個人情報保護法施行から1ヶ月が経過。5千人以上の個人情報を持つ民間企業や団体は、その漏洩防止等を義務付けられ、違反した場合は罰金や懲役刑が科せられる事になった。個人情報には、氏名や住所が書かれた顧客名簿は勿論の事、メールアドレスや名刺等も含まれ、多くの企業等ではその管理にかなり神経質になっている様だ。「AERA(4月25日号)」の特集記事「『個人情報』を漏らすな 混乱の職場・万全の職場」では、個人情報保護法施行による企業等の混乱ぶりが載っていて興味深いものだった。
日立情報システムズの場合、紙屑を捨てるゴミ箱を全て排除されたという。不要になった資料から殴り書きのメモ用紙や単なる紙屑迄、凡そ紙と名が付く物で在れば全て専用の施錠されたキャビネットに投函させ、そのキャビネットは毎日社員の手で倉庫に運ばれ、其処で中身はシュレッダーにかけられる事になるのだが、このシュレッダーが従来の裁断式ではなく、内部で水を噴射し紙を溶かすタイプなのだとか。リサイクルという面も在るのだが、情報を外部に絶対に漏洩させないという強い意思が其処に在るのは言う迄もないだろう。
社員それぞれのパソコンには「持ち出し不可」のステッカーが貼られ、外出する際には机の引き出しにパソコンをしまい施錠する。資料や書類も全て同様にし、帰宅する時に机上に載っているのは、固定電話とセキュリティーを高めたパソコンだけ。万一、それ以外の物が載っているのを見廻りの警備員に見付かると、翌日職場に連絡が行き、上司から厳しく叱責されるという。
この様に、多くの企業が程度の差こそ在りすれ、情報管理に神経を尖らせている。それ故に、混乱を来たしている所も又、少なくない様だ。
社内での情報漏れを避ける為、部署毎に入退室管理用のIDカードが配布されている会社が在る。うっかりIDカードを携帯せずにトイレに向かった人間が、再入室出来なくなってしまい、携帯で室内の同僚を呼び出しドアを開けて貰ったという話。仕事で直ぐには手が離せない同僚を、5分近く入り口の前で待たなければならなかったというのだから、さぞかし待たされた方は隔靴掻痒の思いだったろう。こういった失態を避ける為に、空のペットボトルをストッパー代わりにドアに挟んで退室する人間も居るというのでは、何の為のセキュリティー対策かと苦笑せざるを得ない。
又、派遣社員にはこのIDカードが配布されない所が殆ど。派遣部署以外には行く必要が無いという建前が在るからだが、実際には他部署に行く必要性が多く在り、その度毎に正社員からIDカードを借り受ける事になる。借りる度に、「何しに行くの?」と執拗に聞かれ、時には不機嫌さを露骨に出す正社員に対して御機嫌取りをしなければならず、それが故にストレスは溜まる一方というのでは、組織内の歪みを生じさせ兼ねない事態だろう。
都内の或る多目的ホールでは、イベント等のチケット販売促進に使うDMの発送をストップさせたという。これ迄は来館時のアンケート等に書かれた住所等を元に名簿を作成しDMを送っていたのだが、個人情報保護法に於いては、個人情報の使用目的を事前に本人に伝えなければならない事になっており、(その旨を未明記のアンケートに基づいて作成された)名簿を使用してのDM発送は違法となるからだ。名簿に載っている何万人という人一人一人に電話して、DMを送って良いかどうかの確認作業に追われているのだそうだ。
エコロジーの観点から推し進められていた裏面コピーも、裏に個人情報が書かれていたら問題になるという事で禁止した職場も多いのだとか。
東京慈恵会医大付属病院では、外来患者の呼び出しを、名前ではなく番号表示で行なう計画を進めている。名前で呼ぶと、誰が、どんな関係の病気に罹っているか推測出来てしまう恐れが在るからだとか。
又、しばしば書き込みをして下さる狩野賢一様のブログ「狩野賢一の外科的徒然日記」。その2月19日付けの記事「パターナリズムからの脱却」でも紹介されていたが、患者の病状の説明に付いても、原則として患者本人の同意を得なければ、例え家族であっても伝えない事になったのも、個人情報保護法の絡みだ。
