ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「珈琲店タレーランの事件簿 ~また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を~」

2012年11月17日 | 書籍関連

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京都小路一角に、ひっそりと店を構える珈琲店「タレーラン」。恋人と喧嘩した主人公のアオヤマは、偶然に導かれて入った此の店で、運命の出会いを果たす。長年追い求めた理想の珈琲と、魅惑的な女性バリスタの切間美星(きりま・みほし)だ。美星の聡明な頭脳は、店に持ち込まれる日常の謎を、鮮やかに解き明かして行く。だが美星には、秘められた過去が在り・・・。

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第10回(2011年)「『このミステリーがすごい!』大賞」の隠し玉に選ばれ、今夏刊行された小説「珈琲店タレーランの事件簿 ~また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を~」(著者:岡崎琢磨)。「タレーラン」なる名称が何を意味するのか全く判らなかったのだが、18世紀後半から19世紀頭に掛けて活躍したフランスの政治家シャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴールの名前に因んでいる。彼は美食家としても知られ、次の言葉を残しているのだそうだ。

 

カフェ其れは悪魔の様に黒く、地獄の様に熱く、天使の様に純で、丸で恋の様に甘い。」

 

そんな名言を残したタレーランの名が冠されている珈琲店が舞台なのだから、珈琲に関する薀蓄随所に記されている。又、著者が京大出身者という事も在ってか、京都に関する情報も盛り込まれている。

 

そういった薀蓄や情報が記される事自体は、小説にアクセントを付ける意味で悪くは無いのだが、珈琲に然して関心が無い人にとっては、薀蓄を色々書かれても面白さを感じ得ないだろうし、京都に関する情報に到っては「位置関係」を良く知った人では無いと、「良く判らないなあ。」と感じてしまうのではないだろうか。ロールプレイング・ゲームドラゴンクエスト・シリーズ」はだだっ広い世界を旅するけれど、(途中からでも)地図が表示されるからこそ面白いので在って、地図が全く表示されないに全てを終えなければいけないとしたら、こんなに苦痛な事は無いだろう。「珈琲店タレーランの事件簿 ~また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を~」の京都情報には、「地図が全く表示されない儘、ドラゴンクエスト・シリーズを進めなければいけないのと同様の不親切さ。」が在る。

 

登場するキャラクター達に魅力が無く、彼等の口調にもイラッとしてしまう所が在る。謎解きの面でも面白さが無いし、何よりも文章全体が非常に回りくどい此れって、どういう意味なんだろう?」と心に引っ掛かっていた事柄が、滅茶苦茶後になって其の意味が記されるのだけれど、大した意味じゃなかったり、意味合いが良く判らなかったりと、そういう点でもイラッとしてしまう。

 

著者には申し訳無いけれど、隠し玉に選ばれた理由が理解出来ないレヴェルの作品だ。総合評価は、星2つとする。


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