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8人の子供が居る家庭に或る日、。「子供の命は預かった。3千万円を用意しろ。」という脅迫電話が掛かって来る。しかし、家には子供全員が揃っていた。一体、誰が誘拐されたのか?
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「2014週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」では4位、「2015本格ミステリ・ベスト10【国内編】」では3位、そして「このミステリーがすごい!2015年版【国内編】」では4位と、昨年、ミステリー関連の年間ブック・ランキングで高い評価を得た小説「小さな異邦人」。表題作でも在る「小さな異邦人」を含め、8つの短編小説から構成されている。
著者は、昨年65歳で亡くなられた連城三紀彦氏。ミステリー関連の年間ブック・ランキングに数多くの作品をランクインさせているけれど、連城氏の作品で読んだのは、第91回(1984年上半期)直木賞を受賞した「恋文」のみ。だから連城作品には「恋愛小説」というイメージは在っても、「ミステリー」というイメージは無かった。
文体は綺麗なのだが、全体的にくどくどしい感じが在り、個人的には読むのにしんどさが在った。「少し読んでは止め、日を改めては少し読み、又止める。」という感じで、読み始めると「どういう展開だったのか、思い出すのに時間を要する。」という具合。内容に魅了される部分が少なかったというのも、大きな理由か。理解力の悪さも在るのだろうけれど、“落ち”の意味合いが良く判らなかった作品も在った。
強いて御薦め作品を挙げるならば「小さな異邦人」。家に子供は全員居るのに、「子供の命は預かった。3千万円を用意しろ。」との脅迫電話が掛かって来る展開に、「一体、どういう事なんだ!?」と興味を惹かれる。「誰も誘拐されていないのに、脅迫相手を必死で推理する子供達。」というのは妙な感じもするが、予想外の結末には「そういう事だったのか!」と一本取られた感じが。
高い評価を得ている作品だが、自分は余り魅力を感じなかった。総合評価は、星3つとする。