2008年のタイガースは、岡田彰布監督の5年目のシーズンだった。(因みにジャイアンツは、“第2次原辰徳政権”の3年目。)開幕から“独走状態”に在ったタイガースは、87試合目(7月22日)にして“優勝マジック”「46」を点灯させる。ジャイアンツ・ファンの自分も、「今季はもう、タイガースのリーグ優勝で決まりだな。」と確信したし。
だが、「此の年に開催された北京オリンピックで主力選手が離脱し、代わりの選手が穴埋め出来なかった。」事が大きく響き、“大失速”する事に。結果、ジャイアンツがまさかのリーグ優勝を果たし、2位に終わった岡田監督は辞任する事となる。
以降、岡田監督はバファローズで3年間(2010年~2012年)監督を務めた後、昨季から再びタイガースの監督を務めている訳だが、バファローズで3年間苦労した事で、監督として大きく成長した様に感じる。
昨夜行われた「ジャイアンツvs.ベイスターズ」戦は「2対2」の引き分けに終わり、ジャイアンツに優勝マジック「9」が点灯した。大混戦状態に在るセ・リーグなので、残り試合「11」での優勝マジック「9」は「在って、無きが如し。」という感じだ。
4年振りに優勝マジックを点灯させたというのに、ジャイアンツ・ファンの自分は嬉しさが皆無に等しい。一番の理由は、「昨夜のジャイアンツの闘い方が、余りに酷かったから。」だ。「プレーするのは選手達で在り、結果を残せなかった選手達が一番悪いのだけれど、昨夜の試合“も”阿部慎之助監督の“学習能力の無さ”と、先月の記事『“勝負師”に徹する』で指摘した“勝負師に徹し切れ無い阿部監督の弱さ”が、勝てた試合を引き分けにしてしまった。」という思いしか無い。
今季、略ずっと不調な坂本勇人選手を、何故かスタメンで起用し続けている阿部監督。昨夜の試合も坂本選手を「2番」でスタメン起用したが、「6打数無安打」に終わった。打席に入った6回の内、3回が塁に走者を置いた状況で、何れもチャンスを広げられない許りか、併殺や初球をポンと打ち上げてアウトになる等、素人目にも全く打てそうな気がしなかった。なのに、打て無くてもヘラヘラ笑いを浮かべて(いる様な感じで)ベンチに下がり、得意な守備でも“エラー擬き”を2度もする様では、申し訳無いが「チームの士気を下げ捲り。」といった感じ。過去の実績は高く評価しているが、“今季の坂本選手”ではスタメン起用するのが理解出来ないし、仮にスタメン起用するにしても彼にバントを命じる等、「自由に打たせる儘で在っては駄目。」だろう。
又、8回表のベイスターズの攻撃で、ジャイアンツはアルベルト・バルドナード投手を“3番手”として登板させたのも疑問が残った。「1対1」の同点で迎えた回だったが、此の状況で彼を登板させる事に、強い不安を感じたからだ。今季前半のバルドナード投手と、後半の彼とでは、明らかに内容が異なる。前半はそうでも無かったけれど、後半の彼は「四球を連発してピンチを作り、其処からヒットを打たれたり、押し出しの四球を与えて失点する。」というパターンが非常に目立つので。
「2アウト1&2塁からタイラー・オースティン選手を迎えてから明らかにきょどり始めたバルドナード投手は、あっさりと四球を与えて2アウト満塁。」になったので、「ほら、思った通りだ。此処で彼を変えないと、押し出しで失点するぞ!!」とTV画面に向かって叫び捲っていた自分だが、阿部監督は其の儘続投させ、案の定、バルドナード投手は押し出しの四球を与え、「1対2」とベイスターズが勝ち越しに成功。「充分に予想出来た事に対処せず、事が起こってから慌てて対処する。」という、正に“泥縄采配”。
阿部監督としては「坂本だったら、バルドナードだったら、何とかしてくれるだろう。」という“無根拠な侠気”に賭けたのだろうが、残り試合が滅茶苦茶残っている状況ならいざ知らず(上記した「“勝負師”に徹する」の中でも書いた様に、そういう侠気に賭けた様な采配で、パッと思い浮かぶだけでも数試合を、阿部監督は既に落としている。)、残り試合が10数試合、尚且つ大混戦状態に在る状況では、冷徹な采配に徹しないと、大きな悔いを残す事になるだろう。
バファローズで3年間苦労した事も在り、良い意味で「時には冷徹な采配が出来る。」のが岡田監督。大山悠輔選手や佐藤輝明選手等、実績を残して来た選手達で在っても、調子が悪く成ったらスパッとスタメン起用を止める許りか、2軍に落としたりする厳しさが在る。阿部監督も「坂本選手をスタメンから外したり、2軍に落としたりはしたけれど、何れも非常に短期間に過ぎなかった。」という現実。本人のみならず、他の選手達に対する引き締めという意味でも、何方が有効かは言う迄も無いだろう。
9月に入って、「11勝3敗」と滅茶苦茶強いタイガース。昨夜の試合も勝利し、怒涛の5連勝で、首位・ジャイアンツに「1.5ゲーム差」に迫った。共に「70勝」で並び、負け数はジャイアンツが「3」少ない。“原則として”「勝率の最も高いチームが優勝。」となるNPBのルールでは、「負けが最も少ないチームが優勝。」となるので、ジャイアンツが少しだけ有利なのは確か。
でも、怒涛の勢いで勝ち続けるタイガース、其れも率いているのが「16年前に“優勝マジック点灯の脆弱さ”を知り尽くしている岡田監督。」だけに、「ジャイアンツに優勝マジックが点灯したけど、其れが何ぼの物じゃ!!」という思いは絶対に在るだろうから、16年前のリヴェンジを(同じ)ジャイアンツ相手に果たされそうな怖さが凄く在る。