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「君と一緒に居て、幸せだったよ。」と言い遺して急死した十津根麻里夫(とつね まりお)。彼が勤めていた筈の高校に「妻」の秋月雅代(あきづき まさよ)が連絡すると、「其の様な名前の教師は居りません。」と言われる。「夫」は名前も身元も偽っていたのだ。正体は何者なのか?其れを解く手掛かりは、大学ノートに残された小説のみ。失踪した中学生の少年を救う為に、同級生4人組が、マリオネットの仮面の男に立ち向かう物語だった。
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叙述トリックを得意とする小説家・ 折原一氏の作品「死仮面」。叙述作品というのは「人物や時間等の記述を意図的に暈す事で、読み手をミスリードさせる手法。」で、此の作品も叙述トリックが駆使されている。
叙述トリックを用いる上で仕方無い事とはいえ、登場人物達が矢鱈と意識を失う。意識を失わせる事で、読み手にミスリードさせる訳だが、折原作品では毎度毎度の事なので、正直食傷気味な感が在る。
又、週末しか一緒に居なかったとはいえ、2年も共に生活をり乍ら、“夫”・十津根麻里夫の左手が義手で在る事を、“妻”・秋月雅代が全く知らなかった等、余りにも不自然な設定が目立つ。「十津根麻里夫」が「マリオネット」のアナグラムで在る事の安直さも含め、従来の折原作品を知っている身からすると、どうしても鼻白んでしまう。
結末も判った様で、良く判らない。心に残った物は、気持ち悪さだけだ。非常に残念な内容。
総合評価は、星2つとする。