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「週刊朝日、5月休刊へ」(1月19日、時事通信)
「朝日新聞出版が発行する週刊誌『週刊朝日』が、5月で休刊する。」事が18日、判った。
「近年の週刊誌市場の縮小により、継続が難しくなった為。」だと言う。
同誌は1922年の創刊で、昨年2月に100周年を迎えた。1週間のニュース解説を中心とした大衆総合誌で、司馬遼太郎さんの「街道をゆく」や山藤章二さんの「ブラック・アングル」、「似顔絵塾」等、多くの人気連載企画も生んだ。1950年代には、100万部以上の発行部数を記録。2008年、朝日新聞社から朝日新聞出版に発行元が移った。
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個人的には、非常に衝撃的なニュースだ。当ブログでは過去に何度も同誌の記事を取り上げて来た程、「週刊朝日」は馴染み深い存在だったから。
初めて同誌に触れたのは、小学校高学年の頃だったと記憶している。書店に置かれていたのを手に取り、パラパラと頁を捲っていたら、巻末に載っていた山藤章二氏の「ブラック・アングル」に目を吸い寄せられてしまった。「“今話題になっている著名人”を取り上げ、“毒”の利いたイラスト&文章で斬る。」という作風が素晴らしく、以降、「書店に立ち寄っては、『週刊朝日』の巻末を見る。」というのが習慣に。(「週刊朝日は、巻末から読む。」と言われる様になった程、「ブラック・アングル」は人気の連載だった。)そして、高校生になってからは他の記事も読む様になり、今に到っている。
1922年に創刊された同誌は、“日本最古の総合週刊誌”と言われている。時事通信の記事では「1950年代には、100万部以上の発行部数を記録。」と記されていたけれど、正確に言えば「1950年代には、1号当たり150万部以上を発行されていた。」のだとか。其れが、「昨年12月の平均発行部数は、凡そ7万4千部に落ち込んだ。」というのだから、ピーク時の約4.9%迄激減した事になる。
子供の頃より大の読書好きの自分にとっては、近年、信じられない様な事実に触れる機会が多い。「自宅で新聞を取っておらず、新聞を読む習慣すら無いという若者が増えている。」、「読書習慣に関するアンケート結果を見ると、『1年間に、1冊も本を読まなかった。』と回答した割合がトップだった。」、「大幅に売り上げが落ちた事から、次々と有名な雑誌が休刊&廃刊に追い込まれている。」等々。
「2015年に5,960億円を誇った『雑誌(紙)』の販売額は、毎年500億円程度の売上減で、最新データの2020年では3,582億円になった。」と言う。僅か5年間で約6割に迄落ち込んだ訳で、此の儘毎年500億円ずつ減少して行けば、計算上では「2027年には、雑誌(紙)の売り上げは零。」というのだから、定期的に週刊誌を読む習慣の在る自分からすれば、ぞっとしてしまう話。
「今後、デジタル化が一層進んで行き、紙媒体は廃れて行く。」と随分前から言われているが、「必ずしも思った程に、デジタル化は進んでいない。」という話も在る。“(紙の)週刊誌が消えてしまった世界”なんて、個人的には凄く嫌だ。
同じ朝日系の週刊誌「AERA」ですが、発行部数自体は「週刊朝日」と大差無いものの、何とか遣って行けているのは、(週刊朝日とは異なり)カラー頁主体だからだそうです。どういう事かと言えば、「カラー頁主体という事で、広告が入り易いから。」との事。そういう事情も在るんですね。
今になって思えば、「ブラック・アングル」の連載終了は、「週刊朝日」休刊の前触れだった様に思いますね。記事でも書きましたが、「週刊朝日は、巻末から読む。」と迄言わせた名物でしたから。似顔絵塾も良かったですね。
室井佑月さんや田原総一朗氏に加えて、内館牧子さんのコラムも、毎号楽しみにしています。又、何気に連載小説にも読ませる物が多く、休刊は残念でなりません。
「サンデー毎日」も苦戦しているんですね。思えば「週刊文春」に代表される“煽情的な内容を主とした週刊誌”は比較的健闘している一方で、そうでは無い、深堀するタイプの週刊誌が消えて行っている事に不安を感じます。
定期購読はしていませんが、図書館でいつも借りて読んでいましたから。好きな雑誌の一つです。
やはり面白かったのは、giants-55さんも書かれてる、山藤章二さんの「ブラック・アングル」ですね。そのページの手前に連載されていた「似顔絵塾」も毎回楽しみにしていました。その他の連載では室井佑月さんの「しがみつく女」、田原総一朗さんの「そこが聞きたい!ギロン堂」も読むのが楽しみでした。
wikipediaによると、いつの時点かは不明ですが、“発行部数 16万5,958部、業界第8位”とあり、昨年12月の 74,000部という数字はそれから比べても半分以下に落ち込んでいる事になります。
ちなみに“社団法人 日本雑誌協会”のサイトに期間ごとの雑誌発行部数が掲載されているのですが、それによると、2018年10月〜2018年12月の平均で115,808部ですので、じわじわと落ち込んでいる様子が分かります(wikipediaの数字は推測するに、2010年代前期辺りじゃないかと思います)。それと、上記サイトの2020年10月〜2020年12月の発行部数は107,250部と、2018年と比較するにコロナ禍でもあまり部数は減っていませんね。とすると、そこからの急減はやはり2021年11月で「ブラックアングル」の連載が終了した事が大きいのではないでしょうか。あれが無くなって週刊朝日を後ろから読む楽しみがなくなりましたからね。休刊もやむを得ないでしょう。
それよりもっと心配なのは、週刊朝日と並ぶ新聞社系週刊誌の老舗、「サンデー毎日」の今後です。こちらも創刊は週刊朝日と同じ1922年。そして前掲の日本雑誌協会のデータによると、2018年10月〜2018年12月の平均が66,823部、これが最新の2022年9月には37,520部とこちらも激減。なんと週刊朝日の最新の発行部数の半分です。
こんな状態では、サンデー毎日も朝日との連鎖反応で遠からず休刊になる可能性は十分考えられますね。週刊読売(後に読売ウイークリー)も2008年に休刊してますし、新聞社系週刊誌は絶滅の危機に瀕してると言えるでしょう。サンデー毎日さんには、なんとか頑張って欲しいと切に願いたいです
ね。応援しましょう。