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北緯39度。会社の出向で移り住んだ岩手の地で、唯1人心を許したのが、同僚の日浅だった。共に釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。何時しか疎遠になった男のもう1つの顔に、「彼の日」以後、触れる事になるのだが・・・。
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第157回(2017年上半期)芥川賞を受賞した小説「影裏」(著者:沼田真佑氏)。過去5回を振り返ると「九年前の祈り」(著者:小野正嗣氏)は総合評価「星1.5個」、「スクラップ・アンド・ビルド」(著者:羽田圭介氏)は「星2.5個」、「火花」(著者:又吉直樹氏)は「星4つ」、「死んでいない者」(著者:滝口悠生氏)は「星2つ」、「異類婚姻譚」(著者:本谷有希子さん)は「星1.5個」、「コンビニ人間」(著者:村田沙耶香さん)は「星4.5個」、「しんせかい」(著者:山下澄人氏)は「星1.5個」と、芥川賞授賞作品に対する自分の評価は「良いor悪い」がハッキリ分かれる。
今回読了した「影裏」は、全部で百頁にも満たない短編小説。だから、一気に読み終えてしまった。
一気に読み終えてしまったのだけれど、だからと言って面白い内容という訳では無い。情景描写には上手さを感じるけれど、「人」の描き方は上手く無い。又、読了して感じたのは、「結局、何を書きたかったのだろう?」という事。「LGBT」や「東日本大震災」を題材にしているのだが、深掘りされていないからだ。特にLGBTの人物を登場させた意味合いが、自分には全く理解出来なかった。
読み終えて、心に残った物は皆無。総合評価は、星1.5個とする。