今回読んだ「未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること」(著者:河合雅司氏)は、昨年話題となった「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」の続編。「2020年には、女性の半数が50歳以上。2024年には、全国の3人に1人が65歳以上。2024年には、高齢者人口が約4千万人と、ピークを迎える。」等、不安を感じるデータで溢れた本だった。
「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」が“未来の日本の全体像”を描いていたのに対し、「未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること」では“未来の日本で我々に起こる事”という、身近な話題を取り上げている。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2015年の国勢調査で約1億2,700万人を数えた日本の総人口は、僅か40年後には9千万人を下回り、100年も経たずして5千万人程に減少すると言う。100年も経たない内に、総人口は半分以下になる訳だ。
2015年、65歳以上の人数は3,387万人だったという事なので、総人口に占める65歳以上の割合は約26.6%。そして、2115年には総人口が5,065万人、内65歳以上の人数が1,943万人と予想されているので、其の割合は約38.3%という事になる。
高齢者の割合が増加する事で、様々な変化が起きるで在ろう事は想像出来るが、「そう言われたら、そうだなあ。」と思わされたのは、「若い人達と比べると、動作が緩慢に成り勝ちな高齢者が増加する事で、電車やバスの乗り降りに今迄以上の時間が必要となり、過密ダイヤの維持が出来なくなったり、(バスの出発を待つ後続車両が増える事での)渋滞の増加。」、「現在の電車の荷棚は、高齢者には高過ぎて手が届かないので、高齢乗客が増えてくれば、車両のリニューアルは避けられず、企業はこうした出費が嵩んで来る。」(雫石鉄也様が「電車の網棚は必要か?」という記事を書いておられた様に、「荷棚(網棚)自体が必要なのかどうか?」という問題も在るが。)等の予想。そういった事には思いが及ばなかったのは、自分の想像力が足りないという事なのだろう。
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・家庭の浴槽以外を含めた溺死者数を欧米各国と比較すると、日本が突出している。WHO(世界保健機関)が示す65歳以上の溺死者数(人口10万人中)は、日本が19.0人なのに対し、欧米各国はフランス3.5人、米国1.5人、イタリア1.1人、英国0.5人にすぎない(「News Release」)。これだけの差がついていることを見れば、熱い湯に肩までつかるという日本人特有の入浴スタイルが、高齢者にとっていかに危険なのかが判る。
・国交省の別の調査によれば、築30年以上のマンションの管理組合のうち、管理費や修繕費の滞納があると回答した管理組合は、「3ヶ月以上の滞納」が半数にのぼり、「6ヶ月以上」で30%ほど、「1年以上」も20%を超えた。築年数の古い物件ほど滞納者の割合は増える。築30年以上のマンション総数が2036年には528万4,000戸(築30~40年未満194万8,000戸、築40~50年未満160万9,000戸、築50年以上172万7,000戸)に達すると国交省は予測している。
・高校野球のチーム編成にも、かつては考えもしなかった変化が現れている。2017年の鹿児島県の秋季大会で、プロ野球のオールスターゲームのような光景が見られたのだ。同じチームなのにユニフォームがバラバラで、その数7種類。各校の野球部員が不足し、7校の野球部員が集まって合同チームを結成したのである。(中略)こうした合同チームというのは、決して鹿児島県だけの特異なケースではない。子供の絶対数が多い東京都でも、2017年に開催された全国高校野球選手権の東京大会で、東側で5チーム、西側で2チームが合同チームとして出場している。それどころか、合同での部活動は、多くの種目で全国的な広がりを見せているのだ。
・路線バスについては、2010年度から2015年度までに約7,509kmが完全廃止となった。鉄道についても2000年度以降、全国39路線、約771kmが廃止された。「2011年度国交省調査」によれば、公共交通空白地域(バズ500m圏外、鉄道1km圏外)は3万6,477㎢に及ぶ。これは可住地面積の約30%だ。空白地人口は735万1,000人で総人口の5.8%に相当する。
・内閣府がまとめた報告書「地域の経済2016」によれば、2040年時点での人口規模が2万人以下の地域ではペットショップや英会話教室が、1万人以下では救急病院や介護施設、税理士事務所などが、5,000人以下になると一般病院や銀行までもが、姿を消すという。
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少子高齢化が日本にとってピンチなのは間違い無いが、一方で「ピンチは、ビジネスチャンスを生み出して来た。」事も、歴史は証明している。悲観的なデータを真正面から受け止めつつ、「今出来る事として、何が在るのか?」を考え、前向きに生きる。そんな姿勢が必要だろう。
1910年(明治43年)の国勢調査では人口が5100万人。
それがピークの2010年では1億2800万人。
そして100年後に5000万人ほどの予測とは、見事な双曲線ですね。
江戸時代後期から明治3年ごろまでの人口は、概ね2500~3000万人で推移していたらしいので、明治政府による富国強兵・日本に於ける産業革命で、産めよ増やせよが始まったのなら、これからは全てにおいて、あくせく生きないスローライフが主流になる(ならざるを得ない)のでしょうね。
かつての交通標語「狭い日本 そんなに急いで どこに行く」が思い浮かびました(苦笑)。
一人っ子政策を断行した中国は、様々な混乱を生み出してしまった。「子供を儲けたい人は自分の意思で儲け、そうじゃ無い人は設けない。」という“自然な形”では無く、国家が強権的に介入すると、必ずや様々な混乱を生んでしまうという証左。
何処の国だったか忘れましたが、或る学者が面白い主張をしていました。ロボットの社会進出がどんどん進み、人が介在する仕事が減って行くとされ、どうしてもマイナスな方向へと考えが進み勝ちですが、其の学者曰く「ロボットに仕事をさせ、得た対価は国民に均等に分配する。労働時間が減った分、人間は仕事にあくせくしする事無く、趣味等に時間を費やせば良い。」といった趣旨だったと思いますが、実際にそういう事が可能かは疑問だけれど、此れもスロー・ライフの1つの形なのかも知れませんね。