好きで毎週見ているドキュメンタリー番組「ドキュメント72時間」。「放送予定回毎のテーマに適うロケーション撮影場所を決め、定点観測的な撮影&取材を丸3日間(72時間)行い、其処で出会えた不特定多数の一般人の中から、様々な人間模様を抽出して、時系列で1つの群像に纏め上げるという手法で制作された番組。」だ。
27日の放送は「千葉県・南房総に在る、東京湾に真っ直ぐ約160m突き出ていて、周囲には何も無い桟橋。」が舞台だった。元々大正時代に魚の水揚げ用として作られたが、50年程前に漁港が移転した事から、役目を終えたのだが、「“昭和っぽい感じ”が良い。」と、今や隠れた人気スポットになっているそうだ。
罅の入り捲ったコンクリート製の桟橋だが、一部が木製だったりと、兎に角古びている。桟橋上に取り付けられた電柱及び外灯も、自分が幼児期に見ていたのと同じ感じで、とても懐かしかった。
で、此の桟橋には若い人達も結構訪れる様なのだが、海岸入り口に座っていた御婆さんがそういう若い人達を見て、スタッフに話しているシーンが在った。「若い人達は、結構良い車で此処に来るんだよ。月賦で買ったんだろうけど。」と、其の御婆さんは口にしたのだが、“月賦”という言葉に思わず反応してしまった。「今時“月賦”って、“橋田ドラマ”かよ!」と。
此方に詳しく書かれているが、「“今の時代”を描いているのに、今じゃあ殆ど使われない、死語化した台詞がバンバン使われる。」のが、橋田寿賀子さんの脚本だった。月賦なんて死語化した言葉に、自分は思わず突っ込んでしまった訳だ。
「先日、矢張り同じ突っ込みを、心の中でしてしまった場面。」が在った。行き付けの美容院(と言っても「カットだけだと、信じられない様な低価格でして貰えるタイプの美容院。)でカットして貰いに行った際、隣に座った御婆さん(後期高齢者と思しき女性)が矢鱈と大きな声で話す人だった。マスクをしているとはいえ、「もっと静かにして欲しいなあ。感染が怖いし・・・。」とうんざり。美容師から話し掛けられるのも好きじゃ無いので、何時もの様に寝た振りをしていたのだけれど、其の御婆さんが余りにも大きな声で延々と話しているものだから、嫌でも話が耳に飛び込んで来る。
話が、彼女の家族に付いて及んだ。どうやら彼女には夫の他、2人の息子が居るらしく、息子2人は既に結婚して、家を出ている様だ。だが、長男夫婦は直ぐ近所に住んでいるらしく、彼女は美容師に「長男夫婦は、味噌汁が冷めない距離に住んでるんですよ。」と言ったのだ。
補足すると、「長男夫婦は、作った(橋田ドラマでは、“拵えた”という台詞になるが。)味噌汁を御裾分けに持って行ったとしても、冷めない位近い距離に住んでいるんですよ。」という事。「“珈琲が冷めない距離”って言うなら未だしも、“味噌汁が冷めない距離”って・・・“橋田ドラマ”かよ!」と、心の中で思わず突っ込んでしまった。