「新年を迎えたのは、つい最近の事。」という感じが在るのだけれど、気付いてみれば1月も残り1週間を切っている。「時間の過ぎ去るスピードが、年々速くなっている様に感じる。」と口にする人が自分の周りには結構居るが、「加齢と共に、時間の経つスピードが加速化していると感じている人。」は、自分以外にも多い事だろう。
脚本家の内館牧子さんが週刊朝日に「暖簾にひじ鉄」というコラムを連載されており、1月18日号は「あすも楽しい日」というタイトルだった。其の中で彼女が面白い事を書いておられたので、抜粋してみる。
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年齢とともに毎日が楽しくなくなるという話を、よく耳にする。むろん、そうでない人もたくさんいるにせよ、傾向としては、加齢とともに「明日が来るのが楽しみ!」という感情は薄れるように思う。
年を取るほど、1年がたつのを早く感じるのには理由があるそうだ。「1年は、その人の年齢の時速で過ぎるからだ。」と言う。
たとえば、18歳なら時速18キロで1年が過ぎる。53歳なら時速53キロで、75歳なら時速75キロ。2歳の子供は時速2キロということになる。同じ1年なのにだ。これを誰に聞いたのか思い出せないのだが、妙に納得したものである。
「この頃、1年があっという間に過ぎるのよ。月曜日が来たと思ったら、もう金曜日。」などと思うのは、加齢と共に時速がアップしているからに違いない。
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「加齢時速」なる用語が在るらしい。「1年は、其の人の年齢の時速で過ぎる。」という概念は面白いし、“感覚的に”納得出来てしまう。
「あすも楽しい日」の中で内館さんは、上の文章に続けて、次の文章を記しておられる。
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かつて、ある成功者と話した時のことだ。彼は20代で大成功をおさめたのだが、私と会ったのは30代半ばだった。彼は、「あの頃、生活が一変して、次から次へと面白いことや、すごいことが起こるんです。ありえない席に呼ばれたり、ありえない人たちと知り合ったり。成功するってこんなにいいものかと思った。」と言った後で、「もう明日が楽しみで楽しみで、たまらなかった。明日はどんなことがあるんだろうと思い、また信じられない話が舞い込むかもしれないと期待して、もう明日が待ち遠しくてたまらなかった。だけど、一日が長くてね。楽しい一日ってアッという間に終わるんじゃなくて、長いんですよ。明日がなかなか来なくて、じれったかった。」と笑った。
私と会った頃には、生活も仕事もすでに落ちついていたが、こんなにも屈託なく、ストレートに「成功っていいものだ。」、「明日が楽しみ。」と口にした人を知らなかったので、好感を持ち、今もよく覚えている。
考えてみると、人は加齢と共に、何かを楽しみに待っていたり、ドキドキしながら備えている自分を、周囲に悟られたくない気持ちが生まれる。
その理由のひとつとして、加齢と共に、小さなささやかな楽しみしかなくなるからではないか。若い現役時代とは違い、そうなるのは致し方ないのだが、そんなことを楽しみにしているのかと思われたくない。「あんなにバリバリやってた人が、何か哀れ。」と思われたくない。プライドが許さない。恥ずかしい。
だが、そんなことをすごく楽しみにしているのだと素直に出した方が、生きやすいように思う。
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「楽しい一日ってアッという間に終わるんじゃなくて、長いんですよ。」というのは、「へーっ。」と意外だった。自身の半生を振り返ると、「辛い一日は非常に長く、逆に楽しい一日はアッと言う間に終わってしまう。」という感覚しか無かったので。楽しさの度合いが尋常では無いと、「翌日には、更なる楽しみが待っているに違いない。」と確信出来、其れが故に「早く明日が来ないかなあ。」と、其の日が終わるのが長く感じてしまう訳か。
「そんなことをすごく楽しみにしているのだと素直に出した方が、生きやすいように思う。」というのは、良く判る。周りの目を意識しすぎる事で、人は自縄自縛状態に陥ってしまう物だから。他者に迷惑を掛けてはいけないが、そうで無ければ、自分が思うが儘に生きた方が幸せだと思う。
自分の年齢に当てはめて検索してみました。
「時速45キロ」に匹敵するもの
・速すぎる電動自転車「turbo」。
・横浜ランドマークタワーのエレベーター、分速750m、
三菱製。
・スケボーの最高時速28マイル。
・・・勉強になりました(^^ゞ
確かに日々そんな気がします。
自身の年齢時速を、具体的な時速例と比べてみる・・・此れは面白いですね。自分の場合で言えば、具体的な時速例を挙げてみると、「時間の過ぎ行くスピード」は「そんな感じかなあ。」と思うものの、「目的地(=目標)へ、其のスピードで到着する。」という観点から考えると、「其処迄のスピードで目標に向えているかと問われれば、全然だなあ。」という感じも在ります。
こんなブログでも楽しみにしてくれている方が居られるというのは、素直に嬉しいです。
物質的な面から言えば、我々日本人よりも遥かに恵まれていない筈なのに、底抜けの笑顔を見せている人達が海外には居ますよね。「今の生活」が「普通」と思っているからこそ、「不幸せ」とは感じ得ないというのも在るのでしょうが、果たして其れだけなのだろうか?精神的な充足感という点では、我々よりも遥かに豊かなのかもしれない。
何を以て「幸せ」と感じるかは、心の持ち様次第とも言えるし、又、「楽しさ」というのも同様なんでしょうね。