一定年齢以上の方ならば、タレントの松島トモ子さんの名前から、思い出す逸話が在る事だろう。「1986年、TV番組の撮影で訪れたケニアで、10日間の間にライオンと豹に各々1度ずつ襲われた事故。」の事だ。そんな彼女が8月から、自身のブログを開設。其のタイトルは「ライオンの餌」という、実に強烈な物。一度目にしたら、忘れる事は無いだろう。
閑話休題。
河野太郎行政改革担当大臣が、「行政手続きの効率化を図るべく、押印を必要とする書類を出来るだけ減らす。」事を打ち出した。「無駄な押印が多い。」と思っているので、彼の考えには基本的に賛成だけれど、気になるのは「“判子”自体が悪で在り、判子を無くせ!」みたいな主張が在る事。無駄な押印は出来る限り無くすべきだが、だからと言って判子や押印自体が悪い訳では無い。そういった事を混同してしまうのは、個人的にどうかと思っている。
10月15日、移動時の車中でTBSラジオの番組「たまむすび」を聞いていたら、判子に付いて特集していた。知らなかった事も在り、面白い内容だったので、今回取り上げる事にした。“判子”と言われて、我々が一般的に思い浮かべる物は何だろう?恐らくは「木、竹、石、角、象牙、金属、合成樹脂等を素材として、其の一面に文字やシンボルを彫刻した物で、個人・官職・団体の印として公私の文書(公文書や私信等)に押して、特有の痕跡を残す事により、其の責任や権威を証明する事に用いる物。」を思い浮かべる人が大いに違い無い。でも、実は我々が判子と呼んでいる物の正式名称は「印章」なのだ。(因みに、判子というのは当て字。)
そして、「印章で、紙等に押した朱肉の跡。」を「印影」、「役所や銀行等に登録してある印影。」を「印鑑」と呼ぶのだから、実にややこしい。
「判子」の語源に付いては諸説在るそうだが、「江戸時代に良く作られた版画に使う板の事を『版行(はんこう)』と呼び、其れが変化して『判子』となった。」というのと、「版行を使って本を印刷する事と、印章で捺印する事が混同されて、印章の事も版行と呼ばれる様になり、其れが変化して『判子』となった。」という説が有力の様だ。
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「印章の種類」
・実印:市区町村の役所に登録した、公的に認められた印章。
・印鑑登録:役所に印章登録する事。
・銀行印:銀行や信用金庫、信用組合等の金融機関に印影の届け出をしている印章の事。
・認印:届け出をしていない個人の印章。
・三文判:安い認印の事。
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次に「印章の押し方」に付いて。
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「印章の押し方」
・消印:文書に収入印紙や収入証紙等を貼った際、其れ等としたの文書に跨がって押す印影の事。
・契印:2枚以上の契約書が1つの連続した文書で在る事を証明する為に、両頁に跨がって押す印影の事。
・割り印:2つ以上の文書に印章を跨がる様に押す事により、文書の関連性を示す印影の事。
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「上司に出す印鑑は、『左に傾ける。』のがマナー。」という“御辞儀判子”なんていうのは、個人的に馬鹿馬鹿しい事だと思うのだけれど・・・。
ただ、いろんな素材のハンコの中で、象牙のハンコは禁止してもらいたいです。
「牙 アフリカ象の密漁組織を追って」
https://blog.goo.ne.jp/ebisu0014/s/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E8%B1%A1
を読むと判るのですが、世界最大の象牙消費国は日本です。中国は国内での象牙の流通を禁止してます。
日本は禁止してません。
日本人の「幸運を呼ぶ象牙のハンコ」のため、アフリカ象は絶滅においやられているのですね。
「日本学術会議の問題」もそうですが、世の中には「分けて考えなければいけない事。」が結構在りますよね。
「無駄な押印を無くす。」のは賛成だけれど、其の事と「印章を無くす。」というのは別の問題。「時代の変化によって淘汰される物が出て来る。」のは仕方無い事ですが、「メソポタミア文明の頃に起源を有するとされる印章。」を無くすというのは、余りに乱暴な話。
象牙の印章に付いても、全く同じ考えです。人間の身勝手な欲望により、絶滅させられた生物が如何に多い事か。