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「微生物:地球で一番省エネ・・・代謝、大腸菌の1億分の1」(3月23日、毎日新聞)
「栄養分が殆ど無く、生物は生きられない。」と考えられて来た南太平洋の深海底の堆積物の中に、極僅かなエネルギーだけで生きる微生物が居たと、日本等12ヶ国のチームが発表した。地球上で最も代謝が低い、超省エネ生物と言う。英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス電子版」に掲載された。
チームは2010年、ニュージーランドと南米大陸の中間地点周辺で、海底を掘削調査。水深3,740~5,695mの計7ヶ所で、海底の表面から地殻迄の堆積物を採取し分析。此の海域は、光合成で生産される有機物の量が非常に少なく、「海の砂漠」と呼ばれている。
チームによると、沿岸域では海底下数mm~数mで無酸素状態になるが、此の海域では、海底表面から地下75m迄、全ての堆積物中に酸素が含まれていた。又、栄養分となる有機物の濃度が0.03%以下と極めて少ないのに、1立方cm当たり、数百~数千個程度の微生物が存在した。堆積物中の酸素濃度の変化から試算すると、エネルギー消費量は大腸菌の1億分の1以下しかないと言う。
研究は、日米主導の国際プロジェクトの一環。リーダーを務めた稲垣史生・海洋研究開発機構上席研究員は「1億年以上前に蓄積された超低栄養の地下の環境に、膨大な酸素と生きている微生物が存在していたのは驚きだ。此の微生物の特殊な代謝機能が解明出来れば、生物の長生きの秘訣も判るかもしれない。」と話す。
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「こんな所に、生きられる生物なんか居る訳が無い。」という場所でも、普通に生きている生物が居たりする。今回の微生物も、そんな内の1つだが、凄いのは其の超省エネ性に在る。
大腸菌のエネルギー消費量が如何程かは知らないけれど、通常の大きさが「0.4~0.7μm」という超微小な大腸菌のエネルギー消費量なんて、僅かも僅かだろう。そんな大腸菌の1億分の1以下のエネルギー消費量というのだから、想像を絶する物が在る。