ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

独裁者の末路

2006年12月31日 | 時事ネタ関連
我が国では年末&年始の食材を買い求める客でアメ横が溢れ返っていた昨日、海外から大きなニュースが飛び込んで来た。御存知の通り、イラクサダム・フセイン元大統領が絞首刑に処されたというニュースで在る。

アメリカがイラク攻撃を決めた大義名分には個人的に疑問を持っているものの、独裁者フセイン元大統領に死刑が断行されたのは当然と考えている。1982年に中部ドゥジャイルシーア派の住民148人を虐殺された事件で、その命令を彼が下したという事が「人道に対する罪」に問われ、その結果が今回の死刑に繋がった訳だが、その他にもクルド人虐殺等数多の殺害を命じて来たという事からすれば、もっと早く死刑に処されても良かったろう。

絞首刑台に上がる前、首に縄を掛けられるフセイン元大統領の顔には嘗ての猛々しさ&不敵さは無く、目も虚ろの様に感じた。あの時、彼の脳裏に去来していたものは一体何だったのだろうか?「それでも自分は正しい事をして来たのだ。」という思いか?はた又、他者の命を奪う事に良心の呵責をも感じなかった者が、いざ自分が命を奪われる側に立ってみて、初めて自戒の念と恐怖心を感じていたのだろうか?

人類が歩んで来た歴史には、これ迄にも数多の独裁者と呼ばれた人物が登場して来た。古くはガイウス・ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)ネロ等に始まり、ウラジーミル・レーニンアドルフ・ヒットラーベニート・ムッソリーニヨシフ・スターリン毛沢東(夫人の紅青を含む所謂四人組”も。)、金日成ポル・ポト等々、幾つもの顔と名前が頭に浮かぶ。

自分がリアル・タイムで見聞して来た独裁者の中で、特に強く印象に残っている人物を挙げるとすれば、共に敵対する人間を次々に殺害し、その肉を切り刻んで冷蔵庫に保存して食していたと言われる”人食い大統領”のイディ・アミンジャン・ベデル・ボカサの名前が先ずは浮かぶ。又、人民革命によって国を追われたフェルディナンド・マルコスも強く印象に残っているが、ルーマニア革命で失脚し、夫人と逃走を試みるも革命部隊に逮捕され、夫婦共に銃殺刑に処されたニコラエ・チャウシェスクの方がその衝撃の大きさも在って、より脳裏に刻み込まれている。

独裁者の末路は概して悲惨なもの。ニュースではフセイン元大統領の死に顔を映し出していたが、あれだけ恐怖政治を敷いて多くの命を奪って来た人間でも、その体内から魂が抜け落ちたら、単なる”物”と化してしまうのだなあ。儚さを感じた。

19世紀の歴史家J・E・アクトン卿は、権力は腐敗しがちなものだ。そして、絶対的権力は絶対に腐敗する。という有名な言葉を残している。フセイン元大統領亡き今も、多くの独裁者が世界には存在している。”北の国の独裁者”は、昨日のニュース報道&映像をどういった心持ちで見聞したのだろうか・・・。

さて、2006年もいよいよ残り1日を切った。世間では色々在った1年だったが、我が身を顧みれば「とてつも無い幸福が舞い込んでも来なかったが、されどとてつも無い災いが降り懸かっても来なかった。」という1年で、恙無く自分や家族が日々を過ごせた(生かされた)事に感謝す可きなのだろう。

そして、中年のおっさんがグダグダと戯れ言や暴言を書き連ねているだけのこのブログを、多くの皆様方が懲りずに覗いて下さった事にも感謝の気持ちを表したい。

今年1年本当に有難うございました。来年も何卒宜しく御願い致します。良い年の瀬&年明けを御迎え下さい。

コメント (12)    この記事についてブログを書く
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12 コメント

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>マヌケ様 (giants-55)
2007-01-02 01:29:21
書き込み有難うございました。

これはアメリカ人だから何だからという人種の問題では無く、65億以上も居る世界の人間の中には、気高き心を持った者も居れば、鬼畜同様の者も居ます。戦争というのは或る意味”狂気の世界で在り、まともな人間ですらおかしくさせてしまうものだと思うんです。

事話を敗戦直後の日本に絞ってみても、マヌケ様の挙げられた様な例はそれが一般的に行なわれていなかったにせよ、それなりに在った事ではなかろうかと”推測”します。アメリカ兵による婦女子への暴行や、それによる殺人行為も在ったという話も本で読んだ事が在りますし。そういった行為にアメリカ兵を駆り立てたものには亡き戦友への敵討ちといった思いも在ったでしょうし、はたまた「勝者で在れば敗者に対して何をしても構わない。」という驕りも在ったのでしょう。

ベトナム戦争時に使われた枯葉剤というのも、勿論ベトコンの隠れる場所を取り除くという考えも在ったのでしょうが、資料によっては当時から散布による人体への強い被害を判った上で行なっていたという話も在り、この点からも必ずしも「アメリカ軍が一般市民への犠牲を少なくする様に慮っていた。」というのは個人的に疑問が残る所です。

