山谷(東京)、寿町(横浜)、そして釜ヶ崎(大阪)。日本の3大寄せ場(ドヤ街とも呼ばれるが。)である。その中の一つである釜ヶ崎は行政上の呼称として「あいりん地区」とも呼ばれているが、2万人近くもの日雇い労働者が暮らすこの地域を、3年前から休日を利用し訪問し続けている一人の官僚の姿を「NNNドキュメント’05」(6月12日放送)で取り上げていた。環境省の事務次官である炭谷茂(59歳)がその人だ。
事務次官と言えば、各省に1人しか居ない官僚のトップ。「位人臣を極める」という言葉が彼の場合にも当て嵌まるだろう。そんな彼があいりん地区を訪れ続けているのは、社会から孤立したホームレス達に真の生き甲斐を与えられないか模索しているからなのだ。
彼が私的な時間を割いて迄ホームレス問題に取り組む様になったのには、二つの理由が在るという。一つは、嘗て厚生官僚としてホームレスを取り巻く厳しい現状を知った事。ホームレスに対して物資や金銭を与えるだけの一時凌ぎ的なこの国の福祉政策と、そんな弱者からも物資や金銭を巻き上げている者達の存在に、彼は何とも言えない憤りを覚えた。
そして、二つ目は彼の歩んで来た人生に在る。高校時代に家業が倒産し、住む所を失って最も助けを必要としていた時に、廻りの人々が蜘蛛の子を散らすが如く離れていってしまった記憶が彼の脳裏に焼き付いている。官僚のトップに上り詰めた今でも、その時に社会から突き付けられた疎外感は忘れられないし、だからこそ社会的な弱者の気持ちが痛い程判ると彼は言う。
「ホームレス達に真の生き甲斐を与えるのには、一体どうしたら良いのだろうか?」現場に足を運び続け、暗中模索していた彼が辿り付いた結論は、イギリスで考案されたCAN(コミュニティー・アクション・ネットワーク)というシステムだった。地元の福祉事業に、働きたくとも働く場所がなかったホームレス達を就労させ、収益を賃金の形で還元するというシステム。イギリスの或るスラム街が抱えていた「ホームレスの就労と地元の活性化」という二つの問題を改善させたこのシステムで、あいりん地区を再生させようと試みている。
平日は環境省のトップとして職務を全うし、休日をホームレス問題に奔走している彼に対して、誹謗中傷の声も少なくないのだとか。セクショナリズムが幅を利かす官僚の世界に於いては、「環境省の人間が厚生労働省の管轄に足を踏み入れるとは何事か!」という声や、「点数稼ぎのパフォーマンスだ!」という声が浴びせられるという。
本来の職務を蔑ろにしていたり、職務時間中にこういった事を行なっているというので在れば、それは非難されても仕方ないのだろうが、そうではない彼に対して浴びせる言葉だろうか?それに、「点数稼ぎのパフォーマンス」というのも笑止千万。退官迄1年を切った人間が、それも本職以外の事は評価されないのが鉄則と言っても良い官僚の世界で、一体どんな点数稼ぎをしようとしていると言うのだろうか?彼を偽善者と呼びたい者はそう呼べば良い。偽善と言われようと、何もしないで惰眠を貪っている者よりは、行動を起こしている分遥かに立派だと思う。
”官の世界”には真面目に職務を遂行している者も居ると頭では理解していても、次々と露見する官の世界の腐り具合に触れてしまうと、どうしても良い印象を持てないでいる。しかし、未だ”良心”というモノが死に絶えていない事をこの番組で認識し、ホッとした思いがした。
事務次官と言えば、各省に1人しか居ない官僚のトップ。「位人臣を極める」という言葉が彼の場合にも当て嵌まるだろう。そんな彼があいりん地区を訪れ続けているのは、社会から孤立したホームレス達に真の生き甲斐を与えられないか模索しているからなのだ。
彼が私的な時間を割いて迄ホームレス問題に取り組む様になったのには、二つの理由が在るという。一つは、嘗て厚生官僚としてホームレスを取り巻く厳しい現状を知った事。ホームレスに対して物資や金銭を与えるだけの一時凌ぎ的なこの国の福祉政策と、そんな弱者からも物資や金銭を巻き上げている者達の存在に、彼は何とも言えない憤りを覚えた。
そして、二つ目は彼の歩んで来た人生に在る。高校時代に家業が倒産し、住む所を失って最も助けを必要としていた時に、廻りの人々が蜘蛛の子を散らすが如く離れていってしまった記憶が彼の脳裏に焼き付いている。官僚のトップに上り詰めた今でも、その時に社会から突き付けられた疎外感は忘れられないし、だからこそ社会的な弱者の気持ちが痛い程判ると彼は言う。
「ホームレス達に真の生き甲斐を与えるのには、一体どうしたら良いのだろうか?」現場に足を運び続け、暗中模索していた彼が辿り付いた結論は、イギリスで考案されたCAN(コミュニティー・アクション・ネットワーク)というシステムだった。地元の福祉事業に、働きたくとも働く場所がなかったホームレス達を就労させ、収益を賃金の形で還元するというシステム。イギリスの或るスラム街が抱えていた「ホームレスの就労と地元の活性化」という二つの問題を改善させたこのシステムで、あいりん地区を再生させようと試みている。
平日は環境省のトップとして職務を全うし、休日をホームレス問題に奔走している彼に対して、誹謗中傷の声も少なくないのだとか。セクショナリズムが幅を利かす官僚の世界に於いては、「環境省の人間が厚生労働省の管轄に足を踏み入れるとは何事か!」という声や、「点数稼ぎのパフォーマンスだ!」という声が浴びせられるという。
