ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」

2018年05月30日 | 映画関連

9年前の記事「真の芸人」で、「何故、彼をそんなにも好きなのか?其の答えは『芸人として、一生涯馬鹿を遣り続けたい。』という思いが、物凄く感じられたから。今も昔も御笑いで少し売れると、『芸術家』だ『役者』だという方向にシフト・チェンジし、御笑いとしての過去を隠す様な、其れこそ『芸人』を軽視する様な輩は居るもの。『芸人こそ最高のクリエーター。』と思っている自分には、そういう輩を見ると虫唾が走ってしまう。」として、“真の芸人”の中でも由利徹氏が別格の存在で在り、今で言えば志村けん氏が同じ様な存在で在る事を記した。

 

一昨日、そんな志村けん氏のルーツを「ファミリーヒストリー」【動画】で取り上げていたのだが、とても印象に残るエピソードが在った。高校を卒業してザ・ドリフターズに弟子入りした彼は、6年近くを“坊や(見習い)”として下積み生活を送った後、ドリフの正式メンバーに抜擢される。下積み生活は辛かった様で、「或る日、地方巡業でメンバーと寝台列車で移動の際、18個の楽器の見張りを、寝ずにする様命じられたんです。其の時電車の窓硝子『今に見てろ。』と書いたんだけど、でも、其の字が水滴でダーッと流れて落ちちゃったんです。」というエピソードが其れだ。

 

落ち許り拘る物”が多い中、志村氏のコントは独特な作法と言って良い。例えばサラリーマンが登場するコントの場合、上で書いた様に電車の窓硝子に文字を書くシーンを入れたとする。本筋とは全く無関係で、入れる必要も無い様なシーンなのだが、敢えて入れる事で見ている側は、サラリーマンの心象風景を思い描いたりするだろう。「何か鬱屈した物を抱えているのかなあ。」とかだ。そんな悲哀を感じさせる彼が、馬鹿馬鹿しいドタバタ劇に巻き込まれて行く事で、其のギャップに人は大笑いしてしまう。「泣き」や「笑い」、「怒り」、「平静」といった様々な感情が、計算され尽くした上でバランス良く配置されているからこそ、笑いは増幅されるのだと思う。

 

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育ち盛りの息子2人と夫、其の両親と暮らす主婦・平田史枝夏川結衣さん)。或る日、彼女が家事の合間にウトウトしていると、空き巣に入られ、臍繰りを盗み取られてしまう。此の事件を切っ掛けに、史枝は夫・幸之助西村まさ彦氏)と大喧嘩した挙句、家を飛び出す。残された家族は、家事に悪戦苦闘し・・・。 

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山田洋二監督の「家族はつらいよシリーズ」は、「祖父母を含めた5人家族で暮らす長男夫婦に加え、長女夫婦及び次男夫婦(妻は、第2作から登場。)という“大家族”の日常を描いた作品。」で、今回観た「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」はシリーズ第3弾に当たる

 

山田監督の代表作と言えば「男はつらいよシリーズ」で、多くのファンを持つシリーズだ。でも、ファンの方々には申し訳無いのだけれど、過去の記事でも書いた様に、自分は「男はつらいよシリーズ」に魅力を感じ無い。第1弾だけしか見ていないのだけれど、ピンと来なかった。「キャスティングが、自分の趣味とは違う。」というのが、大きな要因だと思う。でも、此れ又過去に書いた様に、邦画で好きな作品の1つが、山田監督の「家族」だったりする。

 

そんな山田監督の「家族はつらいよシリーズ」だが、自分は過去2作品を見ていない。「『男はつらいよシリーズ』の亜流作品かな。」というイメージが在り、何と無く見る気にならなかったのだ。でも、好きな俳優の1人で在る橋爪功氏が祖父・平田周造役で出演しているので、気になるシリーズでは在った。

 

飄々とした演技を見せる橋爪氏や吉行和子(祖母・平田富子役)さん等、キャスティングが非常に良い。(9代目・林家正蔵氏が演じている長女の夫・金井泰蔵の、間が抜けた雰囲気に何度も爆笑。)

 

又、志村氏のコント同様、「『泣き』や『笑い』等、様々な感情が、計算され尽くした上でバランス良く配置されている。」ので大笑いしてしまうし、見ていて実に心地良い。(「男はつらいよシリーズ」にもそういう計算は見受けられるのだけれど、自分には合わなかった。「見ていない前2作を、レンタル・ショップで借りてみようかな。」と思った。

 

総合評価は、星4つとする。


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