唯、何度も書きますがこれはアメリカ兵だからどうこうでは無く、戦争というものはどの人種で在れ狂気の世界に送り込んでしまうもの。戦争とはかくも愚かしく恐ろしいものだとつくづく思います。
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戦争が終わりますように (マヌケ)
2007-01-01 22:40:05
私の親戚の住む町の私鉄の駅に、ある慰霊碑があります。終戦の日から数日後に飛来した米軍機によって電車が銃撃を受け乗車していた通学中の高校生など60名以上が亡くなった事件の慰霊碑です。 奇跡的に生き残った方の証言も記されており、アメリカの戦闘機が飛来して空から電車に向って執拗に機銃掃射を繰り返しおそらく弾がなくなるまで撃ちつくしたようです。 終戦でようやく安心して学校にいけるようになった学生で満員状態の電車を無抵抗の一般市民を執拗に銃撃した悲劇と記されています。 日本兵に殺された戦友の仇討ちだったのか、おもしろ半分だったのか、勝者の敗者に対する仕打ちなのか、ことの追及もできておらず、ボロボロになった電車と血の海となった凄惨な写真が残るのみです。 軍隊が一般市民の犠牲を気遣うことは作戦上まずありえないと思います。 特にアメリカは非人道的兵器の使用に関する国際条約に批准していません。 クラスター爆弾や遅延式爆弾、劣化ウラン弾などの被害は兵士よりもむしろ子供も含めより多くの一般市民を殺害しています。 誤爆はコメントを求められた場合の回答マニュアル通りの弁明です。 本当は意図的誤爆であってある程度一般市民の犠牲が出る事によって敵側の厭戦気分を盛り上げる目的で難民キャンプに爆弾を投下したり住宅密集地を攻撃しているのです。 これらは軟性目標と呼ばれており意図的な攻撃なのです。 
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>帆印様 (giants-55)
2007-01-01 14:56:40
明けましておめでとうございます。昨年は多くの書き込みを頂戴致しまして、本当に有難うございました。帆引様のハードボイルド・タッチ(内藤陳氏が大喜びしそうですが(笑)。)な文体が心地良く、今年も魅力的な記事を期待しております。本年も何卒宜しく御願い申し上げます。

帆印様は御子息共々に年男に当たられるとの事で、今年が昨年以上により良き年になると良いですね。

P.S. 帆引様のブログの方にレスを付けさせて戴こうと思ったのですが、又しても書き込み出来ませんでしたので(ブランクに文字入力が出来ない状態でした。)、失礼ながらこちらに書かせて戴きました。
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>マヌケ様&アラメイン伯様 (giants-55)
2007-01-01 14:11:23
書き込み有難うございました。

今回フセイン元大統領が死刑に処されたのは、「シーア派住民148人を虐殺した事が、人道に対する罪に当たる。」という事でのもの。”形の上では”イラク戦争に関する事柄では裁かれなかったし、裁判もイラク国民が行なったという事で、アメリカの影響は排除される形になっています。まあ実際には、アメリカの影響を色濃く受けているのは暗黙の了解では在りますが。

個人的にはフセイン元大統領の死刑は当然と思っている一方で、アメリカによるイラク攻撃に対して100%の賛成を寄せる事が出来ないといのが自分の偽らざる思いです。結果的にフセイン元大統領を排除する事となり、イラクから恐怖政治と更なる虐殺の芽を取り除いた(この辺はアラメイン伯様の御意見と同じなのですが。)のはアメリカの功績と言えなくはないでしょう。しかしながら、マヌケ様も書かれている様に「アメリカの正義」なるものに、どうしても彼等の利益が優先、否、最優先されている様に思えてならないのです。

「歴史上、米軍程一般市民の犠牲に気を遣ってる軍隊は無い。」というのも、割合近年に於いてはそうなのかもしれませんが、しかしでは「日本に投下された原爆はどうなのだろうか?」という面で自分は疑問を覚えます。「日本に原爆を投下してアメリカ軍の圧倒的な戦力を見せ付けた事が、結果的には敗戦を日本に受け入れさせた。あのまま戦争を続行していたならば、より多くの犠牲者が出たのだから、あれは正しい選択だったのだ。」という意見も耳にしますが、この意見には賛否両論在ります様に、原爆投下に対する考え方によっては「米軍が”一般市民”の犠牲に気を遣っていた軍隊」というのにも異なった考えが出て来るでしょうね。
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毎回大変勉強になりました。 (帆印)
2006-12-31 23:24:13
ジャイアンツさんのブログは、今年も大変に勉強になりました。
来年もぜひ参考にしたいと思っています。
又よろしくお願いいたします。
良い新年をお迎えください。
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Unknown (アラメイン伯)
2006-12-31 22:43:49
国際法では内政干渉は禁止されてますが、但し書きがあって目に余る一般市民への弾圧があれば介入し阻止するこができると書かれてます。そしてそれは名誉なことだとも。

