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「矢っ張り世界一目指さないと・・・首相が『京』視察」(1月12日、読売新聞)
安倍首相は11日、神戸市の理化学研究所(野依良治理事長)を訪れ、様々な細胞に変化する能力を持つiPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究施設等を視察した。
首相は、野依理事長と、iPS細胞の生みの親としてノーベル賞を受賞した山中伸弥京大教授と懇談し、iPS細胞を利用した創薬や再生医療研究を加速する為、10年間で約1,100億円の研究支援を行う方針を伝えた。山中氏は「iPS細胞研究は、年間1,000万円程度の基礎研究から始まったが、成長した。首相から大きな支援を戴いたので、1円も無駄にせず、更に邁進したい。」と歓迎した。
首相は同研究所で、嘗て世界1位の処理能力となったスーパーコンピューター「京」も視察。記者団に「矢っ張り世界一を目指さなければ駄目だ。世界一を、そして、未知の分野に挑戦する精神が在って初めて、大きな成果が出る。国の支援が大切だ。」と述べた。
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短期間の間に中国や韓国が大きく発展した要因の1つに、「国益に適うと判断した事柄には、国家を挙げてバックアップする態勢が出来ている。」というのが在ると思う。
国情の違いは在る。中国みたいに“実質的な”一党独裁体制だからこそ、国民の意思を無視し、思い切った事が出来るというのは在るだろう。でも、「そういう形が果たして、国民にとって幸せか?」となると、必ずしも幸せとは思えない。
日本も、「国家を挙げてバックアップする態勢を作る。」というのは重要だろう。唯、「世界一」という言葉に踊らされて、闇雲に国費を投入するのは駄目。3年前の記事「敢えて異論を Part2」でも記したけれど、国民が汗水垂らして納めた血税なのだから、そして其の血税は湯水の如く湧いて出て来る物では無いのだから(限定されているのだから)、投入する以上はコスト・パフォーマンスを確り見極めた上でなければいけない。
勿論、「今は大きなメリットを見出だせないが、将来的には大きなメリットを生み出すかもしれない。」という事柄に対し、“夢への投資”をする事も、国家としては大事。だから「全てを、コスト・パフォーマンスだけで判断しろ。」とは言わないが、「箱物行政」に代表される「散蒔き財政」を延々と続けて来た自民党政権下では、「国家や国民の為では無く、政治家や官僚の利権獲得を最優先して来たという過去。」が在るのだから、「世界一」を錦の御旗にして同じ事を繰り返す懸念が、どうしても拭えない。
其の事柄に詳しく、且つ極力利害が絡まない人間を中心に能く能く検討した上で、多額の国費を投入するかどうかを決める。投入された国費は“本来使われるべき物”に対してのみ使い、「訳の判らない箱物や、天下りの人間を受け入れる組織を作り、莫大な金銭を垂れ流す。」という“従来の愚行”を繰り返させてはならない。
此の国にはもう、そんな余裕は無い筈。孫子の代に、更なる“無駄な借金”を積み増しては駄目。「世界一」という耳触りの良い言葉に踊らされ、「何でも彼んでも国費投入OK。」というのは、正しい国(美しい国?)の在り方では無いだろう。