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1937年の東京。隅田川で拾われた男が、病院に運ばれて来る。身元不明の男は記憶を失っていたが、何故か此れから遣って来る戦禍の時代を、知っているかの様だった。(「遭難者」より)。
と或る北の国。猛吹雪の夜、図書館に1人の少年が取り残された。暖房も無い極寒の館内。其処に突然現れた謎の男は、少年を救い、軈て大切な事を伝え始めた。(「図書館の子」より)
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佐々木譲氏の小説「図書館の子」は、タイム・トラヴェルを題材にした6つの短編小説で構成されている。“時”と闘い、“時”に翻弄される者達を描いており、SF作品好きな自分は期待して読み始めたのだが・・・。
全体的に“意外性”が感じられず、面白く無い。「『追奏ホテル』という作品で、民話『鶴の恩返し』等の『教えをきちんと守らないと、罰が与えられる。』というパターンが在った。」けれど、何と無く既視感を覚える作品が揃っていて、佐々木作品にしては全て期待外れな感じだ。本当なら色々書きたいのだけれど、書くべき事が特に見付からない程。
総合評価は、星2.5個とする。