アメリカにその資格があるかどうかが問題になりますが選挙によって選ばれた政府であります。歴史上、米軍ほど一般市民の犠牲に気を遣ってる軍隊はありません。

では米軍以外にクルドの人々への虐殺を誰が止めることができたのでしょうか?
フセインに虐殺された人達やその遺族の気持ちを考えると、日本人のこの件に関する話は自分達だけ安全ならそれで良いって言ってるように聞こえます。

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コメントありがとうございました。 (破壊王子)
2006-12-31 22:02:01
優秀な指導者に委任するか、それとも独裁者はダメだから「船頭多くして船山に登る」いや、船が沈んでしまうかもしれない。
果たしてどちらが幸福なのか?
アタシは答えが出せません。

それはともかく多数コメント戴き、ありがとうございました。

来年もどーぞよろしくです!
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Unknown (ユカサナ)
2006-12-31 21:00:41
フセインは残虐で間違った指導者ではありましたが、裁判の主導を実質アメリカが取っていたと思えること、公開処刑としたこと、更に遺体の公開には疑問を感じています。
迅速に刑を執行するよりも、フセインから聞き出すべきことがまだたくさんあったのではないかとも思います。


もうすぐ一年が終わりますね。
こちらこそ大変お世話になりました。
今年3月のWBCの記事に初めて書き込みをさせていただいて以来、たびたびコメントさせていただくようになり、その都度丁寧なレスを頂き感謝しています。
同じ巨人ファン、手塚ファンということで意気投合する(勝手にこんなことを思っています)一方で、当然ながら考え方の異なる面もありました。
でもそのような場合も穏やかにでもしっかりとしたご意見を頂き、私としてもとても勉強になりました。ありがとうございました。
来年もどうぞ宜しくお願い致します。
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人が人を裁く (miyashiro)
2006-12-31 20:21:47

記事の件については、これまでの背景など勉強不足なので恐縮ですが、今回の裁判が本当に公平に平等になされたかは、少々疑問を感じます。やはり、○○派とかいうのが絡むと、どうもそれぞれの思惑が垣間見えて、見せしめ的な処刑のように感じるのも否めません(とはいえ、もちろん、今回の死刑判決自体は支持するものだと思っておりますが...。。。)

さて、当方のブログへの年末のご挨拶、ありがとうございました。私はgiants-55さんのこのブログが、一番のお気に入りです。読んでいて非常に楽しい!(年齢的にも記事のネタが合うのかもしれません(?))

コメントはたまにしか書き込んでいませんが、書き込まなかった記事でも、「そうそう」とか「わかるわかる」「なるほど!」など、毎日が発見で新鮮でした。

そんなわけで、来年も楽しみに拝見させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。今年一年、ありがとうございました!
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今年最後のひと吼え (マヌケ)
2006-12-31 16:47:12
よその国の国家元首が蛮行を働いたからといってそれを罰する資格のある国がどれほどあるだろうか。 自分達がまだ未発達の頃どれほどの野蛮な行為を行ってきたことだろうか。 例えばリンカーン以前のアメリカの大統領は奴隷制度を公認し、先住民のインディアンを軍隊によって組織的に撲滅させました。 ジリ貧のわが国に無慈悲にも二発もの核爆弾を投下しました。 人道に対する罪でこれほど大きな罪はないと思います。 それからフセイン以外に罰すべき独裁者を放置しているのはなぜでしょうか。 石油の出ない国には関心がなにと言わんばかりです。 プーチンももしかすると人道に対する大罪を犯してやしまいか。ミロシェビッチのようになぜハーグで裁かれないのはなぜなのか? アメリカこそが正義だという見せしめには辟易するものの、歴史は人道に対する罪のテンコ盛りでどこかの時点でだれかがケジメをつけなくてはならないのは確かです。 ただ、今のアメリカは・・・ 
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アラーの御心 (アラメイン伯)
2006-12-31 16:41:23
当然の死刑執行ですね。
彼のために湾岸戦争以降だけでも何十万ものクルド人の一般市民が虐殺されてるのだから・・・

クウェートに侵攻した際なんか筆舌につくしがたい略奪暴行がおこなわれてます。湾岸戦争、イラク戦争にたいして日本人は批判的ですがフセイン政権の悪行からして如何に危険な存在であったかも考えるべきです。





今年はgiants-55様の素晴らしいブログと巡り会え幸運でした。来年もヨロシク。
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人生は2度しかない、生まれた時と、死に直面した時と、 (まなぶ)
2006-12-31 16:28:11
giants-55さん、今晩は~♪

いつも有難うございます!
こちらのブログでも触れられていますが、
本当にたくさんの方々が旅立たれた1年でしたネ。

私に多大な影響を与えた方、高潔な魂を持った方、

その死を惜しまれる方の多さに哀しみも募りました。
その一方で、蛇蝎の如く嫌われる人の死も目立ちました。

どんな人間、どんな人生でも命は命なのですが、
命、生きることについて考えさせられた1年でもありました。

何の為に生まれ、生きるのか?

giants-55さんの文章から読み解く事もしばしばでした。

本当に感謝しています。
来年もよろしくお願い致します。
では、良いお年をお迎え下さいませ〆
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