先日放送された「NHK海外ネットワーク」で、「肥満対策への関心高まるインド」というのが取り上げられていた。
急速な経済成長を遂げたインドでは、食生活が豊かになり、ライフ・スタイルも大きく変わった事から、生活習慣病、特に糖尿病の患者が激増し、其の数は6,500万人にも上るのだとか。
「働き盛りの世代が健康を損なえば、経済に多大な悪影響が出兼ねない。」と、インド政府も本格的な対策に着手し、「30歳以上の大人は、生活習慣病の検診を受けられる様にした。」そうだ。
健康ビジネスが盛んになっているインドに向け、様々な売り込みを図っている日本企業を紹介していたのだが、「飽食による肥満で悩む人が急増している一方、飢えに苦しむ人も大勢居る。」のがインドの現実。経済成長すればする程、貧富の差が拡大して行くというのは、多くの国で見られる事なのだ。
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「富裕85人で下層35億人分 ~NGO調査 世界人口半分の資産」(1月21日付け東京新聞【夕刊】)
国際非政府組織(NGO)「オックスファム」は20日、「世界で貧富の差が拡大し、最富裕層85人の資産総額が、下層の35億人分(世界人口の半分)に相当する程悪化した。」との報告書を発表。22日からの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)を前に、累進課税等の対策に取り組む様、政財界の指導者等に呼び掛けた。
報告書は、「人口の1%を占める最富裕層が、世界の富の半分を握っている。」と分析。「データを得た26ヶ国の内、日本を含む24ヶ国で、全国民の収入に占める上位1%の最富裕層の割合が、約30年前に比べて増加した。」と指摘した。
「リーマン・ショックに見舞われた米国では、下層の90%は経済的に苦しくなったが、上位1%の最富裕層は危機後の2009~2012年の成長による利益の95%を掻き集めた。」と言う。
オックスファムは格差を是正する為、累進課税の他、租税回避の中止や、従業員の生活賃金の確保、持続可能で公平な成長に向けた市場の規制強化等を訴えた。
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“理念”は別にして“現実”を見た場合、「共産主義」や「社会主義」にはシンパシーを感じ得ず、「資本主義」の国で生きて行きたいと思っている。又、自分は貧乏人で在るけれど、「妬みの気持ち“だけ”で、金持ちをバッシングする風潮。」というのにも、同じくシンパシーを感じ得ない。違法な事や余りにモラルに欠けた事をしたので無ければ、自身の才覚で金儲けをする事は、決して悪い事では無いからだ。
とは言え、(最富裕層の)僅か85人の資産総額が、下層の35億人分に相当するというのは、余りに偏り過ぎているし、“或る程度の”富の再分配が為されないと、結局は「地球規模で、経済が縮小して行ってしまう。」様に思う。
今、中島岳志氏が著した「血盟団事件」という本を読んでいます。「血盟団事件」に付いてはザックリとした知識は在るものの、詳細な部分に付いては知らなかった事も在り、読んでみる事にしたのですが、事件が起こった昭和初期の世情が、今の日本の現状と非常に似通っている事を、改めて感じました。
「既成政党に対する国民の不信感が高まり、第三勢力への過度な期待に繋がった。」、「中身が全く無くても、声高に叫ぶ政治家に支持が集まる。」、「社会に対し、閉塞感を覚える人が多い。」等、色々共通点が在りますが、「格差社会が余りに拡大してしまった。」というのは、特に似ているなあと。
記事でも記した様に、「資本主義国家で在る以上、違法な事や余りにモラルに欠けた事をしたので無ければ、自身の才覚で金儲けをする事は、決して悪い事では無い。」し、或る程度の格差社会になってしまうのは止むを得ない面が在る。とは言え、石川啄木の歌「はたらけど はたらけど 猶わが生活 楽にならざり ぢっと手を見る」という民が多くを占めてしまうのは、社会にとって百害在って一利無し。
一般庶民には「此れでもか、此れでもか。」と重荷を背負わせる一方で、富裕者や大手企業に対しては甘い汁を吸わせる様な政策を打ち出している現政権には、どうしようも無い違和感を覚えます。