送席に座っていると、なんかきついこと言いたい場面になったら、ヒジでおれの脇腹を突っつくんよ。「もう、放送中におれを突っつくのは、やめてくださいよ。」と抗議したら、「あそこは、あんたがきついこと言うたほうがよろしいがな。この場面は、任せまっせということですわ。えっへっへっへっ。」と笑うとった。
・ それに、おれが思うには企業とプロ野球の組織は、根本的に違う。プロ野球は球団社長より、選手のほうが、年俸は高い。一般の企業でそんなことは、ありえんやろ。社員より給料の少ない社長は、普通の会社にはおらんよ。それが理解できんから、どこかの球団フロントは、勘違いする。おれが二軍監督のときやったと思う。オフの契約更改で、当時の球団社長と甲子園球場の球団事務所で話していた。「わたしは球団社長やのに、こんだけしかもろうとらんのですよ。何億円もある選手の年俸は、わたしよりはるかに多いです。社長の何倍も給料をもらっているのに、なんの不満があるんでしょう。おかしくないですか?」選手との交渉がうまくいってないこともあって、おれにぼやき始めた。そら、こんな考え方してたら、年俸交渉もうまくいかんわ。「おかしくないですよ。球団社長より選手のほうが、給料高いのは、プロ野球の世界なら当たり前ですやん。社長は150キロの球を投げたり打ったりできますか?」社長はおれに、同調してもらえると思うとったんかなあ。おれが反論し始めたら、慌てて席を立ってしまった。「どこへ行くんですか。まだ話の途中ですよ。」「いやわたし、夕方から梅田のホテルで球団のOB会に出席せんとあきませんから。」「おれも行く予定にしています。」そのままドアを閉めて、社長は飛び出してしまった。なんでか知らんけど、梅田のホテルにはおれが先に着いとった。
*************************************
しかし彼の言動を見聞し続ける内に、「この人は正直過ぎて、ついつい“本音”を口にしてしまうんだろうな。生き方の下手な人なのかも。」と、逆にシンパシーを感じる様に。昨年、タイガースがクライマックスシリーズでの敗退が決まった試合後、2ランを喫して敗戦投手になった藤川球児投手に対して「御前で打たれて良かったよ。なあ球児。御前で終われて良かったよ。」と涙乍らに話し掛けている岡田監督を目にした時は、「良い監督だなあ・・・。」とジャイアンツ・ファンの自分ですら涙ぐんでしまったし。

そんな一言居士で生き方の下手な岡田氏が、「そりゃそうよ。」で知られる普段の口調で記した本が「オリの中の虎 ~愛するタイガースへ最後に吼える~」で在る。このタイトルには、来季からオリックス・バファローズの監督として闘う彼が「オリに入る」、即ち「『オリ』ックスに行くけれど、心の中はずっと『虎』(タイガース)に在る。」という熱い思いが込められている様だ。
「御笑いタレント」と称する連中の中には、話術も糞も無い連中が少なくないけれど、そんな連中には「この本を読め!」と言いたい。兎に角、読んでいて笑いを禁じ得ない内容だから。ほんの一部を抜粋すると・・・。
*************************************
・ だからおれが監督辞めるということになって、あれは08年の10月、公式戦最後の試合やった。試合前、最後にグラウンドで会ったときに、落合さんはおれにこう言うた。「本当に辞めるのか・・・。そうか。でもどっちみち帰って来るんだろ。それまでおれは、待っているからな。」別れの言葉というより、おれがびっくりしたのは、ということは落合さん、おれが帰ってくるまで辞めずに、まだずっとやるってことかいな、ちゅうことやった。なんか、独特のというか、あの人は変な人や。
・ 最近は関西で放送する解説者が、結構思い切ったことをズバズバ言う。吉田義男さんとは朝日放送で、いっしょに解説することもあるんやけど、阪神-西武の交流戦でこんなことがあった。「これは絶対、次は変化球ですね。」放送で吉田さんが言い切った。ああ、思い切ったこと言うたなあ、と思うて見てたら、投手が次に投げたんはズバッと直球ですよ。あれっと思うて横目で見たら、今度は次の場面で吉田さんがまた言った。「次は絶対にストレートです。」投げたんは、見事なフォークボールよ。言うた吉田さんは、知らん顔や。次からは二度と断言せんようになったけど・・・。アナウンサーもなんかフォローしたれよな。本人もまわりも、全員知らん顔ちゅうのんも、ほんまっ。もうー。(中略)吉田さんなんかそれ以来、自分で言わんとおれに言わそうとする。並んで放送席に座っていると、なんかきついこと言いたい場面になったら、ヒジでおれの脇腹を突っつくんよ。「もう、放送中におれを突っつくのは、やめてくださいよ。」と抗議したら、「あそこは、あんたがきついこと言うたほうがよろしいがな。この場面は、任せまっせということですわ。えっへっへっへっ。」と笑うとった。
・ それに、おれが思うには企業とプロ野球の組織は、根本的に違う。プロ野球は球団社長より、選手のほうが、年俸は高い。一般の企業でそんなことは、ありえんやろ。社員より給料の少ない社長は、普通の会社にはおらんよ。それが理解できんから、どこかの球団フロントは、勘違いする。おれが二軍監督のときやったと思う。オフの契約更改で、当時の球団社長と甲子園球場の球団事務所で話していた。「わたしは球団社長やのに、こんだけしかもろうとらんのですよ。何億円もある選手の年俸は、わたしよりはるかに多いです。社長の何倍も給料をもらっているのに、なんの不満があるんでしょう。おかしくないですか?」選手との交渉がうまくいってないこともあって、おれにぼやき始めた。そら、こんな考え方してたら、年俸交渉もうまくいかんわ。「おかしくないですよ。球団社長より選手のほうが、給料高いのは、プロ野球の世界なら当たり前ですやん。社長は150キロの球を投げたり打ったりできますか?」社長はおれに、同調してもらえると思うとったんかなあ。おれが反論し始めたら、慌てて席を立ってしまった。「どこへ行くんですか。まだ話の途中ですよ。」「いやわたし、夕方から梅田のホテルで球団のOB会に出席せんとあきませんから。」「おれも行く予定にしています。」そのままドアを閉めて、社長は飛び出してしまった。なんでか知らんけど、梅田のホテルにはおれが先に着いとった。
*************************************