ずっと「常識」と思い続けて来た事が、或る日「既に常識では無い。」という事実に気付かされる・・・そういう経験は少なからずの人がされていると思う。3月4日付けの東京新聞(朝刊)に載っていた記事「合格掲示板 今は昔」を目にして、最近は「合格掲示板での合格発表を行っていない大学が増えている。」という事実を知り、「合否確認=合格掲示板で行うもの。」という自分の中での「常識」が、「既に常識では無い。」事を知った。近年大学受験をされた方や其の親御さん等で在れば「そんな事知らなかったの!?」と思われるだろうが、自分にとっては意外な事実。世情は千変万化しているのだ。
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=首都圏の主な大学の合格発表方式=
早稲田:掲示板X、ネット○、電話応答○
慶應:掲示板X、ネット○、電話応答○
法政:掲示板X、ネット○、電話応答○
立教:掲示板○、ネット○、電話応答○
東京:掲示板○、ネットX、電話応答X
一橋:掲示板○、ネット○、電話応答X
津田塾:掲示板○、ネット○、電話応答X
東京工業:掲示板○、ネット○、電話応答X
横浜国立:掲示板X、ネット○、電話応答X
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「掲示板」は「合格掲示板での発表」、「ネット」は「大学のホームページでの発表」、そして「電話応答」は「電話の自動応答サービスでの発表」を意味している。此れを見て判るのは「東京六大学で合格掲示板にて合否発表をしているのは、立教と東大だけ。」という事と、「概して私立大学の合否発表は“新スタイル”に完全移行しているのに対して、都心の国立大学(地方の国公立大学では、“掲示板廃止派”が主流になりつつ在るとか。)は“古いスタイル”に固執している。」という事。
2002年から掲示板での合格発表を取り止めたという早稲田は、其の理由を「遠方からの受験生の利便性を考えて。」としている。「『掲示板を復活して欲しい。』という声は寄せられていない。」とも。早稲田と言えば「合格者を前に御祝いの万歳をしていた公認サークルの『バンザイ同盟』」が有名だけれど、掲示板での合格発表が無くなって以降は、入学式等の時に万歳をするのが主になったとか。
昨年、志願者数で早稲田を抜いて全国一になった明治は、掲示板での発表はしていないものの、キャンパスの守衛室で合格者の番号を閲覧出来る様にしている。「キャンパス迄来て、目で確かめたいという受験生や保護者の方も居る。折角来て戴いた方に便宜を図る為との事。
昨年から掲示板での合格発表を取り止めた慶應は、其の理由を幾つか挙げている。「其れ以前から電話の自動応答で確認する人が増え、掲示板で確認する人は目に見えて減っていた。」や「学部の発表日毎に掲示を張り替える手間が煩雑。」、「掲示発表を止めた大学が増えている事。」というのは頷けるのだが、「個人情報保護の観点からも、合否が周囲にあからさまになってしまうのはどうかという意見が出て来た。」というのには「何でもかんでも『個人情報保護』を錦の御旗に掲げるのはなあ・・・。」という思いが在る。「周りは合格して大喜びしている中、不合格となった子が可哀想。」といった理由も在るのかもしれないけれど、合格よりも不合格の経験が多い自分からすれば、「社会人になったら幾らでも辛い事が待ち受けているというのに、そんなに過保護にしてしまって大丈夫なのだろうか?」という余計な心配をしてしまうのだが。
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「合格者発表は学校行事の一つの様にも捉えている。」(一橋)
「問題は起きていないので続けている。」(立教)
「昔乍らの伝統的な合格発表を大事にしたいと考えている。ネットでの発表は外部による改竄の可能性が全く無いとは言い切れないので採用していない。」(東大)*1
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掲示板での合格発表を続けている大学の言い分だ。東大の「ネットでの発表は外部による改竄の可能性が全く無いとは言い切れないので採用していない。」という理由は正当性が無くは無いのだけれど、ネットが此れだけ普及した現代では、利便性等を考えると苦しい言い訳に感じられなくも無い。「昔乍らの伝統的な合格発表を大事にしたいと考えている。」という点に関しては、共感を覚えるけれど。
高校の合格発表は(在学していたで中学で当該高校を受験した連中と)集団で確認させられた。大学の時には1人で見に行った。大喜びをする者が居る一方で、肩を落としている者も居たりと、「社会の縮図」を感じさせる場に感じられた合格掲示板前。不合格を確認して落胆し、合格を確認して歓喜したけれど、今となってみれば彼の光景が懐かしい。
娘が受験生という50代の会社員の嘆きの言葉で元記事では締められているが、彼の気持ちが自分は良く理解出来る。
「発表は職場のパソコンで見る。妻や娘とは『時間を決めてイッセーノセッで見よう。』と話しているが面白味が無い。人生の楽しみを態々捨てているみたいだね。」
*1 「東大偽胴上げ事件」なんていうのも在ったっけ。