現在放送中の大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」(動画)の評判が芳しくない。放送開始直後から自分の周りでは「面白くない。」と言う人が多かったのだが、一般的にも同様の思いを持っている人が少なく無い様だ。昨年の「龍馬伝」(動画)が様々な面に於て出来が良い作品だったので、どうしても其れと比較されてしまう気の毒さは在るのだが、個人的に言っても「江~姫たちの戦国~」には不満点が多い。
偏見というのでは無く、飽く迄も「個人的な趣味」と捉えて戴きたいのだが、抑「女性が主人公の時代劇は、余り面白さを感じ得ない。」というのが自分の考え。大人気を博した「篤姫」(動画)も1年を通して見続けはしたが、嵌まる事はなかったし。まあ此れは個人的な趣味による所だから如何ともし難いのだけれど、「江~姫たちの戦国~」でどうしても受け容れ難いのは其の「学芸会的乗り」に在る。主役の女優に代表される「現代劇風で一本調子な演技」に加え、余りにもコメディー調に走った演出が、見ていて白けてしまうのだ。
配役にも疑問を感じる点が少なからず在り、其の代表格は茶々(後の「淀君」)を演じている宮沢りえさん。嫌いな女優では無いし、演技も下手とは思わないのだが、茶々役・・・と言うよりも後に淀君となる人物を演じる女優としては「一寸タイプが違う。」と思ってしまう。自分の中で「一番淀君役が嵌まっていたのは此の人!」という人物が居り、其の人と比べてしまうとどうしても違和感を覚えてしまうのだ。
其処で今回は、「歴史上の人物-一番嵌まっていたのは此の人!」というテーマで書いてみたいと思う。歴史上の人物を何人か取り上げ、其の人物を演じた数多くの役者の中から、「“個人的には”、此の人が一番嵌まっていたと思う。」という人を1人ずつ選ぶという趣向。自分自身がリアル・タイムで見て来たドラマの中から、其れも「個人的な趣味」で選んでいる事なので、異論&反論が在るのは重々承知。飽く迄も「座興」として捉えて戴けたらと思う。
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① 茶々(淀君)役
「実父・浅井長政を伯父・織田信長に殺され、2番目の父・柴田勝家と実母・お市の方を豊臣秀吉によって殺される。後に憎き仇・秀吉の側室となり嫡男・秀頼を産むも、秀吉亡き後に“家臣”の徳川家康によって秀頼と共に自害に追い込まれる。」という茶々の人生は、正に波瀾万丈。「複数人の人生を、50年に満たない一生の中で経験した。」と言っても良い程だ。此れだけ苛烈な日々を過ごして来たのだから、茶々に「穏やかな人柄」というのがどうにも似つかわしく感じない。「男勝りで、エキセントリックさをも感じさせる言動の人。」というイメージが強く、自分には「葵 徳川三代」(動画)で淀君役を演じた小川眞由美さん以外考えられない。
【小川眞由美さん】
② 織田信長役
一定年齢以上だと、高橋幸治氏の名前を挙げられる方が多い事だろう。「怜悧さ」、「冷酷非情さ」、「寡黙さ」、「苛烈さ」等々、一般的な信長のイメージを彼は上手く体現していると自分も思う。
【高橋幸治】
しかし「予想外に嵌まり役だった。」という意外さを考慮して、「江~姫たちの戦国~」での豊川悦司氏を自分は推したい。
【豊川悦司氏】
③ 豊臣秀吉役
豊臣秀吉と言えば、人生の前半と後半とで此れ程にイメージが異なる人物も珍しいだろう。前半は「『人誑し』とも称された人心掌握術の巧みさと持ち前の明るさ」を十二分に発揮していた彼も、後半は「疑心暗鬼となって他者を殺害する等の暗さ」が前面に出てしまったイメージ。此の辺の減り張りを絶妙に演じ分けていたのが、「黄金の日日」(動画)での緒形拳氏。
【緒形拳氏】
④ 徳川家康役
「権謀術数に長けた狸爺」というイメージが一番ピタリと来るのは、「関ヶ原」(動画)で家康役を演じた森繁久彌氏。自分の中では「茶々(淀君)=小川眞由美さん」と並んで、「徳川家康=森繁久彌氏」という配役は譲れない。
【森繁久彌氏】
⑤ 石田三成役
「杓子定規で不器用な生き方が、多くの敵を生み出してしまう。」、「一徹な忠臣」といったイメージが三成には在るのだが、「関ヶ原」での加藤剛氏は其れを上手く演じていたと思う。
【加藤剛氏】
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室町幕府最後の将軍であり、信長が利用したようにみえますが、ある意味、義昭の方が信長を利用して、幕府の延命を図ったといえるかもしれません。武力を持たず、消滅しつつある室町幕府の残り火と、己の才覚、口先で戦国を生き抜いた、実に興味深い人物です。
それはそうとして、阪神も点取れませんが、巨人も点取れませんね。巨人さんは別に阪神につきあわなくてもいいんですよ。
まあなんちゅうか・・・良くも悪くも現代的です。龍馬伝の雰囲気が嫌いだった人には好評みたいです。趣味が全く合わない知人の例です。
淀殿の人物像はこのドラマの考証に関わってる静大の小和田先生の助言を取り入れたのかも。
かつてのイメージは小川真由美さんや同じ脚本家の「独眼竜」の淀のようなのがシックリいくわけですが、最近の研究ではどうやらこのドラマの人間像のほうが実際の淀殿に近いのでは、という感じなのだそうです。
宮沢りえさんはお市の肖像画にちょっと似てる。
黄金の日々は再放送で見てました。このドラマの三成(近藤正臣)は好きでした。
先達ての放送で「秀吉が茶々に、公家の名家『万里小路家』との縁組を持ち掛けた。」という件が在りました。「えっ?そんな話聞いた事無いけど・・・。」と思って調べた所、どうやらフィクションの様です。以前にも書いたけれど、「歴史ドラマが100%史実に基づいていなければいけない!」とは全く思わないし、「ドラマで在る以上は、“或る程度”の脚色が在って良い。」というスタンスの自分ですが、流石に今回の脚色は「如何なものか?」と感じました。
で、「茶々(淀君)の実像は、宮沢りえさんが演じている雰囲気に近い。」という説が在るのですね。其れならば、此の説を取り入れているという可能性は在りそう。唯、個人的なイメージからすると、小川眞由美さんの「狂気じみた雰囲気」が好きだったりするんですよね。「八つ墓村」とか、本当に怖かったし。
「『龍馬伝』が苦手だった人には、『江~姫たちの戦国~』が好評みたい。」というのは、何となく判ります。「龍馬伝」の切り合いのシーンでは、所謂「従来の時代劇に在り勝ちな、綺麗な殺陣。」というのでは無く、「実際にはこんな感じで、乱雑な感じだったのだろうなあ。」と思わせるリアルさが在った様に思います。其れに対して「江~姫たちの戦国~」の場合は、良くも悪くも「現代風」。或る著名人が「『のだめカンタービレ』の時代劇バージョンン」と称していましたが、ドラマ「のだめカンタービレ」を見ていなかった自分でも、「成る程なあ。」と思わせる感じが。
「黄金の日日」での石田三成も、一歩引いた感じが良かったですね。近藤正臣氏と言えば、「龍馬伝」での山内容堂役も良かった。正に「怪演」といった感じで。