混乱する現場が在る一方で、新しい法律をビジネスチャンスとして活かし、売り上げアップに繋げている会社も存在する。万一の情報流出で賠償金等が発生した場合に備えて、個人情報漏洩保険を商品化している保険会社、書類を裁断するシュレッダーのメーカー、不要となったCD-Rやパソコンのハードディスクドライブを破壊する機器のメーカー等がそれだ。「風吹けば桶屋が儲かる。」とは上手く言ったものだ。
日立情報システムズの場合、紙屑を捨てるゴミ箱を全て排除されたという。不要になった資料から殴り書きのメモ用紙や単なる紙屑迄、凡そ紙と名が付く物で在れば全て専用の施錠されたキャビネットに投函させ、そのキャビネットは毎日社員の手で倉庫に運ばれ、其処で中身はシュレッダーにかけられる事になるのだが、このシュレッダーが従来の裁断式ではなく、内部で水を噴射し紙を溶かすタイプなのだとか。リサイクルという面も在るのだが、情報を外部に絶対に漏洩させないという強い意思が其処に在るのは言う迄もないだろう。
社員それぞれのパソコンには「持ち出し不可」のステッカーが貼られ、外出する際には机の引き出しにパソコンをしまい施錠する。資料や書類も全て同様にし、帰宅する時に机上に載っているのは、固定電話とセキュリティーを高めたパソコンだけ。万一、それ以外の物が載っているのを見廻りの警備員に見付かると、翌日職場に連絡が行き、上司から厳しく叱責されるという。
この様に、多くの企業が程度の差こそ在りすれ、情報管理に神経を尖らせている。それ故に、混乱を来たしている所も又、少なくない様だ。
社内での情報漏れを避ける為、部署毎に入退室管理用のIDカードが配布されている会社が在る。うっかりIDカードを携帯せずにトイレに向かった人間が、再入室出来なくなってしまい、携帯で室内の同僚を呼び出しドアを開けて貰ったという話。仕事で直ぐには手が離せない同僚を、5分近く入り口の前で待たなければならなかったというのだから、さぞかし待たされた方は隔靴掻痒の思いだったろう。こういった失態を避ける為に、空のペットボトルをストッパー代わりにドアに挟んで退室する人間も居るというのでは、何の為のセキュリティー対策かと苦笑せざるを得ない。
又、派遣社員にはこのIDカードが配布されない所が殆ど。派遣部署以外には行く必要が無いという建前が在るからだが、実際には他部署に行く必要性が多く在り、その度毎に正社員からIDカードを借り受ける事になる。借りる度に、「何しに行くの?」と執拗に聞かれ、時には不機嫌さを露骨に出す正社員に対して御機嫌取りをしなければならず、それが故にストレスは溜まる一方というのでは、組織内の歪みを生じさせ兼ねない事態だろう。
都内の或る多目的ホールでは、イベント等のチケット販売促進に使うDMの発送をストップさせたという。これ迄は来館時のアンケート等に書かれた住所等を元に名簿を作成しDMを送っていたのだが、個人情報保護法に於いては、個人情報の使用目的を事前に本人に伝えなければならない事になっており、(その旨を未明記のアンケートに基づいて作成された)名簿を使用してのDM発送は違法となるからだ。名簿に載っている何万人という人一人一人に電話して、DMを送って良いかどうかの確認作業に追われているのだそうだ。
エコロジーの観点から推し進められていた裏面コピーも、裏に個人情報が書かれていたら問題になるという事で禁止した職場も多いのだとか。
東京慈恵会医大付属病院では、外来患者の呼び出しを、名前ではなく番号表示で行なう計画を進めている。名前で呼ぶと、誰が、どんな関係の病気に罹っているか推測出来てしまう恐れが在るからだとか。
又、しばしば書き込みをして下さる狩野賢一様のブログ「狩野賢一の外科的徒然日記」。その2月19日付けの記事「パターナリズムからの脱却」でも紹介されていたが、患者の病状の説明に付いても、原則として患者本人の同意を得なければ、例え家族であっても伝えない事になったのも、個人情報保護法の絡みだ。
