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常盤優我(ときわ ゆうが)は仙台市のファミレスで1人の男に語り出す。双子の弟・風我(ふうが)の事、決して幸せでなかった子供時代の事、そして、彼等兄弟だけの特別な「アレ」の事。僕達は双子で、僕達は不運で、だけど僕達は、手強い。
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伊坂幸太郎氏の作品で、最初に手に取ったのは「アヒルと鴨のコインロッカー」だった。「最初に読んだ。」と書かなかったのは、「3分の1も読まない段階で、『何だか良く判らないなあ・・・。』と読むのを止めた。」から。「自分とは肌が合わない。」という感じがして、伊坂作品は敬遠していたのだけれど、週刊誌上の書評で高く評価されていたので、次に手に取り、そして初めて読み終えた作品が「ゴールデンスランバー」だった。今から11年前の事で、総合評価は「星3.5」とした。
「登場人物の名前が変わっている。」、「不思議な世界観。」、「格言の多用。」等、独特の雰囲気を有する伊坂作品。「東野圭吾氏の作品の様に、夢中になれる内容では無い。でも、新作が上梓されると、手に取って読んでしまう。」、伊坂作品は妙な魅力を有している。
今回読了した「フーガはユーガ」は、“不思議な能力”を持った双子・風我と優我が主人公。「Whoが?」、「Youが?」という言葉遊びを感じさせる主人公の名前で在り、他にも変わった名前の人物が登場する。不思議な世界観も健在で、格言の多用が無い事だけが、従来の伊坂作品とは異なる点か。
DVや虐め、子供の殺害等々、扱われている内容は重い。そういった重い内容をさらっと書き上げる能力は見事だと思うけれど、読後感は決して良く無いし、どうしても理不尽さを感じてしまう。
伊坂氏は此の作品で、何を訴えたかったのだろうか?“切なさの追求”という事で在れば、余りに短絡的だと思うし。
総合評価は、星3つとする。