ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「九年前の祈り」

2015年02月19日 | 書籍関連

“同じ場所”を“昔の写真”と“今の写真”とで比較する、其れも“同じアングル”で撮られた物同士というのは、実に面白い。長年住んでいる場所等、自分にとって思い入れの深い場所も良いが、幼少期に夢中になって見ていたTV番組の舞台となった場所なんていうのも、実際に行った事が無くても、「こんなに変わってしまったのか・・・。」と感慨深くなってしまう。

 

ブログブックマークしているサイト仮面ライダーV3 ロケ地大百科」、「仮面ライダー ロケ地大画報」、「仮面ライダー ロケ地マガジン」、「光跡」、そして「昔のドラマのロケ地を探そう!」は、そんな自分を大いに楽しませてくれる。数多くの“現場”へ直に足を運び、“昔”と“今”を“同じアングル”で撮影するなんていうのは、本当に頭が下がる思い。仮面ライダー・シリーズが大好きだったので、仮面ライダー関連のサイトは懐かしくて、涙が出る程嬉しかったりする。

 

人によっては「高がTV番組。」だろうけれど、こういう地道検証は、“放送文化”を守る事にもなると思う。“取材”は大変だろうけれど、運営主の方々には、今後も頑張って戴きたい。

 

*********************************

35歳になるシングル・マザーのさなえは、幼い息子の希敏(けびん)を連れて、此の海辺の小さな集落に戻って来た。何かのスイッチが入ると、引きちぎられた蚯蚓の様にのたうちまわり、大騒ぎする息子を持て余し乍ら、さなえが懐かしく思い出したのは、9年前の「みっちゃん姉」、渡辺ミツ(わたなべ みつ)の言葉だった。

*********************************

 

第152回(2014年下半期芥川賞を受賞した「九年前の祈り」。著者小野正嗣氏は1996年に文壇デビューし、芥川賞候補になる事4回目にして、受賞者となった経緯が在る。

 

第151回(2014年上半期)芥川賞受賞作品「春の庭」のレヴューでも書いた様に、此処数年の芥川賞受賞作品には、「何で、こんな作品が受賞出来たの?」とガッカリしてしまう物が目立つ。だから、「九年前の祈り」も期待しないで読んだのだけれど、思っていた以上にガッカリな内容だった。

 

表題作でも在る「九年前の祈り」に付いてのみ触れるが、「カナダ人男性と同棲し、3年が過ぎた頃に息子・希敏を儲けるも、彼の1歳の誕生日を過ぎた辺りから家庭が崩壊し、息子と共に実家に出戻った35歳のさなえ。」が主人公。

 

希敏は発達障害罹患している様で、さなえは其の言動に振り回されている上、実家が在るのは非常に封建的な地域という事も在って、「外国人の“夫”と別れ、日本人とは異なるルックスエキセントリックな言動の息子と共に、実家に出戻って来た女。」といった住民達の好奇な目に晒され、疲れ切っている状態。

 

そんな彼女が、“過去の記憶”と“現在”とを行ったり来たりする中で、“痛み”が癒されて行くという筋立てなのだが、文章に“無駄”が余りにも多く、読み進めるのが辛かった。

 

登場させる必然性を感じない人々が多過ぎる。」「“スパイス”になっていない、くどさしか感じられない方言多用其れを記す事で、何の意味が在るのか?』が全く判らない、冗長なだけの記述の数々。が自分に“無駄”を感じさせ、極論すれば膨らまし粉が『1』で充分なのに、無理無理に『3』も使い、“見た目”を大きく膨らましたパンの様。中身がスカスカで、全く美味しく無い。

 

総合評価は、星1.5個


コメント    この記事についてブログを書く
« 「キャロリング」 | トップ | 封入奇形胎児 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。