70年前の昨日未明、東京都内に降り積もった雪を多くの軍靴が踏みしめて行った。「昭和維新」を掲げた1,483名の青年将校達が警視庁を襲撃し、政府要人を殺害したという、所謂2・26事件が起こった日だ。時の宰相だった岡田啓介氏も襲撃に遭ったが、彼に風貌が似通っていた義弟の松尾伝蔵陸軍大佐(予備役)を将校達が岡田宰相と勘違いし殺害。岡田宰相は危うく難を逃れる一方で、3人の要人と警護に当たっていた警察官&憲兵達が惨殺された。”ダルマ宰相”と呼ばれた高橋是清氏もその内の一人だ。
今から27年前になるが、TBSで放送されたドラマ「熱い嵐」が今でも忘れられない。高橋是清氏の波乱の人生を描いた名作だった。
私生児として此の世に生を受け、13歳の時に仙台藩の命を受けて留学したアメリカでは、知らぬ間に奴隷契約書にサインをさせられてしまい奴隷の生活を送った是清氏。様々な苦労を経て翌年に帰国し、文部省に入省。その後、政界に転身し、7度の大蔵大臣と7ヶ月の宰相を務める。
大蔵大臣としては、1927年に金融恐慌が発生した際、全国金融機関へのモラトリアム(支払猶予令)を出して騒動を沈静させ、その後に起こった世界恐慌で日本経済が不況に陥った際には、日銀引き受けによる赤字国債発行や金輸出再禁止等でいち早く不況から脱出させる等、アイデアマンぶりが光る。
又、宰相を務めた後に、4つの内閣(田中義一内閣、犬養毅内閣、斎藤実内閣、岡田啓介内閣)で大蔵大臣(その他に、加藤高明内閣では農商務大臣。)を務めているのだが、一国のトップを務めた人間が一閣僚として”平大臣”を歴任するというのはかなり異例の事。無欲恬淡な人柄を表す所で、柔和な顔立ちからダルマ宰相呼ばれ、広く国民に愛された理由の一つで在ろう。
犬養内閣から岡田内閣にかけての時期は、軍部の政治的台頭期に当り、日本の軍国化には強い反対を示した事(インフレを抑制する為の軍事予算縮小等。)が軍部の怒りを買い、その事が青年将校達に惨殺される結果となってしまった。
斎藤内閣時代の是清氏を、当時の政治評論家・馬場恒吾氏は次の様に評している。
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この時、大蔵大臣高橋是清翁は80歳の老人で在った。しかも、その健康が始終政治問題として取り扱われる程の病身で在る。
然るに政治の現状を見れば、この老人が渾身の力を振るって日本がファッショ化(注釈:軍国化)するのを支え(注釈:「ささえ」ではなく「つかえ」。「抵抗する」と同意。)ている如く見えた。
そして、この老人をして孤軍奮闘せしめなければならぬ所の、日本の政界を情けなく思う。
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今発売されている「週刊文春(3月2日号)」の巻頭グラビアは、事件発生から70年目にして初公開された「2・26事件『重臣たちの惨殺写真』」。その中には、射殺された是清氏の惨たらしい姿も載っている。好々爺といった面持ちの小柄な老人の残酷な姿。70年前の出来事とはいえ、改めてテロの野蛮さに憤りを覚える。
それと同時に、「命を懸けて頑張ります!」と軽々しく口にする今の政治家達のどれ程が、この頃の政治家の様に真に命懸けで政治に当たっているのかを思った時、耐え切れない程の虚しさを感じてもしまった。
今から27年前になるが、TBSで放送されたドラマ「熱い嵐」が今でも忘れられない。高橋是清氏の波乱の人生を描いた名作だった。
私生児として此の世に生を受け、13歳の時に仙台藩の命を受けて留学したアメリカでは、知らぬ間に奴隷契約書にサインをさせられてしまい奴隷の生活を送った是清氏。様々な苦労を経て翌年に帰国し、文部省に入省。その後、政界に転身し、7度の大蔵大臣と7ヶ月の宰相を務める。
大蔵大臣としては、1927年に金融恐慌が発生した際、全国金融機関へのモラトリアム(支払猶予令)を出して騒動を沈静させ、その後に起こった世界恐慌で日本経済が不況に陥った際には、日銀引き受けによる赤字国債発行や金輸出再禁止等でいち早く不況から脱出させる等、アイデアマンぶりが光る。
又、宰相を務めた後に、4つの内閣(田中義一内閣、犬養毅内閣、斎藤実内閣、岡田啓介内閣)で大蔵大臣(その他に、加藤高明内閣では農商務大臣。)を務めているのだが、一国のトップを務めた人間が一閣僚として”平大臣”を歴任するというのはかなり異例の事。無欲恬淡な人柄を表す所で、柔和な顔立ちからダルマ宰相呼ばれ、広く国民に愛された理由の一つで在ろう。
犬養内閣から岡田内閣にかけての時期は、軍部の政治的台頭期に当り、日本の軍国化には強い反対を示した事(インフレを抑制する為の軍事予算縮小等。)が軍部の怒りを買い、その事が青年将校達に惨殺される結果となってしまった。
斎藤内閣時代の是清氏を、当時の政治評論家・馬場恒吾氏は次の様に評している。
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この時、大蔵大臣高橋是清翁は80歳の老人で在った。しかも、その健康が始終政治問題として取り扱われる程の病身で在る。
然るに政治の現状を見れば、この老人が渾身の力を振るって日本がファッショ化(注釈:軍国化)するのを支え(注釈:「ささえ」ではなく「つかえ」。「抵抗する」と同意。)ている如く見えた。
そして、この老人をして孤軍奮闘せしめなければならぬ所の、日本の政界を情けなく思う。
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今発売されている「週刊文春(3月2日号)」の巻頭グラビアは、事件発生から70年目にして初公開された「2・26事件『重臣たちの惨殺写真』」。その中には、射殺された是清氏の惨たらしい姿も載っている。好々爺といった面持ちの小柄な老人の残酷な姿。70年前の出来事とはいえ、改めてテロの野蛮さに憤りを覚える。
それと同時に、「命を懸けて頑張ります!」と軽々しく口にする今の政治家達のどれ程が、この頃の政治家の様に真に命懸けで政治に当たっているのかを思った時、耐え切れない程の虚しさを感じてもしまった。
マスコミ受けばかり狙う、これは何も政治屋に限ったことではないのですが!
