アメリカのメディア「ジョムボーイ・メディア」がツイッターに投稿した「MLB傘下の3Aの試合動画」が、物議を醸しているそうだ【動画】。「投手が投げた球は、外側に構える捕手とは正反対の左打者の内側へ行き、捕手は手を伸ばして何とか捕球。打者は、腰を引いて避けたのだが、“審判”の判定は『ストライク』で、打者は三振、3アウトとなった。」事に対して。審判は審判でも、“ロボット審判”による判定だ。
4月20日付け東京新聞(朝刊)に載っていた「米球界 3Aで導入 『ロボ審判』判定に物議」によると、「メジャー・リーグ傘下の3Aでは、今季から“ロボット審判”が、ストライクorボールの判定を務めている。」と言う。
ロボット審判と言っても人間型ロボットでは無く、其の“目”は本塁後方に設置された弾道測定器。軍事技術を応用した物で、事前に各打者の身長等を入力し、ストライクかどうかを判定するシステム。無線イヤホンで其の結果を聞いた球審がコールする。アメリカでは、既に独立リーグ等で施行されているとか。
アメリカの野球事情に詳しくない方の為に簡単に説明すると、正確に言えば異なるけれど、“イメージ的に言えば”、3Aは2軍的な存在。1軍的な存在のMLBでは導入されていないが、2軍的な存在の3Aでは今季から、ロボット審判が導入されたと言うのだ。
嘗てのMLBは審判員を神聖化し、ヴィデオ判定の導入を拒み続けて来た。だが、必要性の『声が高まり、2008年にはホームランの判定に限って導入された。以降、適用範囲は拡大され、遂にストライクorボールの判定に迄広がって来たという形に。
既に導入済みの独立リーグでは「ロボット審判の判定精度は悪い。」という評判が在るものの、3Aでの土入自体に関しては「賛否は余り無く、粛々と導入が進められた。」という感じだとか。唯、ジョムボーイ・メディアが投稿した動画により、「捕手もキャッチング技術が向上しない。野球が、益々詰まらなくなる。」、「ストライク・ゾーンに入っているなら、ストライクでOKでしょ。」等、賛否両論が起きている。
アメリカでは「数年後に、MLBでもロボット審判が導入されるだろう。」という認識が一般的とか。「ロボット審判が導入されると、野球の醍醐味が無くなってしまう。」と反対する声が在る一方で、「誤審の無い判定を望むファンも少なく無い。」という現実も在る。
テニスやサッカー等、他のスポーツの世界でも、形式や程度の差こそ在れ、機械による判定は進んでいる。日本球界でも「リプレー映像による判定の検証を求めるリクエスト制度。」が、2018年から導入されている。だが、ストライクorボールの判定に関しては、リクエスト制度は適用外。
3Aでの導入が種火となって、ロボット審判は「MLBでも導入→NPBも導入」という流れになって行くのだろうか?リクエスト制度によりリプレー検証により、我々は「(人間の)審判による誤審が、結構在る(在った)。」事を改めて思い知らされた。ストライクorボールの判定に関しては、「おかしいだろ!」と思う事は少なく無いし、実際にリプレー映像を見ると、明らかに誤審と判る場合も在る。
だが然し、「ストライクorボールの判定に、ロボット審判を導入する。」というのは反対だ。今回の動画でも判った様に、「機械を導入した所で、誤審が完全に無くなる訳では無い。」し、何よりも「『何でも彼んでも、完璧を期する。』事が、本当に良いのか?」という疑問が在るので。
「何でも彼んでも、完璧を期する。」ので在れば、「ロボットの選手とロボットの選手との戦いを、ロボット審判が裁く。」という形に行き着くだろう。そんな、無味乾燥な試合を、野球ファンは楽しめるだろうか?「(人間の)審判は、可能な限り正確な判定に取り組む。」のは当然だが、元記事に記されていた様に、「誤審も判定の内。」という“ファジーな豊かさ”がスポーツ界に在っても良いと思うのだが・・・。