本来の職務を蔑ろにしていたり、職務時間中にこういった事を行なっているというので在れば、それは非難されても仕方ないのだろうが、そうではない彼に対して浴びせる言葉だろうか?それに、「点数稼ぎのパフォーマンス」というのも笑止千万。退官迄1年を切った人間が、それも本職以外の事は評価されないのが鉄則と言っても良い官僚の世界で、一体どんな点数稼ぎをしようとしていると言うのだろうか?彼を偽善者と呼びたい者はそう呼べば良い。偽善と言われようと、何もしないで惰眠を貪っている者よりは、行動を起こしている分遥かに立派だと思う。
”官の世界”には真面目に職務を遂行している者も居ると頭では理解していても、次々と露見する官の世界の腐り具合に触れてしまうと、どうしても良い印象を持てないでいる。しかし、未だ”良心”というモノが死に絶えていない事をこの番組で認識し、ホッとした思いがした。
もちろん、心に傷を持つ方や身体的に通常の就労が厳しい人も多いので個人個人に応じた仕事を斡旋しなければならないでしょう。生活保護ではホームレスを食い物にする悪徳団体の餌食になるだけなので、簡単な仕事から社会復帰して欲しいものですが、なかなか厳しいですね。
仕事をしてもらうにしても、僕では街の清掃員か巡回警備員ぐらいしか思いつきませんが。
いつも見ているんですが、たぶん前回が初書き込みですね。
改めてよろしくです。
こういう官僚の方がいるのは救われた気がします。
最近街でビックイシューなるホームレスの方が売っている雑誌を購入するようになって、ホームレスの方は知らない他人でなく、ご近所さんな気持ちになりました。
生き甲斐は生きる場所を持つ事になるんでしょうね。生きる場所を失ったり、逃げざるえなくてホームレスになってしまったのなら、再び場所を探すには回りの見守りと受け入れなのかなと思います。
一度や二度場所を失っても再び受け入れられる事ができる社会になればいいなと思います。
ちなみに、ホームレスの方はいわゆるガデン系の仕事をしてきた方達は日雇いの仕事があったりしますが、デスクワーク系だった方達はガデン系の仕事の経験もなく大変みたいです。
大卒の方だったり、会社をやっていた方とかもいて人生経験が豊富だったり、人に迷惑をかけたくないとかいう律儀というかマジメな人が多いかもしれません。そうでなきゃ犯罪者にでもなってますもんね。
彼らの社会での受難の1番の原因は住所不定かもしれないです。
住所がないと仕事も持てないんです。
一度無くした住所も再び得るには大変な事です。
ながながとすみません。
また書き散らしてしまいました(苦笑)
けっこう読み応えあるなーの感想であります。
とりあえずは次回を又楽しみにしています。
ブログ初心者なので、いまいち理解していませんので、よかったらジャナス不動産日記呼んでみてくださいませ。
ホームレスの方の就職を阻んでいる最大の要因が、住所不定に在るというのは良く耳にしますね。全てを失ってしまった彼等に、居住地を提示しろというのは無茶な話。何等かの形で地方自治体等が彼等の”保証人”となって(勿論、まともに働く意思の無い人間に対しては、その様な事を行なう必要は在りませんが。)、働く場を得られる様にしないと難しいでしょう。そういう意味で、「CAN」というシステムが上手く機能する事を願っています。
ホームレスの方を雇い入れている工場の人が語っていたのですが、「自分達はボランティアの気持ち”だけ”でやっている訳ではない。だから、(雇われるホームレスの人達も)高い勤労意識を持って働いて欲しい。」と。受け入れ側だけではなく、働く側もしっかりとした心構えを持って行かないと、機能する仕組みも機能しなくなってしまうというのは、間違いなく言えるでしょう。
「偽善」という考えが出てくること自体不思議ですが、救われた気分3割・厳しい現実を認識した気持7割です。線路に自転車を置く人とリンクするんですが、社会に対して絶望というか無力感があります。
「周りの人が手のひらを返す」というくだりがリアルですが、人って「俺はホームレスと違う」って気持ちを根拠なく持ってると思うんです。家族が認知症になったら?災害にあったら?貯蓄は?人に頼れる人間関係を築いているだろうか。。
短絡的に「就労意欲」でくくるのではなく、共済制度はあってしかるべきと思います。首相は靖国のほうが大事なんですかね。数々の問題を解決してればともかく、首相には全然共感できません。。
最近はWBS以外のテレビを見ていないのですが、その番組は見てみたいです。
いちど探してみます。
私のblogでも時々ビッグイシューという、ホームレスの人の自活を促すための雑誌を紹介していますが、ホームレスの人が働きたいという時に何かしらの仕事を提供する、這い上がりたい人に手を貸すということは必要だと思います。
また、そうした自助努力を促す方策をする一方で払うだけの福祉はどんどん削っていってもらいたいとも思います。
ホームレスの人は働く気はない、というのは厳しい日雇いの仕事を探している人に失礼だろうと思いますし、ホームレスの人は働くつもりはあるのだというのも、真昼間から飲んだくれているホームレスたちを見ると公正さを欠いているように思います。
次官のような立派な志を持った方の今後のアイディアや取り組みに期待します。
(私はあまり他人には期待しないのですが・・・)