真に、「命を懸けて頑張ります!」といい、有言実行できる政治家の出現を望みます。
この中で、陸軍大将は無罪となり、各青年将校ともに処刑された民間人が居た。「義眼の魔王」とも呼ばれた、北氏である。
この名前の響が、子供心にかっこいいなぁと・・・。
文献もいっぱいあるよな、彼の考え方が危険だということで、処刑されたんだが、、大将は無罪で、一般人が処刑、これもなんだかなぁと思ったことを、思い出しました。
これからも、真の政治家が、誰か?
よく見つめて投票を、したいものだと思うな。
「裏白の二百円札」の話はgiants-55さんもご存知かと思いますが、雲泥の差とはこのことです。元首相といえど、所詮族議員には期待しちゃいけないという教訓にしかなりませんでした。
官僚への対峙方法で、政治家の覚悟を探ることが出来るかもしれません。
3時間ドラマ「熱い嵐」懐かしいですね!
私が演技というより形態模写に近い才能を感じる方
1人目が江守徹さん
手塚治虫先生と島津久光はソックリだと思いました!
ルックスは似てないのに“さすが”でした
2人目は森繁久弥さん
首相を演じたら並ぶものはいません!
吉田茂もですがテレビで演じた鈴木貫太郎は最高っ!
仕草や表情だけであんなに似せるなんて・・
お2人とも ただの役者ではないと感心しました〆
私も「熱い嵐」の主題を調べてみたのですが、
音楽担当が小室等さんだという事しか分りませんでした
伊藤博文を描いた「風が燃えた」では 大橋純子さんの『たそがれマイラブ』が流れていたような記憶もあるのですが、それ以上は憶えておりません(無念!)
ただ 伊藤博文を演じた平幹二朗さんが自宅の庭で野菜作りをしていて 丹精込めて作った大根を生でかじり
「土からこんな甘い大根が育つとはなぁ」
というようなセリフを喋っていたのは憶えています!
後に伊藤博文が昼日中から愛人と寿司屋にくりだす好色親父だったと耳にして とても信じられませんでした(笑)
TBSの3時間ドラマでは
“ルル~ルル~♪”と 女性のコーラスだけの曲がよく流れていた記憶もボンヤリとありますネ・・
久しぶりに「白虎隊」も観たくなりました(笑)
日テレの年末時代劇「忠臣蔵」も何度もみた作品です!
森繁久弥さんの吉良上野介は新鮮味があって印象的でした
やはり“魅せる”役者さんでしたネ~♪
但し彼の具体策には2つ問題がありました。1つは積極的な財政出動の大半が軍事費の増大という形をとったことです。彼自身も軍事費の非生産性を理解していたので、ある程度景気が回復したところで今度は一転して軍事費の削減をしようとしたわけです。これが肥大化した軍部から抹殺された最大の原因です。自分が大きくしたものに抹殺されてしまったわけです。
もう一つは赤字国債の日銀引受です。これは教科書にもはっきりと「やってはいけないこと」と書いてあります。赤字国債の対価として日銀券が無限大に発行されてしまうのでインフレが限りなく進んでしまうのです。世界恐慌というデフレの時には一時的に効くでしょうがその後は日銀の独立性が担保されずインフレが進むことになったわけです。その経験があるため平成不況の際にポールクルーグマンが同じことを提案しても日銀は受け入れなかったわけです。失礼いたしました。
先日チラッと書いたのですが、経済関係の知識に限りなく自信が無い為、初心者向けの本(「東大生が書いたやさしい経済の教科書」)を現在読んでいます(^o^;;;。少しづつでは在りますが、経済の仕組みが判って来て、面白いなあと感じています。
是清氏の経済政策に関しては、そのアイデアマンぶりは評価されていますが、内容面では問題点が在るんですね。後者の「赤字国債の日銀引受」に付いては、別の本で”禁じ手”とされておりましたが、前者の話は恥ずかしながら知りませんでした。一時的な方策として良かれとやった事が、結果的に自らの命を縮めてしまったというのは何とも皮肉だし、哀しい事実ですね・・・。
貴重な御教示、有難うございました。