ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「水を抱く」

2013年11月19日 | 書籍関連

ブログで過去に何度か書いた事だが、小説にて人間を描く上で、『セックス』という行為は重要なキーに成り得るとは思っているけれど、『セックス描写ふんだんに盛り込みさえすれば、人間が上手く描けているとでも思い違えている様な近年風潮。』には、辟易とさせられている。というのが在る。エロい事柄は嫌いじゃ無く、寧ろ好きな人間だが、其れでもセックス描写が執拗な小説には、心地良さでは無く、ウンザリ感を覚えてしまうのだ。 

 

其の瑞々しい描写力も在り、石田衣良氏は好きな作家の1人。、近年は「セックス描写をふんだんに盛り込みさえすれば、人間が上手く描けているとでも思い違えている様な作品。」が多く、読んでいて不快さを覚える事が少なく無い。「『池袋ウエストゲートパーク・シリーズ』は凄く良かったのに、作風が変な方向に走っちゃってるなあ。」という思いがずっと在り、“石田作品からの卒業”も考えていた。

 

*********************************

溺れて生きるしかない女と、共に溺れる覚悟を決めた男。白昼の路上、夜の渋谷新宿クラブバーのテーブルの下で。剥き出し欲望振り翳し、凶暴な快楽貪る年上の女・ナギ。彼女に触れて、29歳の伊藤俊也(いとう としや)は全てを変えられた。

 

其の女を縛る過去が何で在れ、構わない。真っ暗な性の闇に堕ちても、ナギと繋がりたい。

*********************************

 

今回読了した石田作品「水を抱く」は、「2年近く付き合って、そろそろ結婚を考えていたガールフレンド・宮崎梨香(みやざき りか)から『貴方詰まらない。』と一方的に別れを切り出され、其の失意癒すに人生相談サイト縋った29歳のサラリーマン・俊也。」と、「其の人生相談サイトで何度か相談に乗ってくれた、5歳程年上らしいナギ。」が渋谷で出会う所から始まる。

 

露出度の高い服を着込み、初対面で行き成り、其れも普通のカフェ内で“性的な行為”に及んで来るナギ。頭の中は常にセックスの事しか考えていない様な、「性依存症」とも思えるキャラクターで、真面目な俊也は当惑させられてしまう。しかし、彼女と会って行く中で、“倒錯した世界”に次々と触れ、其の快楽に溺れて行く俊也。

 

野外での露出プレイオーラル・セックス女装プレイ、SMプレイ、グループ・セックス等々、倒錯した世界が“生々しく”描かれている。そういう世界が苦手な人は、此の小説を読まない方が良いだろう。エロい事柄が好きな自分ですら、「うわっ・・・。」とドン引きしてしまったし。「又、こんな感じかよ・・・。」とウンザリさせられたのだが、謎多き女性・ナギの正体が知りたくて、ついつい捲ってしまった。

 

「2人の男性を“殺した”。」というナギ。其の意味合いが明らかとなった時、「其処と結び付けたか。成る程。」という感嘆の気持ちが在った。でも、其の感嘆の思いも、エンディングに向かって行くに連れて、失望へと転じてしまった。無理矢理に話を終わらせた。」という感じに溢れ、何の余韻も残らなかったので

 

「『池袋ウエストゲートパーク・シリーズ』や『4TEEN』の様な作品を書いて欲しい。セックス描写許りの小説は、もう結構!」と石田氏には言いたい。総合評価は、星2つ


コメント    この記事についてブログを書く
« 知らない用語許り | トップ | てのひらこんぴゅうたぁ »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。