混乱する現場が在る一方で、新しい法律をビジネスチャンスとして活かし、売り上げアップに繋げている会社も存在する。万一の情報流出で賠償金等が発生した場合に備えて、個人情報漏洩保険を商品化している保険会社、書類を裁断するシュレッダーのメーカー、不要となったCD-Rやパソコンのハードディスクドライブを破壊する機器のメーカー等がそれだ。「風吹けば桶屋が儲かる。」とは上手く言ったものだ。
で、うちの会社パソコンのログインチェックに社員証使いますので胸からぶら下げた社員証をパソコンのカードリーダに差し込むんですけどたま~に挿しっ放しで部屋の外出てしまうんですよね。そうすると事務所に入れないわエレベーターは動かないわで大変です。仕方ないので人が扉開けるの待っているか電話であけてもらうしかないんですけど・・・。けっこうやっちゃいます。
弊ブログでは特に告知の問題を取り上げているのですが, 「患者さん本人が自分の病態をかみしめて治療に対する自分の意思を主張する」 という,言われてみれば当然の原則が再確認されたワケです.今後は診察前に 「家族に知らせたいか?」 というアンケートが配られることになっていくと思います.また,病名を類推させること自体が個人情報漏洩ということで,施設によっては,患者さんを番号で呼んでみたり病室にその番号を表示してみたり...そのうち待合室が覆面をかぶった患者さんで溢れかえったりして.
すぐ思いつく「番号式」にすると、呼ばれても自分とわからない年寄りが出てきて現場は大混乱するのでは。その確認には・・やはり名前でしょうね。
「チューリップ」とか「たんぽぽ」とか書かれたその日だけのコードを書いたカードを患者に持たせるとか。どちらにしてもスムーズな医療受診とプライバシー両立は難しそうです。
横レスですが、
>覆面をかぶった・・
オーストラリアの昔の流刑所がそうでした。脱走を防ぐため、絶対顔を覚えさせないように独房から出すときはそうしていたそうです。
そこで見た絵を思い出してしまって・・。
豪州のタスマニアにある「ポートアーサー」という刑務所跡が公開されており観光できるようになっています。そこは流刑者の送られた豪州で、さらに罪を犯した者が送られたところだそうです。
(「ポートアーサー 刑務所」で検索すれば建物写真は出ます。覆面の話は見つからずです)
そこの中に礼拝所みたいなところがありまして(大学の階段教室を想像してください)50人程度入れる大きさなのですが、そこも隣との仕切りがあり顔が見えないようになっていました。さすがに礼拝時には覆面を取ることを許されたのでしょう。
またそこに当時の様子の絵が貼ってありましたが、それにはみな紙袋を逆さまにしたような覆面をかぶされていました。
説明が英語だったので、聞き取れる限界があるのですが、おそらく顔見知りになることで脱走計画を企てないよう又顔がわからなければ一緒に企てた者かどうかさえ判らない。
その観点からの手段であったと思われます。
その説明の絵の印象が強烈でしたので、ついつい書いてしまいました。
ちょっと言葉足らずでした。失礼しました。
話を戻して、
医療の現場での危惧(病名がわかる)は理解しますが、どうすればいいのでしょうね。
名前で扱わないと、他人と間違えて投薬したり、患者が呼出しをわからなかったりとかで混乱するでしょう。(サッカーみたいに番号入りビブスを着せましょうか?)
病院のこの問題への負担を思うと、同情を禁じえません。
・手足にバーコード付のベルトを巻いてもらう。
・ICタグ内臓のベルトを巻いてもらう。
等々がありますがそのうちポケベルみたいな端末が待合の患者に配られるようになるかもしれませんね。
>やま様
こういったアイデアは,やはり民間から出てきますね.官僚はお題目を押し付けるだけで,後先考えてませんから(笑).
この問題には,告知・患者取り違え・薬剤処方ミス・認知症など,様々な問題が絡んできてますので,現場はしばらくは混乱すると思います.私としては個人情報云々よりも,まず患者さんの安全が優先されてしかるべきだと思うのですが,厚生労働省の見解は不明瞭なままです.