「東日本大震災」発生から、今日で4ヶ月が過ぎた。未曾有の大災害は我々日本人の思考に大きな変化を与えたが、一番大きい変化は「死生観」ではなかろうか?一定年齢以上の人ならば「死」は遠い存在では無いだろうが、其れ以外の人達、特に若い人達にとって「死」は非常に遠い存在だった筈。非常に遠い存在だったからこそ、「生」を得ているのは当然の事として捉えていたと思う。しかし3月11日、想像だにしていなかったで在ろう大津波により大勢の命が奪われるのを目にした事で、「或る日突然、『死』と直面しなければならない事も在る。我々は『生きている』のでは無く、『生かされている』のだ。」という思いを強くした人は結構居そうな気がする。
其の他にも、我々には大きな思考の変化が在ったと言われている。「宗教本が多く売れる様になった。」、「地震保険の加入者激増。」、「家族の絆を強く意識する人が増えた。(例年ならば影の薄い存在だった「父の日」だが、今年は家族の絆を見直す人が増えた為か、父親へのプレゼントを買い求める人が増えたとか。)」、「住居捜しで、湾岸エリアよりも地盤の強固なエリアを重視する人が増えた。」、「不測の事態に備えての貯蓄志向増加。」等々がそうだが、其れ以外にも意外な変化が見受けられる様だ。
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「震災で消費変化 ~食品 強まる長持ち志向~」(7月9日付け東京新聞【夕刊】)
東日本大震災を切っ掛けに、主婦等が乳製品等を購入する際、「長持ちするかどうか?」を重視する傾向が強まっている。此れ迄は鮮度に注目し勝ちだったが「震災後に買い溜めした食品を賞味期限切れで捨てた経験等から消費志向が変化した。」と専門家。備蓄出来る製品に関心が高まり、メーカー側も幅広い食品で“ロングライフ化”を進めている。
「鮮度だけでは無く長持ちする食品も大事だと思う様になった。」。森永乳業が20~40代の主婦400人を対象に実施した「震災後の食べ物に関する意識調査」で、約半数が震災を機に賞味期限の長さを重視する様になったと答えた。牛乳や飲料、ヨーグルトを購入する時には、鮮度より味や価格、賞味期限の長さを重視すると言う。
此の調査では、震災後、食品を未開封の儘捨てた事の在る人は全体の約2割に上った。震災で食品の供給に影響が出た為、店頭に並んだ時に余分に買い込み、特に品薄が目立った豆腐や納豆、ヨーグルト等で廃棄された例が多かったと見られる。震災で食べ物の在り難みを再認識し、食品を廃棄する事への罪悪感も高まっている様だ。
消費者の意識の変化を受けて、森永乳業では無菌環境で容器に詰める事により60日間の常温保存が出来る「ロングライフ(LL)牛乳」の売り上げが急増。震災後1ヶ月間は前年同期の1.5倍に伸びた。2週間程度が賞味期限の普通の牛乳が通常通りに供給される様になった6月でも、前年同月比約1割増と言う。雪印メグミルクでもLL牛乳の6月の販売量は1割程度増えた。 長期保存が可能な食品は敷島製パンの「ロングライフブレッド」等パン類、寿がきや食品の「生タイプめん」、紙パック入り豆腐等食品メーカー各社が手掛けている。 消費者の志向変化に詳しい日本大学生物資源科学部の清水みゆき教授は「此れ迄の日本人は“フレッシュ志向”が強い傾向に在ったが、今後は其れに加え、『賞味期限がより長い食品』のニーズが高まって来る。」と予想している。
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「普通に生活出来る事が、何れだけ在り難い事か。」を再認識し、延いては「食べ物の在り難み」や「食品を廃棄する事への罪悪感」を、従来以上に意識する様になった人が増えたというは良い事だと思う。又、そういった意識の高まりが「長持ちする商品を求める様になった。」というのは、「成る程。」と思わされた。
これは私も実感できます。
このたびの東日本大震災では、石巻の友人を亡くしました。
また、16年前の阪神大震災では、私自身が死にかけました。テレビがあと15cmずれて落下していたら、テレビが私の頭を砕いていたでしょう。また、阪神大震災では何人かの友人知人を亡くしました。二つの大震災で知人を亡くしています。死は決して遠くにあるもではありませんね。
昨日迄元気だった人が今日は居ない・・・父の死は正に其れで、「死というものが必ずしも遠い存在では無い。」と痛感させられた最初でした。1人の死ですらそう感じるのですから、阪神淡路大震災や今回の東日本大震災で多くの犠牲者が出た事で、「死」を身近に感じた人は少なくなかった事でしょう。